[補足] 時間移動のお話
※補足について
今回の内容は、裏設定みたいなもので、始め活動報告にでも書こうかと思いましたが、次章の発端など、わりと今後の話に関わってくるので、補足という形で書くことにしました。
なので、あまり興味のない方は飛ばしていただいても大丈夫です。この先で必要になったら、そこで再度説明すると思います。…まぁ、二話連続説明回というのが嫌だったのが本心ですが…
なお、最初は現実的な内容にしようと物理の勉強をしてみたものの、途中で面倒になり、かなり物語に都合の良い設定になっておりますが、ご了承下さいm(__)m(さらっと遅れた理由アピール)
それではゆっくりしていってね!!!
「ハァ…これで分かりましたわね?」
「あ、ならついでにもう一つ」
「まだ何かあるのですか…今度はなんなのです」
イブと帝里の様子を見て、モミが強引に話を終えようとするが、帝里にはまだ聞きたいことがあるらしく、まだ質問を続けようとする帝里を見て、モミが辟易しながら嫌そうに尋ねる。
「いや、お前は菓子食ってただけだろ…んで、聞きたい事ってのはタイムマシンの事なんだけど」
「むっ、タイムトラベメル!」
「はいはい、タイムトラベメル。で、それが一体どういう物か聞きたい。そうすりゃ、またイブが未来に帰ることがあっても、いつ帰るか分かるし」
「あ、そういえば、エル様にいつ帰るか言ってませんでしたね。まぁ、あっちで面倒事に巻き込まれていたので予定よりもかなり遅れたんですが…
でも、それは私よりもモミに聞いた方がいいですよ。この子、タイムトラベメルの研究の責任者ですし」
「はぁ?いやいや、こんな中学生ぐらいの子には無理だろ」
「失礼ですわね!!私たちメネラウシア王国は魔法や科学、法律といった各分野の管理をそれぞれ王家の者に任せていて、私は時空移動分野、つまりタイムトラベメルについての分野を任されており、私の指揮のもとで研究が行われているのです!」
「ちなみに私は生まれつきの魔力の高さから、魔法分野の責任者ですよ。でも今は魔法科学ばかり注目されていて、もうほとんどやることはありませんが…」
「へぇ、色々あるんだな」
幼いときから小難しいことを頑張っている二人に帝里が素直に感心すると、ここぞとばかりにモミがベッドから飛び出し、誇らしそうに両腕を組み、胸を張る。
「もちろん、時空移動については禁則事項ですが、一応私を助けてくれたお礼ということで、特別に!何でも答えてあげますわ!さぁ、なんでも聞くのです!!」
ベッドの脇に腰掛けると、モミが偉そうな口ぶりで応えるが、口元のにやけが隠せていない。研究者の性か、はたまたこの年頃だからなのか、得意分野を語れるのが嬉しくて仕方がないといった様子だ。
「めっちゃ乗り気なのな。じゃあ原理みたいなのを教えてくれよ。時空大三原則とか、時空固定剤?とかいうのがあるんだろ?」
「ふむ、所々間違っていますが少しは知っているようですわね…じゃあ何から話そうかしら」
モミは少し驚いた表情を見せると、手を顎に軽く当てて、少し考え始める。
「…よし、では間違いを正すとこから!
まず、時空大三原則じゃなくて、正確には‘時空三大原則’ですわ。
時空三大原則とは、『世界は変化を疎み、最低限の力で元に戻そうとする』という時空大原則と、それによって起きる時空三原則というのを合わせて指す言葉なのです。」
「あーあれか、歴史の自己修復力ってやつか!」
「まぁ…平たく言えばそうですね。で、その世界が時空移動によって起きた変化を最低限の労力で抑えるために時空移動者に行う措置が時空三原則ですわ。内容は、
第一原則、時空移動の際、移動者はその時間分の影響を受ける。
第二原則、同時間軸に同一人物が複数存在するとき、その時間軸で最新の存在が優先され、他は消滅する。
第三原則、その二つの原則のうち、どちらかの条件を満たすとき、その時間軸に応じた情報の影響を受ける。
というものなのです」
「うん…ん…うん??」
「これで分かるとは思ってませんから落ち着きなさい。一つ一つ説明していきますわ」
モミがすらすらと述べる三原則を全く理解できず、帝里が目を回していると、それを見たモミがため息を吐きながら立ち上がり、京介の机に置いてあった白紙に、時空三原則の内容をもう一度書き起こしてくれる。
「はい、これで見やすくなりましたわね。
さて、一番上の原則は簡単ですね。要は移動した分だけ歳を取ったり、若返ったりするってことなのです」
「待て、じゃあ自分の死後の未来に行ったらどうなる?」
「その人が本来送るはずだった人生の上限値、つまり死ぬ直前のままの状態に止まり、着いた瞬間、死にます。逆も然り、生まれる前の過去に行く場合も同じなのです」
「えぇ…着いた瞬間死ぬって…なんか悲しいな…じゃあ、なんでイブやお前は普通に移動できているんだ??」
「それがさっき、あなたが言い間違えていた時間軸固定剤という発明品のおかげなのです!」
モミが掌を広げると、いくつかの小瓶が召喚され、帝里の目の前に現れる。瓶の中には、丸剤のような物が詰められており、それぞれの瓶で赤色や青色など、入っている錠剤の色が違っている。
「なんか危ないお薬に見えるんだが」
「こ、これは間違えると大変なことになるから仕方がないのです!!
