従六位下陰陽使える誕生!
[前回までのあらすじ]
茶会から離れ、色々な問題を京之介に聞かされながら、連れて来られた場所にいたのは、宿敵月法であった。
「なんで月法がッ…!?」
京之介とミカドの会話が帝里には聞こえてなかったため、まさか月法のもとに連れてこられるとは夢にも思わず、慌てて踵を返す。
が、それよりも先に月法の様子から察した月法の部下達がサッと帝里の周りを取り囲み、あっという間に退路を防がれる。
「……やめよ。またそ奴らに暴れられても、どうすることもできん」
突如殺伐とした空気が流れ、帝里とイブは身を構えるが、その仲裁をしたのは京之介、ではなく、意外なことに月法であった。
虚脱し諦めたように手で追いやる月法に、部下達も渋々と下がっていき、なぜか助かった帝里たちは困惑しながらも、月法と京之介のもとまで歩み寄る。
「調子に乗って色々明かすものではないな…まさか昼に来るとは…
確かに今のわしじゃお前らに勝てんかも知れぬが、れいなを譲る気はないぞ」
悔しそうにしながらも、キッと鋭く帝里たちを睨みつけてくる月法に京之介が慌てて止めに入る。
「月法様、落ち着いてください!こいつらは怪しい者ではなく、ミカドから陰陽使にするようにと言われ、連れてきた者でございます。」
「ミカドが?????陰陽使…!????」
さすがの月法も情報過多で理解しきれないようで、訳の分からない状況に様々な感情が入り混じった複雑そうな顔で呆然とする。
「いや、こいつはわしの屋敷を襲った…」
「え~っと…何のことですか?」
「は?」
おろおろと帝里を指差す月法に、帝里が白々しく惚けると、余裕がない月法が率直に苛立ちを顕わにする。
「服装を変えているのかもしれんが、昨日襲ってきた男がお前で!!そこの飛んでいるのが青髪の女なのぐらい分かるからな!?」
「いやいや、人間がこんな小さくなるはずがないでしょ」
「なんでこんな状況でそんなことがぬけぬけと言えるのじゃ!!?
お前が陰陽使なぞ絶対に嫌じゃ!!」
イブが言っていた屁理屈みたいなとぼけっぷりに月法が唾を飛ばさん勢いで食って掛かる中、隣のイブも不平そうに帝里に口を尖らせる。
「エル様、争いごとは避けたいのは分かりますが…月法も降伏気味ですし、もう少し高圧的に行ってもいいんじゃないでしょうか?」
「でも、あと数年間は居るかもしれないし、仲良くしておきたいじゃん」
「はぁぁ!!?」
突然の決定にイブは月法と同じように大声をあげ、耳元で叫ばれた帝里は思わず耳をふさぐ。
「な、な、なんで!?まさかッ…!」
「あぁ、京之介のを手伝う」
「やっぱり!?なんでそんなに乗り気なんですか!」
「乗り気というか、なんか断れなくてな…異世界で勇者になったときもこんな感じだったし」
さすがにレイル達と重ねることはないが、ここで引き受けるのが勇者らしいと、あの頃思い憧れた理想像が訴えかけてきて、もう一度勇者らしいことをしたいという思いが帝里の中で沸々と湧き上がってくるのである。
「それにずっと思っていたんだけど、タイムトラベメルで無理矢理年齢を戻しても大丈夫なのか?」
「それは…!ま、前も言ったように事例が無さ過ぎて正確には分からないですけど…り、理論上は元に戻る、はずです!」
「ほら~!全然分かってないじゃないか!!そもそも記憶も戻るのかぁ~?」
「それは戻ります。この時代に辿り着いた瞬間の状態に戻ることは確定していますから。」
「お、おぅ…確かに戻らないと何やっても無駄になるもんな…
じゃあ、あと十数年、俺らで育てた方が安全じゃね?」
「そうなんですけどぉ……うぎぃぃ…!今日のエル様なんかムカつきます!!」
どうやら今日の帝里は屁理屈を重ねるのが上手いらしく、痛いところを突かれたイブがどうしようもない苛立ちで髪を力任せに掻き上げる。
「ということだ、月法。暴れないから話を合わせてくれると嬉しいな~?」
「むぅ…」
昨晩はあんな強かった月法だが、なぜか本当に帝里たちに勝てないと思っているらしく、苦虫を噛み潰した表情を浮かべつつも、素直に従う月法に京之介が不安そうに声をかける。
「もしやこの者と面識が…?
