さよなら異世界
「では異世界の先輩の方々、お先に失礼しまーす!!」
右手を天に向かって突き出し、そう高らかに宣言するのは、討伐祭のときとはうってかわって、ごく普通の制服を着た高校生、入多奈帝里である。
戴冠式から七日の間、魔王討伐祭は盛大に続き、そして八日目の早朝、皆が疲れて寝静まる中、帝里は城内をこっそりと抜け出し、郊外の外れの方にある洞穴の前にまで来ていた。
この、奥の様子が全く分からないほど真っ暗な口をぽっかりと開けて佇む小さな洞穴には古くから、異世界と繋がっているという言い伝えがある。
そのため神聖な場所として普段から人が寄り付かず、今も前に立っているのは帝里とレイルだけで、付き添いのアテルとお供の数名は少し離れたところに待機していた。
そんなところへ何しに来たか。それはもちろん帝里のもと居た世界に戻るためである。
しかし、かなり現実離れしたこの異世界に長く居すぎたせいか、帝里は元の世界の記憶がほとんど残っていない。自分がどんな生活を送っていたか少し不安だが、それでも、帰れる嬉しさと元の生活への期待に胸を躍らせていた。
「てかさ!てかさ!大体、異世界って転生して来るか、召喚されたままとかで、元の世界に帰れないことが多いから、俺って結構レアなケースじゃね!!?」
「それは分かりませんが…
…エル、この世界を救って下さり、本当にありがとうございました」
「ちょっ、レイル!?頭下げないで!?そういうのなしって言ったじゃん!!
ほら、俺はただ元の世界に戻りたかっただけだから!」
「それなら、この洞穴が復元した1年前に帰っていたはずです。
やっぱりエルは正真正銘、勇者様なのですよ」
慌ててレイルを止めるが、顔を上げたレイルの覗き込むように帝里の目を真っ直ぐ見つめてくるその視線に、帝里は反応に困ったように目を逸らすと、手持ち無沙汰に洞穴の横にある窪みを見る。
その洞穴の入り口の窪みには大きなダイヤモンドをまるで花のように金の花弁で覆った宝玉が嵌め込まれており、これが帝里の世界と繋ぐ鍵になっているらしい。
しかし、奇しくも帝里が来たその日、魔王軍がここを攻め、この宝玉を奪っていってしまい、この洞穴は帝里のいた現実世界へ帰るための機能を失ってしまったのだ。
そして、この異世界に閉じ込められてしまった帝里は、帰るために宝石を取り戻す、延いては魔王討伐を目的に冒険を始めたのである。今思えば、魔王は自分が帰られないようにした帝里に倒されたのだから、宝石を奪っていったのは魔王最大の失敗と言えるかもしれない。
そんな宝玉も、実は魔王を倒す一年前に帝里たちは取り返しており、宝玉を洞穴の元あったところに嵌めると、見事、元の世界に帰る入り口の役目を取り戻していた。
しかし、帝里はそこで帰ることはせず、そのあと一年かけて魔王討伐まで成し遂げた。なぜ自分が帰らなかったのか、理由は帝里自身よく分かっているのが、誤魔化そうとして誤魔化しきれず、少しばつが悪くなり、慌てて話の話題を変える。
「…にしても、女王様?女王様?これは…一体何なのでしょうか?」
「勿論、我が旧帝国および総聖国の誇りである英雄様と勇者様ですよ、勇者様?」
先程から出来るだけ無視しようとしていたのだが、その洞穴の隣に建っている二体の石像の存在感が気になって仕方がなく、我慢できずに帝里が恐る恐る指さして問いただすと、待ってましたとばかりにレイルが嬉しそうに鼻を鳴らしながら自慢げに答える。
片方の石像は、『勇者 エルクウェル』と彫られた土台に左手は腰の後ろの太刀に手をかけ、右手は腰に下げている方の剣を空に掲げている帝里らしき像で、もう片方は『英雄 クラウディオス』と書かれており、前に突き立てた大剣を片手でつき、もう一方の手で魔法の杖をかかげ、重々しい鎧を纏い、その背中から羽を生やしている。
このもう一人の石像のモデルであり、魔王討伐祭で帝里と並び、守護の英雄と呼ばれていたクラウディオス、略称クラウは魔王を倒した帝里とは別で、文字通り守護の面において英雄と称えられてた人物である。
まだプトレミーシアが旧帝国だった頃、魔王軍がプトレミーシアに侵攻し、プトレミーシア帝国が滅びそうになったとき突如現れ、魔王軍の壮絶な攻撃をたった一人で防ぎきったのだ。
そのとき、クラウディオスは鎧を脱ぎ、背中に羽を生やし、片手に魔法の杖を持った姿をしていたということで、そのときの姿が石像の参考になったようだ。