とにかく、これが時間軸固定剤、それぞれが決まった時間軸を持っており、飲むと飲んだ時の体の時間状態のまま、薬に応じた時間軸まで、時空を行き来できますわ」
「へぇぇ、それはマジで凄くないか!?」
「でしょ!?基本的な使い方は自分の今いる時間軸の固定剤を飲んで他の時代に行きます。そうすれば、飲んだ時の体のまま、時間移動が出来ますわ!!
でも、ちょっと問題があって、成分の都合上、過去までの時間軸の物しか作れず、また過去にしか行けません。一応未来の人からその未来の固定剤を貰えば、未来へ行けるという裏技もありますけどね。あと、一度その該当の時代に行くと薬の効果は消えますわ」
「え、じゃあ歳を取らないのか!?イブはここでは不老不死なの!!?」
「いや…時空が進んでいるのに体に時間変化がないと、身体に負担がかかるので、私は解除薬という体の時間の流れを戻す薬を飲んでいますよ。だからエル様と同い年のままです♪」
「えっ、俺とお前って同い年だったの。なにげに初情報なんだが」
「あれ?一つ歳下だったっけ…時間移動すると歳の計算が面倒になるので分からなくなるんですよね…まぁ同年代?ですよ!!」
勝手にイブは年下というイメージがあったので、帝里は少し衝撃を受ける。とはいえ、ただ普段の小さい見た目からそう判断していただけであり、実際の姿からも帝里達と近い年齢なのは確かなようだ。
「イブ姉様の歳の計算はまた後でするとして…これが一つ目の原則なのです。さあ、どんどんいますわよ!」
「そうだな。で、次は…『同時間軸に同一人物が複数存在するとき、その時間軸で最新の存在が優先され、他は消滅する。』か。これがさっぱり分からん」
「これも文字通りなのですけど…要は同じ人間は同じ時間軸にいられないってことなのです」
「え!?じゃあ未来の俺が来て、俺を助けてくれるとかいう展開はないの!!?」
「ありえませんわ。会うどころか、来たあなたが最新の存在なので、来た瞬間に元々居たあなたが消えますわね」
「うげっ…それは逆に来ないで欲しいな…」
気づかぬうちに自分の存在が消えていることを想像すると、少し恐怖を覚え、思わず悪寒が走り身震いしてしまう。
「あなたが生きている間には完成することはなく、あなたにそんなことは起きないので安心していいのです。これで時空移動の時に起きる原理は以上ですわ!」
「ん?でも、まだ二つだぞ?最後の原則は??」
「最後のは、この二つが起きたとき、世界が行う微調整みたいなものですわ。過去から来たならそれまでの記憶を与え、逆に未来から来たならその分の記憶を消す。あとは着地した位置がずれていたら本来の位置に修正するぐらいですかね。
あと、『どちらかの条件を満たすとき』というのは、時間軸固定剤で第一原則をくぐり抜けても、第二原則、つまり別の自分がある時代に行けば、強制的に解除されて、その前にいた時の時間状況、要はそのときの時間軸に合った年齢にされる、ってことなのです」
「はぁぁ!?じゃあ過去に戻っても何も変えられないじゃないか!!」
「当たり前でしょ!?変えられたら困るのですってば!!」
「ハァ、つまんな…どうりで誰も興味ないわけだぜ」
「うっさいですわね!!どうすることも出来ないんです!!時間軸固定剤を発明しただけでも人類は十分頑張ったのです!!」
「でもそれを飲んで俺が17歳の時に行っても、結局17歳に戻されて記憶はないんだろ?無意味じゃん」
「エル様、そうとは限らないですよ。時間軸固定剤のおかげで、自分の生まれる前の時代に行くことで、その時代に初めての存在となって未来だって変えられます!現に私がここにいるじゃないですか!!
