表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/222

さらば相棒2



 「なるほど。この黒い岩は火山帯ダンジョンの岩か」


 徹さんがふんふん言いながら、さっきから岩ばかり鑑定している。


 地下12階、見渡す限り黒や茶色の岩ばかりで、魔物すら見当たらない。


 遠くの背の低い山々から噴煙が出ているのが見えるが、近くで鑑定できるものといったら、岩くらいだから仕方ないけどね。


 鑑定4の徹さんには、


 火山帯ダンジョンの岩。熱く固い。

 魔力が少量内在。


 と見えるらしく、俺には、


 火山帯ダンジョンの熱岩:マグマに魔力が混ざり、

  地表で固まった物

  表面温度は100度より落ちることはなく、

  常に熱を放出している。


 と、見えている。これが鑑定4と10の違いか。


 徹さんがPちゃんを鑑定しても『ぬいぐるみ。癒やしの手触りピヨピヨちゃんを器にしている***』としか出てこないらしい。俺は名前や年齢さえも***と消されているらしく、怪しさ満点だよ…と徹さんが教えてくれた。


 これはいずれダンジョンが出現して鑑定が流行る前に、なんとかしておきたい。


「それにしても暑いね…。クーラーを作動させていても暑いよ。熱で目がしぼむかと思ったくらいに」


 徹さんがスキーゴーグルのような反射サングラスを掛けたのは、12階に降りてすぐだった。なんでも120度の熱風、氷点下120度の冷気までなら耐えられる仕様らしい。足袋のような靴も、同じ耐久性があると言っていた。


 そこまでいくと人間本体が耐えられないと思うけど。


 俺にはその暑さは分からなかったが、相当暑いんだろう。なんせ、熱岩は常に100度だ。


 そういえば俺の願玉印のスニーカーの裏も溶けてないな。


 俺がスニーカーの裏を確認していると、


「ピ、この階は気温70度、サウナの湿度がないのと同じ環境ですピ。徹のクーラー黒装束、航平の絶対防御がなければ、体温が上がり暑熱障害、脳のタンパク質変化で30分も持たず死にますピ」


 Pちゃんがバッグの中から顔を出す。Pちゃんは問題ない様子だ。


「それはマズい…。徹さんのクーラー機能が壊れたら…」


 ウロウロと岩鑑定している徹さんに声をかけようとした時、魔物の気配を感じた。


「! 徹さん! 後ろだ!」


 徹さんの後ろにあった、黒い大岩がズズッと動く。


 とっさに徹さんが振り返り、動く大岩から跳び退って距離を取った。


 黒い岩が赤い泥の塊を飛ばす。避けた徹さんの足元に煙が上がった。


 

 肉食系:熱岩亀 Lv27

 攻撃パターン:溶岩飛ばし、体当たり、踏みつけ、火魔法Lv3

  熱石を甲羅に持ち、気配を消して相手に近づき溶岩で溶かす

 弱点:水魔法、腹部または首に対する物理攻撃



「徹さん! そいつは亀だ! 弱点は腹、首への攻撃だ!」

 

 叫びながらPちゃんのいるバッグを背中に回し、徹さんに駆け寄る。


「駄目だ! 頭を引っ込めた!」


 徹さんがフォグガードを向け、何かを噴射した。熱岩亀が亀とは思えない動きで徹さんに向かっていくのを、後ろから抱きついて止める。


 止めている間に徹さんが何度も噴霧攻撃をしているようだったが、前に動こうとする亀の力は衰えない。


「ピ! 航平! 服が…」


 甲羅に触れていた腹と両腕から煙が出て、ボワっと燃える。


「Pちゃん! バッグの紐が燃える! 離れて!」


 Pちゃんがバッグから脱出し、パタパタと飛び上がった。


 その間に熱岩亀に徹さんが何本か矢を放ったが、甲羅に弾かれ、空中で霧状のモノを噴射しては落ちていく。


「田所くん、攻撃が効かない!」


 甲羅の向こう側から、焦った徹さんの声が響いた。


「徹さん! 離れて!」


 俺は服の火を消しながら亀の正面に回り込み、頭が引っ込んでいる穴の中に水魔法5「渦潮」を強引に入れ込んだ。

 

 甲羅の頭、4つ足の穴から、蒸気機関車のように水蒸気を噴き出す。


 ピシ…ピシピシッ


 甲羅にヒビが入り、そこから淡い光を放って熱石亀が消滅した。



 レベルが上がりました


 生命力40ポイント、魔力30ポイント、身体能力各8ポイント向上…



 頭にアナウンスが流れる中、座り込んでいる徹さんに近づき手を伸ばした。


「大丈夫ですか? 徹さん」


「徹も航平も大丈夫ですピ?」


 飛んでいたPちゃんが肩に止まる。


「ああ、助かった。大丈夫ですよ、Pさん」


 徹さんが俺の手に捕まり、立ち上がる。


「今度から俺が風下にいる時、フォグガード攻撃止めてくださいよ?」


 俺が苦笑いを浮かべると、徹さんが肩を軽くすくめた。


「ごめんごめん、つい使ってみたく…危ないところだったからさ。それにしても筋肉弛緩剤も催涙も強眠剤も見事に効かなかったよ…。矢は弾かれるし」


 ゴソゴソと腹帯から、単1電池のようなのを2個取り出した。


「後は手りゅう弾しかない、か」


 なんちゅーもん持ってんのっ!?


「いや、これはスタングレネード、閃光発音筒のように光と音で相手をパニックにさせる、私の試作品だよ。見た目は乾電池のようで、持っていても違和感がない」


 いやあるでしょ? 素で単1電池持ち歩いてたら。


「…それも趣味で作ったんですか?」


「そうだよ。この凸の所の安全キャップを外して、5秒長押しで放すと10秒後に爆発を…。そういえば田所くんは、大丈夫なのかい?」


 単1電池爆弾を熱心に語っていた徹さんがふと、俺を見る。


「ええ、俺は怪我ひとつ…ああっ!」


 体を触って思い出す。


「俺の『ちゃんぽんジュニア』が…」

「ピィ、私のバッグが…ピ」


 初代ちゃんぽんと同じように、焼き焦げてしまった。そしてPちゃんが気に入っていたバッグも。


「…さっきの亀の魔石回収して、帰りますか。田所くん」


 徹さんが俺の肩をポンッと叩くと、ちゃんぽんジュニアの焦げた布切れが、ぽとりと落ちた。









読んでくれてありがとうm(_ _)m 鼻先セーフ? 願いが叶った!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ち、ち○んぽんジュニアがあ… pちゃんは水色って覚えたからそれでいいよ! あと美波、髪結んでる描写は無かったなぁ 脳内で想像し直してっと…んなッ!やっぱり最高だ!(鼻血)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