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とらいあんぐるΔだんじょん! ~私は迷宮で楽しく暮らしたい~  作者: 井守のしっぽ
序章 グッバイ今生、ハロー異世界
3/6

03:思い出したら腹立つ事ってあるよね

主人公は前向きです。死んでもめげてません。




 ──時は遡り、私こと【白崎 真央】が転生する少し前のことである。


 ショッピングモールに居たはずの私は、気が付くと、真っ白な空間に浮かんでいた。友人達はいない。


 そこには、ウィンドウだけが浮いている。


________



転生するなら?



勇者 or 魔王



どちらかをタップしてね☆

お友達もチャレンジ中☆

________


 

 そうか、あいつらもやってるのか、これ。

じゃあ、やるか。まあ、答えは決まってるけど。



「え?勇者に転生?いやいや!そんなの柄じゃないし!こっちのが面白そうじゃん!!つーわけで魔王!!!」






ポチッ







 魔王の文字をタップした瞬間、ウィンドウは消えて、代わりに白いおひげをたくわえたお爺ちゃんと、メガネをつけたイケメンが現れた。




「よく、魔王を選んでくれました。僕はヴォルティス、異世界の神です」


「わしはイザナギじゃ!まあ、おぬしは死んじゃったのじゃ。異世界召喚を行った、その余波に巻き込まれて、魂がぶっ飛んじゃったのじゃ!!!」




 どんだけハイテンションなんだよ、イザナギ。


 まあ、こういう展開には見覚えがあるよね。


 ネット小説なんかでよく見る、異世界転生の流れ。あれとほとんどいっしょだ。





「おぬしの思った通りじゃ。全く以てテンプレじゃのw乙じゃの!」



 ちょっとむかつくな、このジジイ。

あ、やべなんか腹立ってきた。





「笑ってんじゃねーぞクソジジイ!!!!こちとら、せっかく友達と遊び倒そうとしてたって時なんだから!!毛根絶命しやがれ!!!!!」




 根こそぎ黄泉の国に送ってやろうか!!


 そりゃ! そりゃ!!




ブチブチブチブチ……



「やめい!やめんか!!やめて、ほんとにやめて!!おひげの毛根絶命しちゃったら、わしただのハゲになっちゃう!!!」



 人の不幸に草を生やす方が悪い!



「イザナギ殿、貴方が悪いと僕は思いますよ…すみません、最近面白いことがあんまり無かったみたいだそうなので…」



 あっ、イケメンがログインしてきた!

仕方ない、イケメンに免じておひげは許そうじゃないか。ジジイがあの、イザナギなのはもうスルーで、ジジイでいいや。



 てか、面白いことって…ホントにただのジジイじゃないか。




「いてて、誰のおかげで日本人が居ると思ってるんじゃ……わし、禿げてない?」




 うん、知ってる。国産みとか知ってるから。

祖父にしこたま聞かされた話だからいいです。





「禿げてないですよ、イザナギ殿」


「最近の若い子は酷いわい、お爺ちゃんかなしいぞ……時間もあるし、本題にはいろうかの」





****





「はあ、転生ですか」


「はい、僕があなたの転生を担当します。僕は地球とは異なる世界で、かつて軍神(いくさがみ)として信仰されていました」




 ほう、イケメンことヴォルティスは異世界の軍神だったと。イケメン軍神とか、異世界は最高か。





「でも軍神が…なんでまた私みたいなのを?何の変哲もないただのオタクなんだけど…」


「気に入ったんです。あなたの魂は、軍神にこそ相応しい。平時は穏やかでありながら、有事には猛る竜のごとく荒ぶる…それでいて戦術を忘れない」



 ごめんなさいヴォルティスさん…同士に出会ったオタクの習性です。


 しかも戦術って、それただの布教だし…。



「それに!あなたは戦道具にも興味を持っておいでです!!女人でありながら!!僕は軍神としてうれしいんです…グスッ…だって、女神の皆さん、揃って野蛮だなんだと……酷い……ズビッ」



 戦道具…まあ、刀だの銃だのは他の人よりは知識あるけども。歴史好きだった祖父に色々と布教されたりしたからしかたないよ。


 ゲームにもたくさん出て来るし。


 でも、理解されないオタクってツラいよね。同類としてもかわいそうだし、死んだなら仕方ない。いっちょ、やってやろうじゃないか!



「まあまあ、泣かないでよヴォルティスさん。転生、してあげるから。私は異世界でなにすればいいの?」



 あ、泣き止んだ。よっぽど嬉しかったのね。



「ありがとうございます…!では説明をいくつかさせて貰いますね。まずはあなたが転生する世界のことからですね──」





 イケメ…ヴォルティスの解説を要約するとこうだ。


・転生先は、いわゆる剣と魔法の世界

・中世程度の文明

・過去、転生したものはいない

・人間が召喚した者は過去にもいる

・魔王と勇者の敵対がある

・人間が召喚を乱発するせいで世界の魔力が

 上手く循環しなくなった

・ダンジョンは魔力回収システムの一つ




「あなたには、魔王兼ダンジョンマスターとしてダンジョンを経営してもらいます。魔王の称号を持ったダンジョンマスターは、より効率よくダンジョンを動かせますからね」


「どんなダンジョンでもいい?自給自足とか」


「ちゃんと魔力を回収出来れば、大丈夫ですよ。昔、人間をダンジョンで飼っていた魔王も居ましたし」





 いたのかよ、リアル人間牧場やってたやつ。







***









「…そろそろ時間じゃ」



 某神隠しみたいに足が透けてきている。


 世界のことは一通り教えて貰った。

 

 ダンジョン作りは向こうでやりながら覚える事になるから、がんばらなきゃ。




「…討伐だけはされないようにしてください。飢餓とかで死んだりはしませんし、コアは再度、作り直せますけど、マスターは殺されたらおしまいです」


「せいぜい長生きするんじゃぞ?餞別がわりに、名前はおぬしに馴染むものを新しくつけておいたぞ」


「気休めですが死ににくい体にしておきましたので、頑張って下さい。あなたの生がよりよいものになることを祈っています」



 神様達の言葉が終わると共に、白い空間がどんどん霞んでいく────。


 






 そして私は転生した─。

















「って!死ににくい体ってこれか!!!ようやく思いだしたよ!!!!!!ドラゴンボディはそりゃ死ににくいよ!!!!ありがとうヴォルティスさん!!!!!でも、たぶん素材扱いされるよね!!!!!」



ボンッ!




【精神耐性 Lv1 を習得しました】


【ひっかき Lv1 を習得しました】


【ミニブレス Lv1 を習得しました】






 神様たちへ、怒ってジタバタしたらスキルが生えました。ついでにブレスも出ました。


女神たちに趣味?を理解して貰えない軍神。その気持ち、分かるぞ。



…なんか、ブックマークがついてる。

ヒイィィ(゜ロ゜;三;゜ロ゜)ヒイィィ


ありがてえありがてえ…。

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