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魔力の行方

目が覚めました

 Pちゃんが言うにはこうだ。


 こことは違う次元の、とある世界が消滅した。そこにはこの世界にはない魔力があり、魔力は自然消滅することがない。使わないと無くならないらしい。

 定着する場を無くした魔力が、次元の隙間からこの世界に流れ、大気中よりも状態が安定しやすい地中に染み込み、長い年月で地殻変動と混ざり合い、魔力同士がくっつき合い蓄積されたのが、俺の部屋にできたダンジョンとのことだった。


…壮大すぎるだろ。


「じゃあ、いずれこの世界も滅びるのか?」

 俺はペットボトルの蓋に入れたお茶を、くちばしをつけて飲んでいるPちゃんを眺めながら聞く。

 飲めるんだ…、中身綿だろ?


「不確定未来ですピ。基本ダンジョンから魔物は出てきませんピ。けれど異次元から魔力は流れ込み続けていますピ。こちらの世界で、魔力を利用消費しないと、ダンジョンは広がり続け地上には誰も住めなくなりますピ。私はこの世界に情報を与えるよう創られましたピ。この世界には魔力が無いに等しかったので、突然魔力が具現化した世界に対応するのは難しいだろうと、大いなる者の手によってですピ」


「…大いなる者、かあ。神様みたいなもんかなあ」

 

 俺がぼんやり頬杖をついていると


「しかしこの世界には寓話としてですが、ドラゴンや妖精、モンスター、魔法、不思議な力を宿す品物等、語り継がれていますピ。いわゆる下地がある状態は重要ですピ。80日後にはダンジョンが世界中に出現しますピ。その時この世界は拒絶できませんピ。立ち向かうか滅びるかの選択しかありませんピ」


 怖いことをさらりと言うな、可愛らしいくせに。


「ダンジョンの仕組みはわかった。でもなんで家なんだ? 俺なんだ?」

「たまたまですピ。確率の問題ですピ。まあ、はぐれのゴールドスライムがダンジョン介入者が現れる前に、ダンジョン外に出て、航平を襲い、討伐されたのは、更に低い確率でしたピ」


「そうだよ。あいつの原液、取ってあるけど何か蘇生とか鑑定で出たぞ」

「ダンジョン外だからですピ。ダンジョンの中ではモンスターは消滅ですピ。種別により強さの差はありますし、魔力を取り込める限界もありますが、消滅する時余った魔力が、ドロップ品になりますピ。そのモンスターの特徴となすものをドロップしますピ。そして何割かは討伐した者に魔力が移譲しますピ。魔核を持っていない者は身体能力の向上、ダンジョン内の魔力利用向上に使用されますピ。人間仕様ですピ」

「犬とか猫は?」

「本能で立ち入りませんピ」

 

 一息つくように、Pちゃんがお茶を飲む。

 小さなくちばしの動きがわかるほど、俺の視力は良くなっていた。


「なあ、ドロップした、賢者の家って何?」

「賢者の家は聞いたことがありませんピ。はぐれは、時としてイレギュラーなモノをドロップしますピ。航平が倒した時、ドロップスキルは受け取っても航平が許可しなかったため、取り込まれたままでまだ発動していない状態ですピ」

「ふうん、Pちゃんでも知らないことか」

 俺の独り言を聞いて、Pちゃんが羽を両腰に当てる。うん、腰はないな。腹かな。


「先程も言ったとおり、基本ダンジョン内からモンスターは出ませんピ。外は魔力が限りなく薄いため、濃度が濃いほうから薄いほうへ移動する拡散が起こりますピ。特にゴールドスライムの魔核は特殊で、すぐ拡散して体が小さくなることから、魔力溜まりに居着きますピ。ダンジョンで言うなら最下層、大きいですし、見た目に反して知能が高く、賢者とも呼ばれていますが、強酸性のモンスターであることから、Sランク級の魔物ですピ。少しでも触られたらあっという間に溶けますピ。なのでドロップスキルは知らないですピ」


「俺、顔に乗られたけど?」

「ピ? だから顔が薄いのですねピ」

「ほっとけ」

 Pちゃんも慣れてきてくれたのだろう。冗談を言うようになった…冗談だよね?


「ところでPちゃんはさ、というか世界の理は、ダンジョンごとにいるのか?」

「いませんピ。ただひとつ、わたしだけですピ」

「じゃあ、このダンジョンの成り立ちや状況を分かっているのは…俺だけ?」

「そうですピ。ダンジョンに入り、魔物を倒せば、脳に直接使い慣れた言語で言葉が届きます。レベルアップですピ。ステータス確認もできますピ。私はいわゆるナビゲーター、航平専属ですピ」


「Pちゃんがこの世界にある概念で話せたりするのは」

「スマートフォンを器にした時、世界中の情報を把握しましたピ」

 …優秀、超優秀。


「じゃあ、世界中でダンジョンに潜り、モンスターを倒さなきゃ駄目ってことか」

「はい、魔核も回収してくださいピ。ダンジョン内に放置すると、魔力が集まり魔物の生成が早まりますピ」

「この石みたいなやつ?」


 と、俺はあのアリが落とした黒い黒曜石のようなモノをテーブルに置く。

「そうですピ。魔核を…魔石と呼びましょう、魔石は蓄積された魔力の固まりですから、徐々にエネルギーを放出して消えてしまいますが、高エネルギーとして、この世界でも利用できるはずですピ。タービンを回し電気を作るくらい簡単ですピ」


「待て待て、俺の頭はもう溶けそうだよ…。取り敢えずPちゃん、飯食お?」

 

読んでくれてありがとうm(_ _)m

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[一言] Pじゃなくて、ピーちゃんでいいのでは?
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