しかし月法様、これはミカドの仰せでございまして、もし必要とあらば今からでもミカドの推薦状を―」
「よい、こいつの推薦状はすでにもらっておる。」
「え…?いつの間に??」
「…たく、どいつもこいつもわしの嫌がることをしよって…しかもここでか」
ミカドの歌会からここまで真っ直ぐ来たはずなのにと首をかしげる京之介をよそに、月法は深くため息をつくと、帝里たちの方を向く。
「しかし、なーぜか実力を知っている気がするが、お主に会ったことないので、実力を測るため試験をさせてもらう」
「あ、はい。なんかごめん…」
「昨日、ここに物の怪が出るということで退治する予定だったのじゃが、なーぜかわしの屋敷が襲撃されたせいで出来なかったんじゃ」
「分かった!悪かった!ごめんなさいぃ!!」
ねちっこい仕打ちに堪らず謝る帝里に、ようやく気が晴れたのか月法は満足そうな笑みを浮かべると、手を広げて屋敷を指し示す。
「ということで、お前の試験は『この屋敷に潜む物の怪を退治せよ』じゃ。手を抜くなよ」
「なるほど、ちょっと面白そうじゃねぇか」
月法のお題に、実は物の怪というものを見てみたかった帝里は少し心を弾ませながらその試験を引き受ける。
「全く…そもそもお化けなんていないんだからクリアできないじゃないですか…」
「いや、いるぞ」
「え?」
「え?」
呆れたようにため息をつくイブに帝里がさらっと返答すると、信じられない者を見るかのようにイブが帝里を見つめてくる。
「いやいやエル様、今までにどれだけの人が死んだと思うんですか?居たら今頃、地球はお化けでぎゅうぎゅうになってしまいますよ」
「いや、全員ならないけど…」
「そもそも非科学的もの未来人の私が信じるわけないでしょ!!」
「強い思いで死んだとき、根源マナが増大することで、根源マナが消滅せずに体外でも存在することが出来る現象」
「え?……え?」
帝里の異世界で習った説明に、小馬鹿気味だったイブの顔がみるみるうちに蒼ざめていく。
「お前…そんな馬鹿力持っといてお化けが苦手とか言わないよな?」
「だって!!あいつら私の魔法が全然効かないんですよ!!?」
「会ってんじゃん。観測してるじゃねぇか。
別に聖属性を使えば…ってそうか、お前はそういうテクニカルな魔法が使えないから打つ手がないのか」
「う、うるさいですね!!別にやろうと思えば地球ごと消滅させてやるので、実質私の勝ちです!!」
「フ〇ーザ様みたいな発想やめろ。ってことは俺一人でやらないといけないのね」
とはいえ、帝里の試験である以上、始めから一人でやるつもりであったので、戦力外通告を受けて更にふて腐れるイブを置いて帝里はゆっくりと屋敷の真ん中へ歩みだす。
「では、少し失礼して…“ブレイヴ・オクスタル”」
帝里はだいたい屋敷の真ん中辺りに立つと、ゆっくりと目を閉じ周りの気配を探るように少し上を仰ぐと、8つのクリスタルが帝里の周りに現れる。
そして8色のクリスタルがゆっくりと帝里の周りを漂いながら淡く点滅していき、少し経って帝里がゆっくりと目を開ける。
「……池の中、だな」
「…うむ、言うのを忘れておったが、それは分かっておる。」
「あれそうなの?なんか先走ったみたいで恥ずかしいじゃねぇか」
「すまん…じゃが、わしらが昼から時間をかけて見つけたのに、なぜ一瞬で見つけられた?」
「お、その発言、俺が無双してる感あっていいな!