なお、顔は誰も見られなかったので確証はないのだが、このときの細い容姿と普段の甲高い声から、実は女神ではないのかとか、レイルと仲がとても良いことから実は女中であるとか、要は、この英雄は女ではないのかという冒険者の下心丸出しの噂が飛び交っていたりする。
それはさておき、そのときの活躍により守護の英雄とされ、その後も各地で活躍したり、帝里の魔王討伐を支えたりと、名声をさらに高めていき、総聖プトレミーシア王国建国の際、その国旗に帝里と共に、クラウディオスは国の象徴として、自身の杖が描かれるまでになったのだ。因みに帝里のは八色の周りを取り囲んでるやつである。
「いやぁ、あのキャラに天使属性とか、異世界人の俺でも勝てねぇわ…
討伐祭でも俺より人気だったし…」
クラウの石像を改めて見て、思わず苦々しい表情を浮かべながらしみじみと帝里が呟く。しかし、この英雄がいるお陰で、帝里は安心して元の世界に帰れるのだ。
というのも、実は魔王は強大すぎて、帝里達では完全に倒しきれず、城の地下に厳重に封印されているのである。
封印された魔王はまるで魂のような濃い紫の炎の姿をしており、放っておいても死ぬ様子はなく、一体何物かも分からないが、力は完全に封じ込めたので、封印を自力で解くことはないだろう。
ただ魔王は倒したものの、生き残った魔王の息子、娘といわれる、魔王と結びつきが強い幹部たちや魔王軍の残党がまだ存在しており、その連中が魔王復活を目論み、再び攻めてくるかもしれない。
そこで守りのプロであるクラウディオスがいれば、帝里が居なくなっても万事解決というわけなのである。
「あっ、文官勇者テリーの像もたてましょうか!?」
「黒歴史を掘り返さないで……因みに、これはなんなの??ただの宝石…ってわけじゃないでしょ」
ほろ苦い古い記憶を思い出させられて顔をしかめる帝里は、目の前の二人の石像の土台に書かれた名前の下にそれぞれクラウは白色、帝里は虹色の宝玉が嵌め込まれているのに気づく。
「さっすが鋭い!良いこと聞いてくれますね♪
これはそれぞれのマナを送り込むと作動する超レアな仕掛けなんですよ!クラウの方は自身の防御魔法の力を大幅にあげる術式を、エルのは全土で花火があがり、討伐祭を思い出せる術式を組み込んであります♪」
「俺だけ全く使えない機能じゃねえか!」
「だって、エルはほとんど国に居なくてマナをよく調べることが出来ませんでしたし…
でも、結構費用かかったんですよー…大体国家予算半分くらい…」
「間違ってる!使い方絶対間違ってる!!」
この女王様は片方は用途が見つからず、さらには肝心の起動できる人間が今から居なくなるという代物のために、なんと今や全土にわたる王国の予算半分を使ってしまったのだ。
もう片方は充分価値があるし、きっとその費用には先日の討伐祭のも含まれているとは思うが、まだまだ自由奔放なところが抜けておらず、この国と共に将来が不安である。
しかし、帝里の心配を余所に、レイルは討伐祭のときと同じようにプルルと人間より長く少しとがった耳を震わせて、誇らしく、楽しそうに胸を張る。
そうレイルはハーフエルフなのだ。
ハーフエルフといえば、空想の話ではよく、人間とエルフ双方から忌み嫌われてる存在であることが多いが、この世界では全くその逆で、一目置かれている存在である。
というのも、なぜか魔王や魔族はハーフ種を忌み嫌い、避けようとするので、このことから魔に対して有効な存在として優遇されているからであり、そういう意味では魔族には嫌われ者かもしれない。
千年も昔に遡れば、やはりハーフエルフは人間とエルフの双方から迫害されていたようだが、そのとき魔王が誕生すると共に、それを退散させた勇者がハーフエルフを擁護し、また先の理由から優位な存在とされ、魔に対抗する帝国が建立された。それが旧プトレミーシア帝国である。
そして、それが一年前、周りの国々を全てまとめ、総聖プトレミーシア王国となったのだ。
その際、もともと紅の下地に左に黒い円と右に白い円、真ん中に木の枝が金色で描かれた国旗であったのを今の国旗に変更した。だから、今の国旗には帝里やクラウの象徴が描かれているのである。
因みに旧帝国の国旗に描かれている金の木の枝は実在し、プトレミーシア王家の家宝となっている。戴冠式で貰った栄冠はこの木の枝から長い年月をかけて生える葉を取って貯蓄してきたものが使われており、その貴重さからも帝里とクラウの功績の偉大さがわかる。
「あっ…えっと、その、今更だけど本当に帰れるよね?
