独白の夜/
カーブを曲がり続けるヘッドライトが可変を束縛されて以来
わたしたちにとって未来は一寸先の闇になった
目を向けるも見えず
予測の宝刀に甘えすぎるのも愚かな話だなどと
どうのこうの言っているうちにも進み続けているから
此処で騒いでいる暇はないのだ
つまり我らは感覚の徒
知能よりも知覚で
あらゆる過去を焼き
駆動する車両そのものとして
闇のなかで不確定のまま景色は流れる
眩しさだけを残して光線は過ぎる
言葉とは浴びるものではなく
汲み上げて掬い
静かに口へふくむもの
しかしそれはいつも後追いするもの
軌跡を残そうとする試みとして
或いは成功を収め
或いは(もしくは殆どは)無惨に終わってしまった
独白の夜に雨は降らなかった
星はひえびえとして明るく
街頭は科学的に静かだった
冬は進み続けた
遂に果てるその断崖まで
北風は奪うように吹き抜けていた
夜明けなど遠い昔の物語りのようだ