フフン、魔属性探知には一家言あってね」
素直に驚いてくれる月法の様子を見て、すっかり気を良くした帝里は鼻高々に胸を張ってみせる。
「で、ここからどうするかってところなんじゃが…」
「突いて出てきたところ勝負でいいで、しょ!!」
月法の相談を聞く前に、帝里はすぐさま魔力の球を作り出すと、池めがけて投げ入れる。
「!!!」
ザパァーンと大きな水飛沫が上がった直後、それに呼応するかのようにさらに大きな水飛沫と共に物の怪の正体が姿を現す。
「…鯉…!?」
全長5mは優に超える巨大な鯉が高く宙に舞い、その迫力たる姿にその場にいた一同は大きく息を呑む。
「あんな巨大な鯉…!!やばいですって!!」
「落ち着いてくだされ京之介殿、でかいだけです
ったく、陰陽使の仕事は退治ではなく、この国の安全を守ることじゃ。今みたく京之介殿のような一般の方がいる所でこんな危険な無茶するでないぞ」
「ちぇ、はーい」
「なんで二人は落ち着いているんですか!!?あぁぁ!!!?」
月法から注意を受けて肩を窄める帝里であったが、京之介の言葉にならない叫び声に顔を上げると、なんと鯉がこちら目掛けて落下してきているのだ。
帝里がちらりと月法の方を見ると、帝里に向かって雑に顎で指図してきており、小さくため息をつきながら、飛び上がる。
「“ブレイヴ・オクスタル・エイノス”!!」
帝里の詠唱でクリスタルがすべて白色に輝くと、帝里の頭上に大きく円を描くように並び、それぞれが白い魔法の線で結ばれていき、網目状の線に埋め尽くされた円が形成される。
しかし、巨大鯉は臆することなくその円に突撃すると、中の線が伸びるように鯉の体を沿っていき、まるで網のように鯉の全身を捕らえる。
「ちょっと我慢しろよ。“エイノス・リーフェア”!!」
帝里がその網に触れた瞬間、網が一層眩く輝き、鯉がその光に包み込まれていく。
そして、その光のシルエットが少しずつ消えていくとともに、その大きさも小さくなっていき、光が完全に消え帝里が地面に降り立つ頃には、手には普通の大きさにまで戻った立派な鯉が網の中で元気よく跳ねており、帝里は訝しげに鯉を覗き込む。
「どうやら鯉が呪いにかかって巨大化していたようだな
でもなんでこんなところに綺麗な鯉が…?」
「…そやつはここの屋敷の主が大切に育てておった鯉じゃ
ここの主はその…少し不幸があってな……その恨みや怨念が呪いとなって鯉にまとわりついたのかも知れん」
「なるほどね…でも、感情だけで鯉は大きくならないでしょ」
「分かっておる。その感情を利用して呪術を組んだ陰陽使がいるのか、それとも……
…まぁ大体はこんな感じの事件ばっかじゃ。その鯉を早く逃がしてやれ」
月法に言われて右手を見ると、長い間捕まっているからか、網の中の鯉が弱々しく口をパクパクさせており、帝里は慌てて池に戻してやる。
「うむ、文句なしの実力じゃ。その水晶にそれぞれの8属性を詰め込でおるのか、面白いの」
「へへん、すごいだろ。正確には魂みたいなのだからめっちゃ強力なんだぜ」
月法が興味深そうに帝里のクリスタルを観察し始め、帝里は嬉しそうに月法の前に出して見せびらかす。
「実質生霊みたいなものか…
じゃあ、この水晶の合計量は今のお主の中の魂量よりも多いが、どっちが本体になるのじゃ??」
