八話だよ~みんな集まれ~
「やってきました、我が戦場2525スーパー!」
本日も翔さんはこのスーパーに来ています
「っていうか翔さん、なんで毎回私は連れてこさせられるんですか」
「ふむ従業員、それには海よりも深く草原のように壮大な理由がある」
「じゃあ早く言って下さいよ」
「今日お前を呼んだのは他でもない、我が精鋭「トリニティ」を紹介する為だ」
「・・・はい?」
どうも藍です
今日もこの滅茶苦茶な男に振り回されるようです
「で?人を家までストーキングしてまで呼んだのに来ない連中は何をしているんですか?」
「まあそう気を悪くするな、奴等は俺以上のエリートだからな、予定が合わんのだ」
「あんたを超える人間は五万といるわ」
藍のツッコミに翔の携帯の着信音が鳴る
つ~るぺったん♪つ~るぺったん♪
「どれどれ、奴等の気配を察知した」
「(・・・着信音キモ)」
「もしもし俺だ・・・そうか、ではこちらも作戦に移る、抜かるなよ?」
そう言い携帯の通話を切る翔に藍は話しかける
「事前に顔を合わせなくてもいいの?」
「何を言っている、既に奴等はこちらにいるではないか」
「え?」
藍が驚いた次の瞬間
「はっ!」
「おりゃ!」
「とう!」
三人の男女が藍の目の前にアクロバティックに回転しながら着地する
着地した三人の内一人の男性は顔から激突したのは放っておく
「紹介しよう、これが今日俺の作戦を担当するトリニティだ」
翔が平手を三人に向ける
上から、身長が見るからして180cmを容易に超える巨体の男
逆に、かなり身長が低く右目に黒い眼帯を付けた少女
平均身長でバンダナを付けたチャラい雰囲気の男性(さっき激突した)
「よし、お前等一人ずつ従業員に自己紹介を頼む」
はい、と言って
体の大きい男が名乗り出る
「橋谷昇19歳です。職は工場で製造業をしております」
丁寧な口調だがどことなく覇気を感じない昇
「昇はこう見えて腕っ節が立つんだ」
「いや、見た目からして普通に強そうだけど・・・」
「宜しくお願いします。翔さんは人使い荒いかもしれないけど頑張ってください」
「・・・そもそも従業員じゃないんですけどね」
「昇!なんだその言い方は!」
「まあまあ落ち着けって翔!」
次に激突青年が昇と翔の間に入る
「五月蝿いな、こいつは斉藤駿だ」
「待てコラ!なんだその振り仮名は、ストレートに悪く言いすぎだろ!」
「すまんすまん、正確には頭の回るバカだ」
「結局バカなのかよ!もっと言い方あるだろうが!」
「五月蝿いですわよ、ナメクジより下等なおバカさんに尺を使うのは私、とても不服ですわ」
斉藤駿が翔に文句を言っていた時
もう一人の少女が駿に静止をかける
「私の名前は金剛院阿奈、またの名を「呪滅王ルシファー」ですわ」
「(この子は一番関わっちゃいけないわね)」
「今後私を呼ぶときは「呪滅王」もしくは「ルシファー」と言いなさい」
「分かったよ金剛院さん」
「・・・貴方、私の話を聞いていて?」
「だって言うこっちも恥ずかしいし」
藍の言葉に阿奈はムッとなる
「・・・いいですわ、貴方がその気なら、私が今日昼休みに考えた魔術を貴方で試してあげる」
「結構です」
「まあ、そう言わずに」
「ホントに結構です」
「まあ、人生経験って事でここは一つ」
