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豁サ逾�がいる駅

作者: 江菓

私が高校に行くために利用する駅には豁サ逾�がいる。豁サ逾�はいつもプラットフォームの端の方に立っていて、電車と電車に乗り込む人達をじっと見ている。なにかする訳では無く、ただただじっとこちらを見ている。豁サ逾�は背が高く、いつも薄汚れたローブを被っていてどんな顔をしているのかは分からない。少し前に、同じ駅を使う友達に豁サ逾�のことを話したがそんなものいないと言われてしまった。自分にだけ見えている豁サ逾�。きっと幽霊とかそういう類いなんだろうとは思うが不思議と恐怖心などはなかった。豁サ逾�が見え始めたのは高校に入学してこの駅を使うようになってから3ヶ月程経った頃だったと思う。豁サ逾�が初めて見えた日は自分の目の前で飛び込み自殺があった日だった。いつものように電車が来て、黄色い線まで下がって目の前に電車が来るのを待っていると、30代くらいの男がふらっと出てきて、走っている電車に飛び込み死んだのだ。プラットフォームにいた人たちがパニックを起こし、電車が止まった。その日は結局、学校に遅刻してしまった。その日の帰りに初めて豁サ逾�を見た。プラットフォームの端っこで突っ立っている薄汚れたローブを着た背の高い豁サ逾�を初めて見た時は驚いた。しかし、周りの人は見えていないらしく、そのまま無視して帰った。それから毎日豁サ逾�を見ている。いつも定位置で突っ立っている豁サ逾�に恐怖心はなく、逆に興味が湧いていた。そんなある日、私は気付いた。豁サ逾�のローブが日に日に赤くなっていることに。初めは気のせいかと思ったが、気のせいではなかった。毎日見ていると、ローブの下の方から徐々に赤く染まっていっている。今は地面から20cm位のところまで赤く染っている。赤く染っていくローブになんの意味があるかわからず、私はそれを放置した。

赤く染っていることに気がついて4ヶ月程経った。ローブの赤は日に日に上へと侵食してきており、今はローブの首元辺りまで赤く染っている。何かのタイムリミットなのか、はたまた豁サ逾�の気分なのか、私には分からなかった。しかし、あの赤がローブの頭まで侵食し、豁サ逾�が真っ赤になる時全てがわかると思っている。

あれからまた1週間経った。今日でローブが真っ赤に染る。駅へ向かう足がなんだか軽やかに感じる。改札を颯爽と抜け、プラットフォームへ降りる。いつも、豁サ逾�がいる方を見るとそこには誰もいなかった。なーんだ、あの赤は豁サ逾�がいなくなるまでのタイムリミットだったのかとなんだかガッカリする。ちぇっと軽く舌打ちし、電車を待つ。電車が来るというアナウンスが鳴り、黄色い線まで下がる。右手側からいつものように電車がやってくる。そして、電車が自分の前を通りすぎる時、後ろから誰かにドンッと力強く押され、私は走る電車と激突した。激痛と血で真っ赤に染った視界で私は悟った。豁サ逾�のローブの赤色は私が死ぬまでのタイムリミットだったのだと。

今日も豁サ逾�は駅のプラットフォームの端っこで立っている。もしも、プラットフォームの端っこで立っている大きなローブを被ったやつを見てしまったらお気をつけください。私のようになってしまいますよ。

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