「え?いや、考えたこともないけど…確かにどっちだろ!?俺の意思に従うから俺が本体?」
「なるほど、8つに分かれているから1つの量は少なくなって…」
ふと子供のような純粋な目で尋ねてくる月法に、帝里は戸惑いつつも楽しくなっていき、思わず、月法としばしの間、議論に花を咲かす。
「あの、盛り上がっているところ申し訳ないんですが、えるさんの試験の結果は…?」
「おぉ、これは失礼しました、京之介殿。実力は問題ございませんが…」
じれったそうに尋ねる京之介に月法が恥ずかしそうに答えるが、すぐに真剣な面持ちに変わると、ジロリと帝里を睨みつけ、
「陰陽使となるからには、わしの指示に従ってもらう
それに……わしの娘であるれいなも渡さん」
「むすめ!!??」
初めて知った衝撃の発言に帝里とイブは驚きのあまり呆気に取られるが、だからといって玲奈を諦めるわけにもいかず、二人も月法の方を睨み返す。
お互いに譲らぬ睨み合いに、さぁと場の空気が一気に険悪になり、京之介や周りにいた者たちは思わず生唾を飲み込む。
そんな睨み合いがしばらく続いたが、はぁと小さくため息をついて折れたのは帝里の方であり、嫌そうな表情を浮かべると、
「分かったよ。お前の家に居ていいよ」
「エル様本当に良いのですか…!?」
「あぁ、取り返せたところでそれだと俺らは無職だ、食い扶持がねぇ…
でも、その代わり!!」
帝里がキッとした表情で再び月法を睨みつけ、一瞬ほっとした雰囲気をまた張り付かせる。
「このイブを、れいなの教育係として傍に置かせてもらう!!」
「え!?わたし!!???」
帝里の条件に皆が驚き、月法もピクリと眉を動かす中、何も聞かされていなかったイブが一番驚いており、ワタワタと帝里に詰め寄る。
「な、な、な、なんで私が!!?」
「理由は分からないけど、月法がお前に勝てないと思っているみたいだからな。余計なことをしないように牽制用だ
あと…」
戸惑うイブの耳元に帝里は顔を寄せると、他には聞こえないような小声で言葉を続ける。
「れいなが結婚しないように邪魔をしろ」
「!!!」
「出来れば、元の性格に似るようにもしてほしいけど…結婚さえしなければ大体はどうなかなるはずだ」
月法の下で育てて、一番面倒なのは玲奈がこちらで家庭を持ってしまうことである。
月法にどういう思惑があるのかは分からないが、跡継ぎが欲しいのなら手っ取り早く男を連れてくればいいはずなので、結婚を強要することはないと思うが、れいなが普通に恋愛をして、この時代で結婚した場合、二十歳に元に戻っても帰らない可能性がある。
そうなると現代の玲奈の家族に説明や時代の調整など、非常にややこしいことになってくるのだ。
「なるほど、確かにそれなら最悪私が奪えばいいですもんね!承知しました!!」
「ってことだ、月法。それでいいか?」
「……正直、お主らがれいなと関係があるのは分かる…それを近づけていいものか…」
帝里の条件に頭を悩ませていた月法であったが、「親のような存在が必要、か」と小さく呟くと、決心したように顔をあげると
「よかろう。実はれいなの才が高すぎて普通の女房(先生)では力不足だったところじゃ。
その女がわしの納得する才があるならば採用しよう」
「ふふん、仮にもメネラウシア王国第一王女。舐めないでください!
