マミは実は美少女だった
マミの外見を描き忘れていたので書いておくと、彼女は黒髪の長髪だったが、工場で暮らしているうちに邪魔になり、工具用のハサミでジョキジョキと切ったので今はショートヘアだ。
ぱっちり二重に、左目に泣きぼくろ。鼻筋は通っていて純日本風というよりは異国的な風情がある。
唇は特筆する部分がないが、血色がよくいかにも健康的といった感じ。
全体的に線は細いがこれでいて体力があり、バーベルなら50kgは上げられる筋力がある。
マラソンが趣味で、こんな事態になる前は毎週土曜に皇居の周りをぐるぐる走っていた。
実は僕が知りあったのもマラソンの途中で、後から同じ大学に通っていると知った。
専攻はフランス文学で、卒論「ファン・ヘネップ『通過儀礼』に見る近代フランスの帝国主義」を書いている途中だった。今となってはどうでもいいことだが。
小さな頃から水泳を得意としていて、クロールが早かった。
昔、高校生時代(彼女は女子校だった)に同級生と川に遊びに行った際
誰が一番早く泳げるか勝負した。
もちろんマミが一番早かったのだが、彼女が対岸でターンして戻ってきたとき
同級生たちはまだ対岸に向かって泳いでいる最中だったので
もう一度対岸を目指して泳ぎ、それでも結局一着は彼女だったほどだ。
そんなマミと僕の共通点だが、既に書いたようマラソンが好きなことと、ゾンビ映画が好きということだ。
それも既に書いた通り彼女はもっぱら昔のゾンビ映画が好きで、ゾンビが走るなど邪道と考えるタイプのゾンビニストだったので、僕のようなゾンビ+ドンパチが好きなタイプとは相容れない。
面白いゾンビエピソードを挙げるとすれば、僕が見た海外ドラマにゾンビ愛好者がゾンビのコスプレをしてゾンビごっこをする会があるのを見つけ、それを彼女に言ったら、実際に行ってみたいと言うので、一緒にアメリカに行ったことだ。
結局コスプレパーティーには参加できなかったが、旅行して親密になった僕らの距離は一気に近づき、カップルと言っても差し支えないような関係になった。
もちろん、僕とマミとでは生まれにしても学力にしてもその他すべてにしても天と地の差があるので、彼女から決定的な言葉を聞くまでは、僕は今のままの関係を続けるつもりだ。
マミは美少女で、僕は美少年ではない。
重要なのはそれだけで、あとはどうでもいい。
親密ではあるが一度もセックスはしていないし、キスもまだだ。
手を繋いだことならあるが、工場以外で一緒の部屋に寝たことはない。