あ、でも、もう一度やり直すのは、時間移動したここも自分のいた時間軸になるので、例えば、今の私が源蔵を止めようと過去に戻っても第三原則が適用され、記憶が消されるのでそれは無駄ですね」
「えぇ…そういや、前に体験出来る歴史の教科書とか言ってたけど、今の話だと一つの時代につき一回限りのポンコツじゃん」
「うぐぐぐぅ…言わせておけば…!」
モミが悔しそうに肩を震わせる中、期待していたタイムマシンの全く違う現実に帝里も少し落胆し肩を落とす。
「でも、この世に絶対はないのです!!なので、過去に戻ることで、どこかで誤差が生じ、未来が変わる可能性もあるので無価値ではないのです!」
「…うん、でも、なんというか…非効率だなぁ…」
モミの必死の弁解に帝里は少し気の毒になり、あまり納得はいってないが、モミ宥めるためにも頷いておく。
その様子を見て、モミもいくらか冷静を取り戻したが、散々タイムトラベメルを馬鹿にされて、すっかりへそを曲げてしまい、プイッとそっぽを向き、悔しそうに体を震わしている。
「あの、ちょっといいですか?」
困ったようにイブがモミをあやしていると、先程から部屋の奥の方で黙って帝里達の話を聞いていた京介が、なにやら疑問があるようで小さく手を挙げる。急に声をかけられてモミも少し驚いたようで、キョトンとした表情で振り向くが、すぐに得意顔に戻り、嬉しそうに手を京介に差し伸ばして促す。
「えっと、今の話は理解できるんですが、最小限の労力というわりには、なんか無駄が多くないですかね?特に第二、第三原則とか、わざわざ記憶を消したり、場所を移動させたりしなくても、そもそも来た人の存在を消せば、それで解決すると思うんですが」
「……かなりセンスのある質問ですわね」
身を乗り出してウキウキした様子で聞いていたモミが京介の質問に心底驚いたようで、少し真面目な表情に戻る。
「こんなタイムトラベメルの素晴らしさの分からないおバカでは理解して満足するだけで、気づかないだろうと思って黙ってたんですが、」
「おい誰がおバカじゃ、こら」
「説明不足でした、すいません。もちろん、それには理由があって、それは連続性なのです」
「連続性…?」
「はい。人生の流れとでも言いましょうか、あなたの言った方法では過去に戻った場合、来た人の流れがそこで完全に止まってしまいますわ。その滞りによって起きる影響の方が世界にとっては痛手のようなのです。」
「え、でもそれは本来いた人を消しても同じじゃ…」
「いえ、確かに本来の流れは途切れますが、第三原則の調整によって本来の流れも擬似的に続いている形になり、なんとかバランスを保つことが出来るみたいですわ」
「むむむ、少し強引ですね…。…でも、それはそれで、記憶を消されているのだから、その人はまた過去に戻ってしまう、という無限ループが出来そうですが、それは変なエネルギーとか生まれないんですかね?」
「……クスッ、フフフッ…」
何気なく聞いた京介の質問にモミが急に笑い出し、皆がギョッとしてモミを見つめるが、別に馬鹿にしたというわけではなさそうで、とても楽しそうに足をばたつかせながら笑い声を弾ませる。
「ふぅ、ごめんなさい。でも、最高ですわ!この時代でこんなやりとりができるなんて♪どうです?未来で一緒にタイムトラベメルの研究をしませんか!?」
「いや…さすがに、それはちょっと…」
「そうですか…残念ですわ…
あ、話を戻しますが、このままではあなたの言う通り、無限ループが出来てしまい、世界に影響が出ます。それを防ぐために世界はちょっとした手を使うのです!」
「ちょっとした手…?」
「さっき言った未来が変わる可能性の誤差にも関係がある話なのですが、実は全ての記憶が消されるわけではなく、タイムスリップしたという事実だけは覚えているのです!」
「…それで何か変わるんですか…?」
「想像してみて下さい…自分は何か変えたいからタイムスリップしたのに、何も思い出せず、結局同じ未来を辿ってしまったら…」
「それは…辛いな…」
モミの言葉通りの状況を思い浮かべた帝里と京介の顔が曇る。もしそれが辛い運命だったらなおさらのことだろう。
「一応とても印象深いことは覚えていたり、それに近づくと思い出したりするようですけどね。