『さよならー!』って入ったものの『やっぱ無理でしたー!』って戻ってくるのは、むっちゃ恥ずかしくて嫌なんだけど…」
「一度壊れましたが、多分大丈夫なはず、です!これまでこの世界に迷いこんでいた人々や、さらには千年前国を建てた勇者様もこれで帰ったという記録があります!!」
前勇者様も異世界人だったのか。ということは、現代のハーフエルフ萌えは千年続く遺伝子なのかもしれない。
そんなバカなことを考えながら帝里は洞穴に手をついたとき、ある考えが帝里の中で閃き、ハッとレイルの方を振り返る。
「…なぁ、千年前からあるなら、逆に数名ぐらい、こっちの世界から俺らの世界に来ててもおかしくないよな…?いや、きっといるはずだろ!!」
「…それはないと思いますよ。なぜなら……と言うより見せた方がはやいですね。
では…“ホルベーラ・ナハルトス”!」
「なんで魔法!?しかも今のって…!」
いきなり魔法を詠唱するレイルに仰天するのも束の間、帝里が空を見上げると、もうすでに視認出来るまで黒く巨大な物体がこちら目がけて空からすごい速度で落下してきており、帝里の顔からさぁぁと血の気が引く。
隕石の国らしく、プトレミーシア王家の血を引くものだけが使える魔法“ホルベーラ・ナハルトス”は隕石を降らす魔法で、現に直径10m程の隕石がこの洞穴目掛けて降ってきているのだ。
もし、これで洞穴が崩れてしまうのは、帝里からすると一大事のことであり、死守しなければならないのだが、あまりに急な出来事すぎて、帝里もさすがにどうすることも出来ず、すでにアテルの傍に避難を終え、楽しそうに手招きするレイルのもとへ逃げる。
帝里がレイルのもとに着くとほぼ同時に、凄まじい轟音と共に隕石が激突し、衝撃が帝里達へ容赦なく叩きつけた。
着撃で発生した暴風に帝里は手で顔を隠しながら振り返って見てみると、落下地点には洞穴を覆い隠すほどの大きな土煙が立ち上ぼっており、帝里は茫然と立ち尽くす。
これは間違いなく隕石は直撃しており、あの威力ではきっと洞穴は崩壊。そして元の世界に帰れず、この話はここで終了…仕方がないから、あとは自身のありふれた異世界勇者譚でも語ろうか。
しかし、そんな帝里の予想は外れ、土煙が晴れると、洞穴は以前と変わらず、無傷の状態で立っており、目を凝らすと、なにやら洞穴を中心として、洞穴をすっぽり覆うように球状の白い半透明の膜のようなものが張ってあり、それが洞穴を隕石から守ったようだ。
「…あれは……?」
「…あれがエルの世界に私たちが行けない理由、プトレミーシア帝国初代女王が作ったとされる結界です。
攻撃はもちろん、こっちの世界の人はあの結界の中にさえ入れないのです…」
「なんで、そんなものが…?」
「さぁ?多分…エルが来るまでこの世界は悲惨でしたからね、逃げたい人なんて山ほどいたでしょう。それでこの世界から人が減るのを防ぐためかと…
まぁ、それに私とかも普通に行ってみたいですし。…はぁ、やっぱり壊れなかったですか…」
「本気で壊すつもりだったの!?今から帰る俺と、隣に立ってる石像の事もちょっとは考えて!!?」
洞穴の隣に立っている石像はそんなご都合主義結界の範囲外であるにも関わらず、ほとんど傷付いておらず、その耐久性を見ると国家予算半分が真実味を帯びてきて、像が無事であることに複雑な感情を覚える。
「そっか、異世界交流ってのを少し夢見てたけど残念」
「それは面白そうですね!あの結界の破り方と洞穴の仕組みについて色々調べてみましょうか、国家予算半分ぐらい使って!」
「その言葉、二度使っちゃいけない言葉だよね?」
