表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/222

調子に乗ると転落する

 Pちゃんの言う通り、階段に向かう間も魔物に出会うことはなかった。

 

 もうすぐ3階へ続く下り階段に到着する。


「出てこないって、どっかに隠れてるってことか?」

「通路のどこかにはいますピ」


 ふうん。

 そうだ、やってみるか。

 

 足を止め、空間把握に気配察知を組み込むようにして…放つ。


 波紋が広がっていく。

 反対側の通路に、何匹かは分からないが、何かの固まりを感じた。

 後ろの通路にも。


「これどんな種類かとか、何匹いるかまでわかったら、かなり使えるな」


 待てよ、鑑定も組み込めないかな?


 もう一度空間把握に気配探知を組み込み、波紋を放つ。

 そして通路反対側の固まりに鑑定を…。



 識別できません



 鑑定さんに拒否られました。


「良い発想ですピ。スキルを鍛えれば、可能になるかもしれませんピ」


 今は立ち止まって意識を集中し波紋を放っているが、そのうち歩きながらでもできるようにしたい。


 だけどほんとに寄ってこないな。

 これじゃあレベルが上げられないぞ?


 思わずにやにやしてしまう。


「そんなに強くなったのか。よし、決めた。3階で魔物を倒しまくって、レベルをガンガン上げて、スキル向上させる! 3階なら大丈夫だろう」 

 

 3階に降りる階段があった。


 「行くぞ! Pちゃんっ」

 気持ちがはやる。駆け足で階段を降りていく。

 

 3階についたらすぐ空間把握と気配探知でこっちから仕掛ける。恐れおののくがいい。ふははは。

 

 そして階段を降りきった時、足裏に感じるはずの地面がなかった。

 身体がバランスを崩す。


 へ?


「ピ! 航平!」

 

 一瞬の浮遊感。

 俺は階段の一番下に空いていた穴に、吸い込まれるように落ちていった。


 


 ドゴンッッ!!


「い、いてええ…」

 

 …凄い音がしたけど、俺生きてるよね?


「くう…、ライフ」


 

   生命力683/710 魔力 320/320



 20ぐらいのダメージしかなかった。

 大げさ? いやいや、バンジージャンプ並みの落ち方だったぞ。

 …やったこと無いけど。ひゅんって、ひゅんってなったぞ。

 

 絶対防御2がいい仕事をしてくれたらしい。

 どうせならこんなうつ伏せじゃなく、もっとカッコよく、宙返りとか決めながら片膝をついて着地したかった。

 職業が忍者じゃないから? サラリーマン(低)だから?


「大丈夫ピ?」

 パタパタとPちゃんがうつ伏せの俺の顔前に着地する。


 ちょっと恥ずかしい…。 行くぞ! とか言って穴に落ちるとは…。


「…うん。いやあ、まさか穴が空いてるなんて思わなかったよ。あはは。あれ罠かな?」

 

 両手をついて立ち上がり、付いている土を払い落とす。


「罠なら航平の罠解除6が反応するので、自然に崩れたと思いますピ。ダンジョンの穴は勝手に修復しますから、修復前の、出来立て穴ですピ」


 そんな嬉しくない出来立てホヤホヤもあるんだね…。


「にしても、ここどこだ?」

 

 見渡す限り背の低い草で覆われた草原だった。


 いつもの暖色系の明かりではなく、昼間のような日の光。

 さっきまでの石の天井とは違い、どこまでも澄み渡った青空がそこにはあった。

 

 外に出た? あの穴はワープか何かか?


「外…じゃないな」


 見上げた空に1ヶ所、ぽっかりと空いた穴の違和感が半端ない。


「俺、あんな高いところから落ちてきた?」

 

 青空に浮かぶ黒い満月のようだよ。


「はい、ちなみにここは地下10階のようですピ」

 

 はい? 


「…Pちゃん、それはないだろ? 3階に降りた時穴に落ちたんだから、次は4階だろ〜」


 顔が引きつる。


「穴は10階の平野ダンジョンに繋がっていたようですピ」


 外ではなく更なる下に、不運ワープしたらしい。

 俺の幸運200MAXが仕事をしてくれません。


「俺は強くなった…?」


「はいピ」


「地下5階くらいまでの魔物なら、俺のほうが強い…?」


「はいピ」


「じゃあ10階は…?」


「即死はしないと思いますピ」


 早く上に戻らないとおおお!


読んでくれてありがとうm(_ _)m 皆さんの後光が眩しっ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 隠密スキルあるのに魔物に逃げられるって、不自然ではないだろうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