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発端 ~なんでこんなことに?~

人間が魔族と呼ぶ私達の事を攻撃してきてから、

もうずいぶん戦ってきた気がする。


私達は人間の居住区域との境界線で防衛部隊を編隊し、私、サーヤはその部隊の隊長を務めていた。


正直私は弱いし、リーダーシップをとれるほどの統率力もない。


そんな私の唯一の能力、それは異世界から無機物を呼び出す能力、好きなものを呼び出せる訳じゃないけれど、色んな物を取り出せるし、大まかな種類なら指定出来るから多様性がある。


これは後世、武装魔王と呼ばれるようになった、そんな私の物語。


人間と魔族の居住区を隔てる森のすぐ近く、防人の村と呼ばれている場所で私達は生まれた。


人間達には魔族と呼ばれてはいるけれど、私達の見た目はほとんど人と変わらないし、私達も自分の事を指す言葉は人だ。(私達は基本的に相手のことは人間と呼んでいる)


ロクスは私の幼馴染みで、背中に骨の翼が生えているけれど、普段は服のなかに折り畳んでいて、一番人間と区別がつかないし、翼は出しても、飛べるわけじゃない。

見た目は、少し長い灰の掛かった髪を後ろで束ねていて、彼の185近くある身長もあってか、全体的にはスラッとした印象が強い。

だけど、毎日鍛えているせいか、近くで見るとかなり筋肉質だったりする。


彼の夢は人間の村と交流をすることで、いつも

「俺はいつか、森の向こうに胸を張って行くんだ!」なんて言ってて、この前なんかは

「その時が来たら、サーヤも一緒に来てくれないか?あ、いや、その、もちろんベルクとセイラも一緒にな!?」

そんなことを照れながら言うロクス

私はそんな彼を可愛いなぁと思いながら「そうだね、いつか行ってみたいね。みんなで」


みんなで、のくだりで少し複雑な顔をしてたけど、どうしてそんな顔をするか私にはわからないなぁ?


そんな私達を見て、うんうんと頷いているのがベルク


短い赤い髪を、オールバックにしていて、身長はロクスよりも少し低い180、少し感情表現が不器用で、あまり喋らない。


ロクスよりも筋肉のあるがっしりした体、首に巻かれている蛇のようなもの(首から直接生えている。また、感情も意識もあるらしい。)の存在感があり、喋りかけづらい印象を与えるけど、実際は面倒見のいい人だったりする。

ちなみに趣味は、モノ作り、家具を作ったりするのは似合うんだけど、小物とかも作ったりするからチマチマ作業する彼は結構可愛い。


ロクスの言葉を聞いて、こちらを微笑みながら見てくるのがサーヤ。


肩にかかるくらいの長さの薄い金髪で、髪質が細いのでサラサラの髪が、内心羨ましかったりする。


サーヤはベルクと幼馴染みで少し無口な彼と、周りの人の橋渡し的を果たしてることが多くて、彼女が居なかったら、ベルクと話すことはきっとなかったと思う。


サーヤの能力は、物同士を物理的、もしくは概念的に繋ぐという能力で、ベルクと自分の感覚を概念的要素でリンクしているらしい。


この能力でベルクの言いたいことはなんとなくわかるんだとか。

サーヤの趣味は料理、味は良いんだけど結構ワイルドな物が多い。得意料理は鳥の丸焼き。独自にハーブを調合してるらしくて、とても美味しい。


後、サーヤ自身の治癒力が高いらしくて、少しの怪我だとすぐに治るんだけど、これを概念で繋いで相手の治癒力を高めることもできる。


物理的な連結は分かりやすいけれど、概念の話は、本人たち以外には分かりにくいものがある。


確かに口数の少ないベルクが喋らなくても、サーヤはよくわかっている、という感じでいつも側に居る。

ベルクもサーヤが近くに居るのは当然、みたいな感じで、もう結婚しちゃえばいいと思う。


私とサーヤが一緒に居ると、対比がとても目立つ。サーヤの金髪と私の銀髪、155と小柄なサーヤに対して、私は170もあるし、私は少しつり目気味だから、よく不機嫌かと思われることも多いし…