さすがに今のは冗談ですよ、と笑うレイルの言葉にひとまず安心するが、これ以上この場に居たら帝里が救ったはずの国が帝里の発言のせいで滅びそうだ…帰ろう。
「じゃ、そろそろ行こうかな。」
とうとうお別れの時がやってきた。これ以上ぐずぐずしてると城内で女王と勇者が居ないと大騒ぎになってしまう。
実は帝里が異世界人であるのはレイルやアテルの他、数名しか知らず、あのクラウディオスでもきっと知らないはずなので、帝里が帰った後きっと色々あるだろうが、そこは女王様に任せよう。
「この勇者生活も名残惜しいけど、これで終わりかぁ…
ま、次頑張るとしますか!じゃあ、またいつか会えたらな!」
「はい、数千年でも待ってますよ!」
「俺はもちろん、さすがにレイルも死んでるよね?」
別れるのがお互い辛く長引かせてしまったが、帝里はやっと決心を固め、なるべくいつもと変わらない軽い調子のやりとりをかわし、洞穴に足を踏み入れる。
一瞬、あの結界に阻まれたらどうしようと、不安が過ぎるが、邪魔されることなく、すんなり帝里は洞穴の前に辿り着くことができ、そのまま洞穴の暗闇に帝里の体が入ろうと瞬間、「あの、」とレイルが呼び止める。
「エル…あなたが勇者であることは終わってませんよ。これからもずっと…この世界を救った……私の勇者です」
「……こちらこそ…本当に、本当にありがとうございました」
本当に言って欲しかったことを最後に言ってくれ、帝里は思わず涙がこみ上げるのを必死に堪えて頑張って笑顔で頷くと、これまで感謝の気持ちを込めて、レイルに、そして、この最高に楽しかった異世界に向けて深々とお辞儀をすると、それからは後ろを振り向かずに真っ直ぐ、洞穴の中に進んでいった。
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レイルとの別れを告げて洞穴に入り、少し曲がりくねった一本道を、気分的に灯りもつけず真っ暗闇の中、下るように進んでいくと、暫くして辺りが少しずつ明るくなっていき、突然、開けた場所に出ることが出来た。
どうやらここが洞穴の最深部のようで、目の前に広がる地底湖の絶景に帝里はおぉと声を漏らし、少しの間見惚れてしまう。ぼんやりと自ら発光する石が湖の底に沈んでいるのか、その光のおかげで湖がまるで浮き立っているように見え、とても不思議で神秘的な場所に感じられるのだ。
そして、その湖の真ん中に少し陸地があり、そこに向かって今辿ってきた一本道の先が真っ直ぐ伸びていた。誰も入れないので、洞穴の内部の事は全く聞かされてなかったが、あそこが元の世界に帰るための場所だと、帝里も直感的にすぐに分かり、ゆっくり歩みを進める。
一本道の周りは光る石が多く、一層明るく照らされた、道がその光を照り返しを受けて、水面と区別がなくなったように感じ、まるで湖の上を歩いてるようなメルヘンチックな気分になり、少し楽しく、帝里の足取りも軽くなる。
そして帝里はその一本道を通り抜け、陸地に辿り着くと、そこには正方形状の台座があり、そこには不思議な紋章が描かれていた。が…
「ってこれ、あのマンホールの模様じゃないか」
と帝里は見覚えのある模様を見て、思わず苦笑する。
それは帝里に残っている数少ない元の世界での記憶であり、この異世界の始まりである感慨深いものであった。
あのとき、現実世界の帝里は四角いマンホールを見つけ、珍しくて上に乗ってみた瞬間、急にマンホールが外れ落ち、そのまま穴に落ちて、気がつくと異世界の上空から落下していたのだ。