「しつけぇよ!どんだけやりたがってるんだよ!」
二人の様子を見かねた昇が阿奈に話しかける
「阿奈さん、もうよしましょうよ、この子困ってるし」
「あらウッドゴーレム、私の事はルシファーと呼べとあれほど言ったじゃない」
「阿奈さんも僕の事を名前で呼んでないじゃないですか、やめてくださいよ恥ずかしい」
「だって!私の名前変だから普通に呼ばれると恥ずかしいのよ!」
「それは辛いかもしれませんけど、なんかウッドゴーレムって嫌なんですよ」
「何故?、貴方にとても似合ってると思うわよ?」
「ちょっと、そんな言い方「ドサッ」・・・え?」
藍は阿奈に注意を促そうとした瞬間
傍で昇が両膝と両手を着いて落ち込んでいた
「どうせ・・・どうせ僕なんて・・・学校時代もロクに友達もいなかったし・・・頭も良くなかったし・・・バカにもされてたし・・・一人だけ省かれるなんて事が当たり前だし・・・不細工だし・・・気持ち悪いし・・・根暗だし・・・」
「・・・何もそこまで言っておりませんわよ?」
余りのへこみ具合に流石に罪悪感が否めない阿奈
それを余所に翔は藍に昇の状態を説明する
「因みに、昇は人一倍ネガティブで繊細だから言葉には気を付けてくれ」
「・・・うん」
まともなのがいないなぁ
藍は心底そう思い虚しくなった
店内・・・
「お前等、各自配置についたか?」
翔はトランシーバーのような機器でトリニティに伝達する
『・・・準備できましたよ・・・どうせ』
「昇、いつまで落ち込んでんだみっともねぇ」
「さっき口の利き方に気を付けろって言ったのは誰だよ!」
藍のツッコミの数秒後
しくしく・・・、という咽び声が聞こえてきたのは多分気のせいだろう
『こちらルシファー、配置についたが暇なので神ゲーであるモンハンをしている』
「いや、なんでゲームしてんだよ」
『ふむ、中々良い所でなあっ!くっそう、そこでそう来るとは!』
「・・・あの人は何をしているんですか?」
「モンハンらしい」
「・・・おk理解した」
聞いたら金剛院さんは私より年が一つ上らしい
・・・どう見たって中学生くらいにしか見えないのだけど
性格も子供っぽくて厨二病こじらせているし
「あとは、問題ないな」
『ちょっと待てやぁ!』
トランシーバー越しでも店内でも聞こえるほどの大声のツッコミが耳に入る
「なんだ、こっちはお前に構っていられるほど暇じゃない」
『あんたが呼び出したんだよね!?』
「五月蝿いな、そんなんだからお前は中学校時代『人間をやめた人間』と言われるんだ」
『言われた覚えが微塵も無いんですけど!』
「分かった分かった、あとでお前目潰しな」
『何をどう理解したらそんな罰ゲームを受ける事になるの!?』
仲がいいなぁ・・・
聞いたら翔さんと駿さんは中学校時代のクラスメイトだったらしい
翔さんは成績に問題があり
駿さんは私生活やら何やらで問題を犯していた
しかし、駿さんは基本的に成績は良く
翔さんのように中卒ではないらしい
「・・・そろそろだな」
翔の目の前には前回と同じく「お弁当」のコーナーが見え
中央の扉から今度は四十代くらいの女性が現れる
女性は半額シールを貼って行き
最後の一枚を貼り終え、扉へと歩を進める
そして・・・
「・・・・・・(にこ)」
やっぱり・・・笑った?