あと、ループするごとにその人の生命エネルギー、つまり寿命をほんの少しずつ消耗していきますわ。しかも、誰かにタイムスリップしたということを伝える、という発想自体を消されているので、孤独で挑まなければならず、かなり過酷ですわ」
「…うへぇ…なんて心折設計なんだ…」
成功率は限りなく低く、自分の寿命と精神を引き換えに可能な時間遡行。それは、もはやギャンブルのようなものであり、相当の信念がない限り、誰もタイムスリップしようと思わないだろう。
「最後にきて、人間の感情を利用するといった残忍な方法で後味が少し悪いですが…これで全てですが、分かりましたか?」
「あ、はい、ありがとうございます」
「ちょいちょい!俺が聞いてたのになんで質問者が京介に変わってんだよ!!」
「だって、あなたが理解できてなさそうでしたし」
「俺だって理解出来たからな!!?てか、そもそも聞きたいのはこういうのじゃなくて、もっとタイムスリップの直接的な方法!!タイムトラベメルを使ってどうやって移動するとか!!」
「あぁ、そっちでしたか。でも、この時代だと大体の人は三次元までしか分からないんじゃなかったですっけ」
「まぁ、エル様はある意味二次元に関してはとっても強いんですけどね」
「うっせぇ!!それより責任者なんだろ?そこをなんとか…」
「むぅ、かなり無茶言ってきますね…」
モミはかなり嫌そうな顔を露骨に浮かべながらも、目を瞑って腕を組み、帝里でも分かる説明の方法を考えてくれる。
しばらく沈黙が続き、一人で長考に耽っていたモミがようやく目を開け、腕組みを解く。
「少し齟齬が生まれるかも知れませんが、これで大体理解できると思います。いきますわよ!
まず一つの球を想像して下さい。それが今、私たちがいるこの世界を表しているとします。そして同じように一瞬後の未来、またその一瞬後の未来、といったように球があり、それらが順番に一列に無限並んでいるとします。これが時間の流れを表してますわ。」
「ふむふむ」
「この球は一つ一つ独立しており、各々が自由に自転しています。そして、タイムトラベメルの時間遡行とは、ある球の中にある一点と別の球の一点を結びつけ、その出来た線上を移動するということです」
「………それだけ?」
「はい、これで全て完璧に説明出来るはずですわ!えへへ、すごいでしょ」
かなり今の説明が上手くまとめられていたのか、モミが自信満々に応えるが、もっと複雑な物を予想していた帝里はあまりのあっけなさに唖然としてしまう。
「えっ、ラプラスの悪魔とか相対性理論とかは!?」
「それ、分かってて言ってますの…?そんな難しい理論を用いずに説明出来るところが、この説明のポイントなのです!!」
「いや、でも…」
「あーストップ!言わずとも、あなたの質問は分かっていますわ!!歴史を変える可能性のある危険な存在であるイブ姉様を色んな時代の人々が連れ戻そうとするはずなのに、なぜ来ないか、ですわよね!!?」
「え?…確かにホントだ!!なんで!!?」
期待していた反応と違ったのか、「え?」とモミが少し戸惑うが、慌てて咳払いをすると、そうだろうと言わんばかりに何度も頷いてみせる。
確かにモミの言う通り、イブがもと居た時代だけでなく、それより過去、未来の時代の人々にとっても、イブの存在は歴史を乱す脅威であるはずだ。
特に未来では重要人物にされているらしい帝里とともに行動を取るなど、歴史が大きく変わる可能性があり、様々な時代が協力してイブをもとの時代に連れ戻そうとしても、おかしくはない。
「…おいイブ、お前未来が変わるってどういうことか分かって、ここに来ているよな?」
「わ、分かってますよ!!別に歴史を壊そうとかじゃなくて、すこーしだけ変えて、無駄な内戦や犠牲者をなくし、むしろ未来をより良くしたいと思っているだけです!!!」
「そう、ならいいけど…で、話戻すけど、なんでどこの時代も来ないんだ?」
「へへん、なんとそれはですね!このイブ姉様の采配なのですわ!!」
モミがまるで自分の功績のように誇らしげに、両手をひらひらと振りながらイブの方を指し示す。
「イブが…?」
「そうです!さっき言った二つの時代を結びつける線を解除せずにそのまま固定しているからなのです!!
