ゾンビにも色々あって大変だ
おしなべてゾンビと言っても、監督によって様々な種類に分けられる。28日後やドーン・オブ・ザ・デットの走るゾンビは、走らないゾンビに脚力を与えたに過ぎないが、数が多いのと相まって危険度は高い。
ショーン・オブ・ザ・デッドやロンドンゾンビ紀行のように、それほど危険度の高くないゾンビもいる。
ウォーム・ボディーズ、ゾンビ・ヘッドはゾンビの恋愛をテーマにした映画で、噛み付いて仲間を増やすだけのゾンビに別の意義を与えた作品になっている。
ソンビの危険度を一覧表にしたときに、基準となるのはやはり他の生き物にも感染するかどうかだろう。
有名なバイオハザードでは犬やワニなどに感染が広がり、人間ゾンビと比べて計り知れない脅威となっている。
そのようなゾンビ世界では人間ゾンビはただのオマケのようなもので、いないと不自然だからという理由でウロウロしているに過ぎない。
デッド・ライジング、デッドアイランド、L4Dなどのゲームは、ゲーム性を尊重するあまりゾンビがゾンビである必要がなくなっているので、カウントしない。
アイアムアヒーローのゾンビは片言で喋る。
生前の能力を拡張しているような描写も見られ、他のゾンビ作品とは一線を画している。
一番多い発生原因はウイルス性のもので、精神汚染や病気、洗脳といった設定の作品は少ない。
ゾンビ物以外の作品に出てくるゾンビ(RPGなど)はおそらく魔法とか錬金術によるものだろう。
現代人はゾンビを見慣れていると言っても過言ではない。
好きなゾンビは? と聞かれたら十人十色の意見が返ってくる。
よりどりみどりのゾンビ大バーゲン。
噛まれれば脅威だが、人間にとっての脅威はこれまでにもたくさんあった。
空気感染するウイルスはその筆頭で、麻疹、水痘、結核と多く存在しているが、そのどれにも人類は屈していない。
触りさえしなければ感染しないのなら、襲ってくるノロウイルスみたいなものだ。
たしかにゲーゲーした物がトコトコ歩いてくるのを想像すると気味が悪いが、目に見える敵には対処することができる。
楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽楽
僕たちは28日後でやっていたみたいに、ゾンビを捕獲して能力を調査することに決めた。
前に実験したときには、どういった刺激に反応するか確かめただけだったので
今回は長期間観察を試みて、寿命や急所、身体能力を細かく調査しなければと思ったのだ。
幸いあの時と比べて人員も増えているし、装備も充実している。
計画は単純だ。ウインチ用の縄を網目状にして縛り、引きずって工場まで持ってくる。
それから敷地内に作った囲いに入れて任務完了だ。
危険があるとすれば大規模なゾンビ集団との遭遇だが、しばらく奴らを観察してわかったのは、ゾンビが街を出歩くのには一定のリズムがあるということだった。
まず奴らの多くは、暗くなる頃に姿を現す。
日中はどこに潜んでいるのか不明だが、民家、マンホール、地下などに潜んで日没を待っているのだと思われる。
ほとんどのゾンビが集団で行動しているのに対し、コミュ障ゾンビが一定数おり、そいつらは単独を好んで活動しているようだ。
今回狙うのはこのコミュ障ゾンビだが、このゾンビは他の群れている者とは違い、速歩で歩く術を心得ていて、こちらに気づくと一目散に向かってくるか、もしくは(コミュ障らしく)逃げるよう反対側に進んでいく。
コミュ障は死してなおコミュ障なのかと若干虚しい。
早歩きするといったもゾンビはゾンビだ。
注意してさえいればこちらに追いつけない。
最悪に備えて四人で捕獲作戦に当たれば、まず事故は起こらない。
実行するのは夕方、奴らの数が増えて見つけやすくなったところで、速攻、電撃戦で捕獲する。
短時間であればあるほど良い。
長引けばそれだけ危険度が増す。
結構前日、作戦に備えて早寝した(田中は見張りに立たせている)僕は夢を見た。
遊園地でメリーゴーラウンドに乗っていると、スピードがどんどん増していって
やがては光速よりも速いスピードで回転して、僕は弾き飛ばされてしまう。
そのまま宇宙の外まで飛んでいって、光りに包まれた。
緑色をした温かい光。必死にマミの名を呼んだが、どこからも返事はなかった。
俗説だがサイコパスを見極めるのに夢分析が使われる。
ブランコから飛び降りて、着地すべき地面が無ければサイコパスだというなんとも強引な判断だ。
いい年をしてブランコに乗っている夢を見ている時点で変わり者だと思う。
サイコパステストなるものは眉唾ものが出回りすぎているので、鵜呑みにしないよう注意したい。