私の容姿は身長は170、少しつり目で髪は銀色、

後、耳が少し長いかな。


「黙っていれば貴族のお嬢様に見えなくもないな」

とはロクス談。


普段は動きやすいショートパンツを愛用しているのもあって、前に騙されてドレスを着せられたときの皆の驚きの顔は忘れられない。


きっと、私の格好が似合わなくて内心では笑ってたんじゃないかな

うぅ、思い出したら恥ずかしくなってきた…容姿の話はこれでおしまい!


私とロクスが幼馴染みで、サーヤとベルクが幼馴染み。

私達の出会いは、知識を教えてくれたソウアン先生の学習所で、色々あったのだけど、長くなるので今は割愛。そこで知り合った私達は仲良くなって、今でも交流が続いているって感じ。


そんな私達の日常は、突然現れた征伐隊と名乗る人間たちに、壊されてしまった。


森を抜けてきた人間たちは、一番綺麗な装備をつけた人間が村に向けて一方的に話始めた。

やたら格式ばった言い方をして、あえて、わかりづらくしてるんじゃないかと思うその内容を簡単に纏めると


・人が増えすぎて、人間の居住区域が足りなくなったので新たに土地が欲しいので私達の土地を渡せ。


・返答期限は3日、受け入れない場合、もしくは返答がない場合には侵略を始める。


・彼らが7日を過ぎても戻らない場合、本隊がやって来ること。


・明け渡しは私達の生活区域の7割を明け渡すこと


っとざっくり言うとこんな感じ。


期限が3日と言うことで、村のなかで話し合いが行われたが、意見が盛大に分かれてしまった。


防人の使命に基づき彼らを倒そう、もしくは追い返そうとする遵守派。


流石に7割は厳しいが、元々人数の少ない魔族が妥協して、半分くらいなら明け渡してもいいではないのかと主張する穏健派。


要求は受け入れないが、力に頼らず話し合いで解決出来ないかと言う改革派。


私達の中でも意見は分かれて、

頑固なところもあるベルクは、武力で追い返す遵守派


心根の優しいサーヤは、ベルクと意見が違うのは辛そうだったけど穏健派


人間との交流を望むロクスは、改革派。更にはこれをきっかけに文化交流の道を模索してるみたい。


正直私はみんなと一緒ならどうなっても良いと思っていた。

なのにあんなことになるなんて…。


人間が通達をしてきた初日は、村の中での意見が分かれているのもあって、まとまらないうちに終わってしまった。


2日目にロクスが活動を始めた、

昨日言っていた話し合いを、人間に直接敢行しに行くらしい

昼過ぎに人間の元へ向かったロクスと数人の村人を見守る私達、

人間の展開している陣を遠巻きに見ていて約30分くらいした頃にそれは起きてしまった。


上がる爆音、銃声、既知の友人の叫び声。

走ってくるロクスと数人の人間、その手には武器を持っていてロクスを見ると無数の傷を負っていて、私は混乱してしまう。

なんでこんなことに?ロクスは話し合いに行ってたんじゃないの?どうしてあんなに傷付いているの?

頭の中のごちゃ混ぜの感情はおいといて、私はロクスに向かって駆け出す。

後ろからベルクとサーヤも走ってきてるけど、私にはを気にかける余裕は無かった。


残り100メートル…合流さえすれば私の能力で壁になりそうなものを出して追っ手を振り切れるはず!


残り80メートル…サーヤの能力で自己代謝を共有させてロクスの傷もある程度は治せるし、ベルクの近接戦闘力は私達の村では一番だ。


残り60メートル…村の人たちだって襲われているのを見れば助けを出すだろうし、私達が集まれば、たとえ相手が精鋭だとしても50人くらいに遅れを取るほど弱くはない。


残り40メートル…そんな私の考えを嘲笑うかのように、ロクスの肩に斧が刺さった。



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