この線が結びつけてある状態だと、二つの時間軸はその線を軸とする回転に変わるのです。このことにより、例えば他の時間軸が移動して来ようとしても、その回転で線が吹き飛ばされてしまい、来ることが出来ない、という寸法です!!」
「えっと…つまり行き来できる状態で繋がった時間軸には他の時間軸からは来られないって事…?」
「まぁ、そういうことですが…せっかく新しく考えた説明を使って理解して下さいよ」
モミが拗ねたように頬を膨らます。しかし、今の説明おかげで帝里の本来の疑問も解決することが出来たのである。
帝里の疑問は前に言っていたように、イブが未来に帰った瞬間にイブが帰ってこればすぐに帝里の所に戻ってこられるのでは、というものだったが、それもこの時代と未来を結びつけているせいで、未来で過ごした時間分だけこっちの時間も進んでしまった、と考えるのが正しいだろう。
「いや、ちょっと待て。お前の考えた理論だと、結びつけている間の時間軸にも貫通してるから行けるんじゃないか?」
「ええ、行けますわよ。でも、自由に自転しているのでどこの地点に着くか分かりませんわ。一瞬後の到着地点は地球の裏かも知れませんし、土星かも知れないのです!!」
「なるほど、そこで自転が出てくるのか。そりゃどこに出るか分からないなら、来ないわけだ」
「そういうことで、イブ姉様を追いかけてくる時代は一つに制限され、数で押し切られないようするという作戦なのです!!さすがはイブ姉様、専門分野でもないのに凄いですわ!!」
「え、いや、別にそんなつもりは…しかも、どこの時代に行ったかすぐにバレてしまうんですけどね…実際この子もここまでついてきましたし」
姉には甘いようで、手放しにイブのことを褒めるモミに、イブは恥ずかしそうに照れる。しかし、帝里はそんな二人が目に入らないといった様子で、急に深く考え込み始め、その様子を見てイブとモミもピタリと動きを止める。
「なぁ…俺らの一瞬前後の時代も、お前達の一瞬前後の時間と結びついているのか?」
「さぁ…?私たちもどこに行くことも出来ませんからね…。でも、絶賛イブ姉様が今、未来を変えているので、私たちの未来があるのかすら分かりませんが、私たちの過去は同じようにイブ姉様によって結びついていると思いますわ」
「じゃあどの時代もお前達の十年前には行けないんだな。正確には十一年前か。」
「はぁ?確かにそうですが、なんでそんなこと…あぁ!」
帝里が何を言いたいのか分からず、意味ありげな帝里の態度にモミがムッとした表情で応えるが、途中でモミも分かったようで、大声を上げる。どうやら相当驚いたのか、口を開けたまま目をパチクリさせている。
「え、ちょっと急に二人でどうしたんですか。私にはさっぱり…」
「おー、やっぱ張本人は気づかないもんなんだな。ほら言ってたじゃん、十年前に未来からの連絡が途切れたって」
「ええ、確かに言いましたが…あ、」
ようやく気づいたイブがモミと同じように声を漏らし、目を見張る。
帝里が言いたいのはこうだ。イブがどの時代でも未来と今を結びつけているせいで、未来から他の時代に行くことが出来ず、そのせいで十年前に未来からの訪問が途絶えたのではないのか、ということである。
「え…じゃ、じゃあ内戦の原因だけでなく、発端も…私…?」
「だ、大丈夫なのです、姉様!!その、さっきも言ったように今未来が変わっているはずなので、本来あったはずの未来もあるはずで、そこからも来てないということは、そもそも来られなかったのですよ!!!ねぇ!あなたもそう思いますわよね!!?」
「あ、ああ!そもそもイブが永遠に結びつけるなんて寿命的にも無理だろ?お前が原因なら、その後から訪問者が来ていると思うぞ!」
帝里は気づいたことを口に出しただけだったのだが、イブには相当応えたみたいで、病みそうな勢いで急にかなり落ち込むイブを見て、モミが慌てて擁護し始めるのに、帝里もしどろもどろながらに続ける。
「うぅ…でも…いや、分かりましたエル様、私たちで未来から訪問者が来なくとも内戦が起きないような未来をつくりましょう…!」
「おう、その調子だ!訪問者に頼り切っている未来が悪いんだよ!!この先どうなるか全く分からないから、我武者羅に切り開いていくことで、歴史は作られていくものなんだぜ!!」
「ちょっと、エル様!それ私のセリフです!!…もう!さっきまで自分の未来に助けて貰おうとか言ってくせに!」
「へへ、バレたか」
編集中にふと思ったのですが、帝里が異世界に行っている間の時間に帝里が戻ったらどうなるんでしょうか?笑 異世界というからには世界が違い、戻っても大丈夫なんですかね。
こういうことを考えているから、投稿が遅れる…因みに、答えは戻っても、記憶が消され、異世界のいた場所に飛ばされるだと思います。理由は後々の設定なのでお楽しみに!