その笑顔と扉が閉まる音が確認された瞬間・・・
今宵も・・・
食に飢えた・・・
野獣達が・・・
狂喜し・・・
乱舞する・・・
「「「おるああああああああああああああ!!!」」」
若い男女の奮えるほどの叫び
いつ聞いてもその迫力に圧倒されてしまう
「従業員!俺の目当ては特盛てんぷら重だ!」
「って翔さん!」
またも藍を置いて一人颯爽と戦場の中へと飛び込んでいく翔
すると・・・
「貰ったぁ!」
「お前はデコっぱち!」
スキンヘッドの男が翔に向かって跳躍しながら拳を構える
しかし・・・
「・・・ごめんなさい」
突如として現れる大きい人影
その人影は、デコっぱちの拳を掴んで後方へと投げ飛ばした
「流石だな、元柔道五段」
「・・・まあ、こういう事しか自信ないんで」
昇は照れながら弁当の元へと急ぐ
「(・・・凄い、よし!)」
藍もそれに感化されその場から走り出す
だが、翔に迫り来る攻撃
「っいただきぃ!」
翔に迫り来る女性の脚
「くっ!お前はロン毛!」
ロン毛と呼ばれた女性は再度翔に蹴りをかます
動けず防戦一方となっている翔を救ったのは・・・
「全く、無駄に動いてその駄乳を揺らすとは・・・万死に値しますわ」
横から静かに接近し這い寄る少女
阿奈の右ヒジがロン毛のあばらに直撃する
「今だ!必ず掴み取れ!」
「おう!」
金剛院さんの助けにより助かった翔さんは
ある男に向かって足を速める
「・・・ってアレ?翔?」
「行くぞ!」
「行くぞって何を・・・そばっぼぉ!」
翔は男、駿の後頭部を掴み
そのまま、駿の近くにいた赤色パーカーの男に顔と顔で衝突させる
「・・・はぐわぁ」
「よし、撃沈」
「あんたは鬼か!」
藍がツッコミ
駿は気絶
「勝利は目前だ!各員自分の獲物を確保せよ!」
「僕はもう取ってますけどね」
「私もだ」
「ならば後は俺だけだ!」
残った特盛てんぷら重を目の前にし
ある男が目に入る
「・・・貴様をここで仕留める」
「お前は、覇王か!?」
覇王と呼ばれた男の特徴は
切らずに伸びた黒い長髪に黒いマントを羽織り
両手には黒い手袋を付けていた
「・・・てんぷらは好物でな、貴様には譲れん」
「こっちこそ!」
両者の拳が激突する
「・・・揚げ物はな、もう三日も食べてないんだよ!」
「ふっ・・・上等!」
「あの人は?」
「あれは翔さんの先輩で杉山孝だね」
「彼は私より魔力が強力でな」
「そんな事聞いてないですよ」
「・・・もしかして君は私の事が好きなのか?」
「あれ、それ普通逆じゃないですか?」
「何を言う、軽口は友の華というのだぞ」
「・・・もうそれでいいです」
この娘は正直駄目な気がする
・・・色んな意味で
「孝さんはよく翔さんと一緒にいたソウルメイトらしいよ」
「・・・なんでこんな所にいるんですか?」
「ああ、孝さんも貧乏だからね、フリーターしながらのバンド活動だから」
昇が続けて説明すると藍は納得する
「なるほど・・・」
ほんとになんというか
翔さんの周りにはまともなのが少なすぎる
「覇王!今日こそ貴様を超えてみせる!」
翔の拳をヒラリと華麗に避ける孝
「翔!幾ら後輩のお前でも、このてんぷら丼を渡すわけにはいかない!」
孝の蹴りを紙一重でかわす翔
二人の勝負は熾烈を極めていた
「毎度、懲りないなあの人も」
「ああ、翔君かい」
呆れながらも見ている藍にシールを貼っていた女性が近寄る
「あっこんばんわ」
「はいこんばんわ、お嬢ちゃんも半額狙いかい?」
「いえ、なんというか無理矢理半ばというか」
「そうかい・・・」
「あの、こんな事してて店は迷惑じゃないんですか?」
「あの子達はね・・・」
急に遠い目をするおばさん
「自分の思いをぶつけているの」
「・・・はい?」
「思いは人それぞれ、でもぶつけ方や伝え方って意外と難しいの。でもね?それでもいいんだと私は思うの。若いうちは怪我の治りも早いしね、ああやって自分の素直な気持ちをぶつけあえるって・・・凄く気持ちの良いことだと思うの。そうやって手に入れたお弁当の味は格別なのよ」
「・・・はぁ」
「つまりね・・・これ見てるとなんだか楽しいの」
「・・・あんたの自己満足かよ!」
その後、翔さんと孝さんは互いにボロボロになるまで戦い
最終的にてんぷら丼は残った私が買って行きました
終わります。しょーもなくてすいません




