気分で書いてますんで悪しからず 三十八話
「唐突だが従業員、俺は料理を汚く音を立てて食べる事に定評がある」
「いきなりそんな事カミングアウトされても困りますよ」
今日も翔さんは働かない癖にテンションが高い
「では・・・行くぞ」
どこから用意したか分からない煮物を
睨みつけて口に運ぶ
「・・・にっちゅにっちゅにっちゅ、くっちゅあくっちゅあくっちゅあ」
「・・・汚いです」
「だろう!」
「(・・・だから!?)」
どうも、最近出番が多い第二の主人公こと夏目轟だ
バイトすら失い、俺には何も無くなった
気分転換に街に来てみた物の・・・特にこれといって変わった物はない
金も無いから煙草も吸えない、パチンコは出来ない、女の子とイチャイチャできない
正直、ストレスしか無かった
くそ・・・こうやって俺は自堕落な生活を送っていくのか・・・俺もう22なのに!
しょうがないから、適当に喫茶店に入ってアイスコーヒーでも嗜む
・・・いい香りだ、案外こういう趣味も悪くないかもしれない
そう考えている時だった
「言っとくけど、俺は奢らないからな」
「誰もお前に金銭的な面で期待してねーよ」
「駿さん、それは言いすぎじゃ」
「だが、赤ニートは金が無いのが特徴だからな」
「ふむ、所で、何を食べる」
五人組のグループの中に、またしても奴が居た!
「またお前かぁ!何度も何度も顔見せやがって!友達にでもなりたいのかぁ!」
「・・・誰お前」
「ええええええええええええ!!!」
「翔、誰だこの幸薄そうな阿呆は」
「阿呆って言うな!この黒髪小学生!」
「なんだと!せめて中学生と呼べ!」
駿が「お前それでいいのかよ」と口を挟んだ後
轟の怒りは翔にぶつけられる
「全部お前のせいだ!忘れたとは言わせないぞ!」
「・・・あっこれいいんじゃね?」
「人の話マジで頼むから聞いてぇぇぇぇぇ!!!」
数十分後・・・
六人の前に現れる巨大なカレー
「・・・翔」
「えっと、『レボリューションカレー』、六人まで分ける事は可、総重量12キロで零れんばかりのルーが特徴、制限時間30分以内に食べきれば無料・・・だとさ」
「成る程・・・丁度六人居るな」
金髪の兄ちゃん(駿)の言葉に俺は反応した
「ってちょっと待て!なんでそこに俺も含んでるんだ!」
「まあまあ、俺が何したかは覚えてないが、何かしたってんなら一緒に飯食って仲直りしようや」
「お前、ただ人数居るから頼んだだけだろ!目をこっちに向けろ!誠意を感じさせてくれ!」
「まあ・・・喋っていても量は減らん・・・戴きます」
孝の掛け声で、六人全員はカレーに手を伸ばす
二十五分後・・・
「・・・辛い」
「・・・苦しい」
「・・・悪夢が見えるわ」
「気持ち悪いです・・・」
「幻覚がぁ・・・死んだおばあちゃんとおじいちゃんがぁ!」
「っておいぃ!苦しいのは分かるけど、見てるこっちからしたらお前等の方が気持ち悪いわぁ!」
轟以外の全員が、カレーの辛さと量、味の変わらない億劫さにダウンする
「おえええ・・おえ・・・おえぇぇぇ!!!」
「おいぃ!小説だからまだいいけど、美少女がカレーを嘔吐するって、絵的に色々アウトだからぁ!」
「・・・あれ・・・カレー王国が見える」
「カレー王国って何!?インド的な国なのか金髪の兄ちゃん!」
「・・・鈍ったよ・・・部活が現役の時はこれくらい簡単にオエェェェェ・・・」
「無理しなくていいから!もう無理しちゃ駄目だから!現役とか気にしなくていいから!」
「おばあちゃん・・・おじいちゃん・・・今そっちに行くよ」
「行っちゃ駄目ぇ!まだ早い!色々とまだ早いぃ!」
「もう駄目だ・・・おしまいだぁ」
「べ○ータ!一人べ○ータが・・・ってお前意外と余裕あんだろ!?」
なんで・・・どうしてこうなった・・・
残りは少なくても一キロはある・・・
正直、俺の方も胃が限界だ・・・
救いだったのは、金が無くて昨日からパンの耳しか食べてない事・・・
一体どうすれば・・・
「タベキレナカッタラ、罰トシテ一万円ダヨ」
店員の片言はともかく、俺は全員に聞く
「・・・お前等、金持ってんのか?」
「・・・魔術の印が書かれた札なら」
「ポケットに図書券が・・・」
「大切に持ってる黒帯が・・・」
「六人目の戦士、金ニートの衣装を・・・」
「・・・ポケットにゴミしか入ってない」
お前等マジで死ねよおおおおお!!!
「(俺だって、財布に漱石さんが一枚しか無いんだぞ!)」
・・・この危機を脱するには
食べるしか・・・無い!
「はぐはぐはぐはぐ!」
「アト一分ダヨ~」
あと・・・あと一口・・・
「おえっぷ!」
くそ!あと少しだってのに・・・
「頑張れ!」
・・・え?
「もう少しだ!」
「食べきれ!」
「頑張ってください!」
「六人目の戦士よ!今こそ真価を発揮する時だ!」
・・・お前等
ゴトン!
手元に置かれる水の入ったペットボトル
目線を上げると、そこには苦しそうにしている天然パーマが写った
「・・・いけ」
「・・・おう!」
そうだ、このカレーの名前はレボリューション・・・つまり革命!
ここで自分を変えなきゃ・・・何時自分を変えるって言うんだ!
俺は、皿ごとカレーを口に流し込み、水を飲んで
口を押さえて吐きそうになりながらも・・・カレーを・・・胃袋に収めた
「・・・良い物見させて貰った、今日からお前は俺達のソウルメイトだ」
「あぁ・・・どうやらそうらしいな」
握り合う手と手
翔と轟の間には・・・熱い友情が芽生えていた
「(・・・あれ、俺って何しに来たんだっけ?)」
Q、終わるのか!
A、終わりだ!




