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贖罪のテンパランス  作者: FIIFII
プロローグ
6/6

4話 学院


 聖魔術学院。

 自分はその学院の最上階、院長室にいる。


「シノ・テンパランス三等生。バディは一等生デプス・ノープス。ペナルティ三点。非常に類稀な魔力の性質を有しているため入院。院歴二年目。成績は平均やや上。

 合っているかね?」

「ええ、相違なく」


 目の前の書類を読み上げた人物、彼が院長だという。

 意外と若い。三十代くらいだろうか。


「君は昨夜、突然この学院から消えた。これは監視塔の記録を確認してわかったことだ。

 しかしなぜ瞬間移動でもしたかのような記録があるのか、非常に興味深い」

「……そうですか」

「とぼけるのはそこまでにしてもらおうか。転移魔術は禁忌認定されているんだぞ」


 さて、どうしたものだろうか。

 実際に使ったのは転移ではなく身体強化なのだが。

 木の上や屋根を走っていったから人目もなかったはずだ。

 音速一歩手前の速度だったし。


「転移魔術は使っていません。監視塔では、学院内で使用された魔術の痕跡を記録されているはずです。調べていただければわかります」

「監視塔の目をすり抜けたのならば記録は残らん。人の手によって記録されているものだからこそ、穴がある。業腹だがな」


 次は記録されていないときたか。

 痕跡記録は人の手によって行われている。眠気で気が抜ける朝方に脱走したのが悪かったか?

 相手は幸いにもここらで貴族につぐ権力者だ、ここは自分を売り込んでみるか。




「そういえば新しい魔術を開発したんですよ」

「何を言って……ッ⁉」


 体を覆う魔力に気付いたのか、院長が後ずさる。


「そう焦らないでください。害あるものではありません。……《金成りて輝く我が色》」


 手を差し出す。

 漲る魔力は差し出した手のひらで丸く、宙に浮く。

 凝縮された魔力が渦巻き、部屋全体が黄金色の光に照らされる。


「まさかこれは、そんな馬鹿な!」

「そう、これは金を作る魔術です」


 魔力が形成され、物体となり浮力を失う。

 そこには数センチほどだが、確かに金があった。


「もちろん術式は後でお教えしますよ。ですが条件があります」

「その金を見せなさい……確かに解析魔法でも純金と出ているな。よかろう、どんな条件でも呑もう」


 思わずニヤリと笑う。

 この魔術もデメリットをまだ教えていないから、俺の一人勝ちだ。


「では……自由をください」




 ここから始めよう。

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