年に一度のアバンチュール的な二十五話
居酒屋ぴくしぶ
合コン・・・
正確には合同コンパ
元々は学生が金を出し合って開く飲み会らしいのだが
「(生まれ育って二十年、まさかこんな展開が来ようとは!)」
現在、翔はぴくしぶの奥の席にて
主催者である駿と数合わせの昇を両脇隣に置いて椅子に座っていた
「(奮える・・・何がって?そんなもん色々だよ色々!この合コンが上手くいけば俺の妖精さんも今日で終わる!)」
「おい翔、せっかく金も女もないお前に合コンの話持ってきてやったんだ。俺に感謝しつつ目当ての女ゲットして来いよ!せめて関係持つ位にはなってくれないと、無駄金出したみたいなモンだしな」
「今日ほどお前が友達で良かったと思った日は無いぞ駿」
「うん感謝してないよね、確実にバカって言ったよね」
二人で会話をしていると
翔の右側の昇が言いにくそうに話す
「駿さん、僕こういうの正直苦手で、出来れば何とかならないかな」
「仕方ないだろ、翔呼んで後一人って時に他の奴ドタキャンしやがったんだから」
「だからって、僕女の子と喋るの阿奈さんと藍ちゃんくらいだし」
「大丈夫だって、ついでにお前の奥手な性格もここで直していけよ!」
「そりゃ、駿さんみたいに顔も運動神経も良くて女の人を食い物にしてる人はいいけど」
「昇、お前最後のはどういう認識だコラ。別に食い物にしてないからな俺」
「僕みたいにデカいだけの男なんて・・・」
「スルーされたのは傷付いたが、まあいいや」
そろそろだ、と
携帯の時計を確認しながら駿は二人に告げる
「お前等、感謝しろよ。女に縁の無さそうなお前等二人にこんな場所設けてやったんだ」
「「あざっす!感謝しやっす!」」
「何故に体育会系?」
すると・・・
「あっ駿くん!もう来てたんだ~♪」
駿達のいる席に
三人の女性が近付いてくる
駿に呼びかけた女性は長髪で茶髪で
セミデイと呼ばれる、髪の毛の途中までにウェーブが掛かった女子
二人目は明るそうな雰囲気の元気系ショート
三人目は大人しい雰囲気が漂う清楚な黒髪ロングヘアー(駿曰く推定カップはF)
「あれ、そこのお二人さん知らない顔だね」
「実はこいつ等俺の友人でさ、ほら紹介しろって」
「ういっす、名前は日下部翔って言います。仕事は・・・」
そこで駿は肩を叩き
翔が言い終わる前に小さな声で呟く
「(翔、相談所で仕事してるって言うなよ)」
「(は?なんで?)」
「(そんな職業してる奴に女の子が食いつくかバカ!適当に誤魔化しときゃいんだよ)」
「(お前こんな時だけ頭働くな)」
「(うっせ)」
「・・・どったの?」
不思議そうに覗き込む短髪元気系少女
「いや、なんでもないなんでもない!こいつ、君達目の前にしたら上がっちゃってさ」
「ふ~ん、ダルそうな目つきしてるけど可愛いんだ♪」
「はい、もっかい自己紹介行こうな!」
「こほん、日下部翔、職業は・・・フリーターやってます」
「(フリーターっていう職業ねぇよ!)」
「あはは!君面白~い!」
「そうね、なんか楽しくなっちゃう」
女性陣が笑っている中
翔が駿に小声で喋る
「(どうだ、上手くいったぞ)」
「(まあいんだけどよ、問題は次だ)」
「そっちの体のおっきぃ子は?」
ウェーブの女子が昇について喋りだした
「あっあの、昇って言います。仕事は工場で製造業を・・・」
「(まあ昇は実際働いているからな)」
「(なんだろ、前から知ってるのにこの敗北感)」
「へぇ、なんというか真面目そう」
「そっそうですか」
昇が照れている顔を見ていると・・・
「(けっ照れてんじゃねぇぞ!こん畜生が!)」
「(おい顔、顔)」
鬼の形相で昇を睨みつける翔
しかし、当の本人は鬼の存在に気づいてなどいない
「じゃあ何頼む?私ウーロンハイかな」
「じゃあ私は適当にカクテル」
「私はお酒は飲めないのでソフトドリンクを」
一しきり女性陣が注文を決めると
ウェーブ髪の茶髪女性が男性陣聞いてきた
「駿くん何頼む?」
「それじゃ、久しぶりに生でも飲むか」
「翔くんは何にする?」
「・・・君の唾液で」
ガスッ!
駿は表情を変えずに翔をラリアットする
「(お前はブァカなんですか?それともヴァカなんですか?)」
「いやちょっと、小粋なギャグを挟んでだな・・・)」
「(下ネタを不自然に言う奴のどこが粋なんだよ・・・)」
ガバッ!
そして、同時に向きなおす翔と駿
「あっはっは、ごめんごめん、今の嘘だから。んじゃ俺も生で」
「そっそうだよね、はは、びっくりしちゃったよ」
「(引いてるよ・・・開始数分で既に出しちゃいけない雰囲気になってるよ)」
駿が半ばダメだと思っている中
昇も注文を終え、会話が続いていく
何とか状況を元に戻して雰囲気が良くなってきた所で
茶髪のウェーブ女子が提案を出してくる
「ねぇなんかゲームしない?男子は勝ったら女子に一つだけお願いを言うってのは」
「(おお!最近の女子は積極的だねぇ)」
「(この子は結構遊び人気質だからな、男に触られたりする位なら何ともないだろう)」
「そうね、じゃあ山の手線ゲームとか?」
「ちょっと古いけど分かり易いか、じゃあ男は頑張ってね♪」
黒髪女子の提案に乗る元気系短髪
その会話を聞いて翔から異様なオーラを発する
「(くっくっく、女がぁ・・・今すぐおまいらのおぱーいを俺の物にしてくれる!)」
「翔、欲望が顔にダダ漏れしてるぞ」
「はぐわぁ!」
結果・・・
「・・・昇に負けるなんて」
「辛い・・・なんか辛い」
「じゃあ昇くん、私達にしてほしい事ってある?」
「え・・・えっと」
それじゃあ、と
昇は携帯を取り出す
「僕と「今夜ホテルに来て」くれないかな?」
「「「・・・・・・ゑ?」」」
「・・・え?」
昇は耳を疑った
自分は「メールアドレスを交換してくれないかな」と言った筈なのだが
「・・・ちょっとそれは」
「・・・うん」
「まだ早いというか、少し・・・」
「ちっ違うんです!僕は「(ピー)」がしたくて!」
・・・・・・・・・・・
「僕は君達と(ピー)がしたいんだよ~(裏声)」
「翔さん!さっきから何言ってるんですか!」
「えっ?違うの?」
「違いますよ!僕はメルアドを交換したいだけで!」
「はいはい、馬鹿はその辺にしといて、昇も言ってるしメルアドでも交換しようぜ!」
何とか場の空気を直そうとする駿
「騙されるなぁ!交換したが最後、その日の内に喰われちまうぞ!」
それをいとも簡単にぶち壊す翔
「お前は少し黙ってろぉ!」
ガスッ!
すかさず翔の頭を腋に抱えてヘッドロックを決める駿
「うげぇ!ぎざまぁ!なにをずるだぁ!」
「さっきからてめぇやる気あんのかぁ!」
「やかましい!やる気なんぞ中二の秋に白い液体ごと吐き出してきたわ!」
「一々下ネタが多いんだよてめぇ!こういう場所では控えろや!」
「うるせぇ!さっきからグダグダ言ってんじゃねