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プロローグ2

ふと目線を下に向けると胸から真っ赤な血が溢れ出ている。

部下達が何やら焦っている様だがもう耳もほとんど聞こえていないし体も痺れて動かない。

きっと出血が多すぎたんだ、俺はもう助からないだろうな。

祖国と人々の守護者たる軍を指揮しているという事だけ俺の誇りだった。

だがそれ以外、本当にまるでクソみたいな人生だった……


腐った貴族の妾の子として生まれて捨てられ、物心ついた頃には街の闇に紛れて盗みで食い繋ぐ毎日。

その中で小金持ちの子と恋仲になったと思ったら、その子の両親にバレてボロ雑巾のようになるまで痛め付けられた。

しばらくしてその子が小綺麗な格好をした他の男と歩いているのを見掛けたが、その子は俺をまるでゴミを見るみたいな見下した目で見て通り過ぎて行った。

思えば軍に入って奴等を見下せる地位まで出世したいと思ったのも丁度あの頃だったか。

運良く人手不足の陸軍に入隊したは良いが結局少尉止まり、現実は甘くなかった。

まあ、そんなのはガキの頃から知っていたが。

しかし本音を言えばもっと幸せを感じたかった、ジジイになるまで長生きして愛する人達に惜しまれながら柔らかいベッドの上で安らかに眠りたかった。


しかしその想いとは裏腹に俺の血は体外へと流出していく。

ああ、眠くなってきた。

痛みも全く感じない、むしろ何だか心地好い感じだ。


それから数分後、俺は永遠の眠りについた……筈だった。


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