そんな帝里を異世界に送ったマンホールに描かれていたのがこの魔方陣のような模様であり、おそらく本来のマンホールの模様ではないだろうが、この模様を思い出しては、「確かにマンホールは四角だと対角線が一辺より長いので円形より落ちやすいのは頭では理解出来るけど、落ちた先が異世界はないだろ!」とやさぐれた日々が今となってはとても懐かしい。
「…さて、帰りますか。…って、帰ったら俺、魔法の使えるスーパー高校生じゃん!!」
重大なことを見落としてるのだが、帝里は全く気づかずに、うきうきした様子でその台座にひらりと飛び上がる。そして、そのまま台座の中央に立つと、急に目眩が起きて目の前が白くなっていき、意識が遠くなってゆく。
「さよなら、異世界…楽しかったぜ」
消えゆく意識の中、帝里はそう呟くと、そのままバタリと気を失った。
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「…行っちゃい、ましたね…ハァ、片腕だけでなく両腕失った気分です……」
人影が消えていった洞穴をしばらくの間、無言で見つめていたレイルがふぅと大きく息を吐く。
『魔王を倒した勇者はお姫様と結婚し、幸せに暮らしました』というオチはおとぎ話の定番である。実際レイルは帝里に好意を抱いていたし、結婚とまではいかなくとも、ずっと仲良く暮らせることを願っていた。
しかし結局、おとぎ話はおとぎ話でしかなかったようだ。覚悟していたはずなのに、居なくなった現実に、レイルは沈んだ気持ちになり、再びその場に立ち尽くす。
異世界人でいつかお別れの時が来ると知っていたレイルはまだ少し余裕があったのだが、何も知らされていなかったアテルは別れを一部始終見ていても、あまり納得がいっていないようで、
「…あの、本当に行かせてよろしかったのですか…いや、だって…」
「仕方がないでしょ、本人の意志なのですから。救われた私たちが引き留めることは絶対にしてはいけません。」
狼狽えながら何か言おうとするが、ぴしゃりとレイルに言い放たれ、不承不承ながらも、落ち込んだようにアテルはうなだれる。
「…さっ!はやくお城に戻りましょう。そろそろ皆が起きる頃です。
それに…私はプトレミーシア王国の初代女王として、これからやらなければならないことが山積みですからね。期待してるわよ、アテル」
「はッ!!これからは私が命に代えてもお守りします!」
もうそんな危険はないでしょ、とレイルは笑いながら振り返ると、エルクウェルと、いつの間にか台座に取り付けられている白色の宝玉の一部が欠けたクラウディオスの石像をじっと見つめる。
「あなた方が救ってくれたこの国を必ず、平和で豊かなものにしてみせます。
だからまた来てね、『英勇者』様」
吹っ切れたような迷いのない真っ直ぐな目でレイルは石像を暫く見つめ、そう誓うと、サッと踵を返し、アテル達を連れて城に帰っていく。
今日もプトレミーシア王国には隕石が降ってくる。その隕石はこの地に恵みをもたらし、人知れずひっそり消えていくのである。
これで序章は終了です!ありがとうございました♪
ここで異世界編は終わり、現実世界に戻ります…
大体の作品の目玉である異世界がもう終わって…さてさて、どうなるのやら…
少しネタバレになりますが、この作品は実況要素を取り入れているので、この文言で締めさせていただきます。
「もし良かったらチャンネル登録、高評価よろしくお願いします!!
それでは、ご視聴ありがとうございました!!」
(これ↑を動画で言うと、目に分かるレベルで増えるらしいですよ…なろうは知らんけど笑)