玲奈のあのナンセンスさ、叩き直してやりますよ!!」
イブはふんと鼻を鳴らすと挑戦的な態度で胸を張って答え、試すように覗き込んでいた月法がしっかりと頷く。
「じゃあ、お前もあとで試験じゃな。
あと、わしの屋敷ではこれを付けてもらう」
そう言って月法が懐から取り出したのは、どこかで見覚えがあるような三日月のような白い勾玉が付いた首飾りにイブが少し怯む。
「…それは?」
「いざという時に、お前の場所を特定でき、拘束もできるものじゃ
なぁに、疑っているわけじゃないのだが、うちは盗みが多くてな。特にお前はわしより強いからわしの威厳を保つためにも必要なのじゃ。
余計な事をしない限り、こちらも悪用は絶対せんから安心してくれ」
「…なるほど?分かりました」
わざとらしく肩をすぼめてみせる月法に、イブは無表情にそれを受け取ると躊躇なく首にかける。
表面上は和解したようでお互い裏では疑っているという、今の状況を象徴するかのような首飾りに、ぼんやりと見ていた帝里はふとあることに気づく。
「それ、イブじゃなくて玲奈につけさせるべきじゃね?イブを拘束できても、俺だけで逃げられるかもしれないし」
「「……」」
何気ない帝里の指摘に、月法とイブは思わず顔を見合わせると、はぁとお互いにため息をつき、そんな二人の様子に帝里は不安になる。
「…すまんかった、お主らはれいなとそんなに関係ないみたいじゃ。疑って悪かったな」
「え、なに急に…逆に全然嬉しくないんだけど」
「エル様…将来DVとかしないでくださいね」
「しねぇよ!!その話の飛躍の仕方おかしいだろ!てか、なんでお前らに結託して責められないといけないんだよ!!!」
良かれと思って言ったことが、事情が分かっている二人から批判されてしまい、何も知らない帝里が顔を真っ赤にして叫ぶのを見て、話がひと段落したと判断した京之介が仲裁に入る。
「はいはい、なんかお互い納得したのだからいいじゃないですか!
では、位階は…」
「うむ、従六位下ぐらいでも十分じゃろ。」
「おぉぉ!?いきなりそこまでとは!えるさん、おめでとうございます!!」
いまいち位階がよく分からないのだが、手を叩いてはしゃぐ京之介に帝里も気を良くし、恥ずかしそうにしながら頭を掻く。
「では、色々な手続きなどがあるので、私とえるさんはここで失礼させてもらいますね」
「あ、京之介が手伝ってくれるのか、悪いな…」
「いいんですよ!それより、僕の方を手伝うって言ったの忘れていませんよね?」
目を輝かせて尋ねる京之介に、月法とのやり取りで少し忘れかけていた帝里は慌てて首を縦に振る。
「京之介殿がしていただけるとは…では、私も退治が済んだので屋敷に戻りますゆえ、何かあればそちらまで
えーっと、える?でよいのか?この女を借りるぞ」
「私はイブです!!!」
頬を膨らませて食って掛かるイブを月法に任せ、帝里と京之介は屋敷を後にし、京之介の牛車まで戻る。
「お、おかえりなさい…」
「おぉ、いろは!決まったよ!従六位下陰陽使だって!」
「!!!お、おめでとうございます…」
驚いたように頭を下げるいろはに、まさか自分が平安貴族になるとは、再び実感が沸いてきた帝里はワクワクと胸が高鳴ってくる。
「よーし!!いっちょこの平安京を救ってやりますか!!」
澄んだ冬空に向かって腕を伸ばし、従六位下陰陽使・えるとなった帝里は高らかに宣言するのであった。
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「臭い!!!」
一方、月法の家に連れられて行ったイブであったが、いきなり鼻を押さえて、顔を歪ませていた。
「なんでこんなに香を焚いているのですか!?」
「いや、焚かぬと様々な臭いが…」
「なら捨てなさい!風呂に入りなさい!!清潔感は大事です!」
「じゃが…」
月法に認められえてさっそく文句言い放題のイブに月法が食い下がろうとするが、はぁとイブがため息をついて月法の方を向く。
「いいですか?なんか知らないですけど、この時代の人はほんとに黒髪ばっか好きで、私やれいなの金髪では普通にしていてはダメなんです!!」
「じゃあ、どうするんじゃ?」
「ふふん、任せなさい!」
実体験に基づくイブの指摘に月法がほとほと参った様子で音を上げる中、イブは自信満々に胸を張ると、
「未来の美しさというものを平安の人たちに見せつけてやりましょう!!」
そう言って不敵に笑い、帝里とイブの平安時代での挑戦が始まるのであった。
というわけで、年中に終わらせたくて少し最後が雑になりましたが、ここで前編、玲奈幼少編は以上です。お疲れさまでした。
時代が変わることで、設定や様々な変化があり、分かり辛かった箇所もあったかと思いますが、これからも頑張っていくのでよろしくお願いします!




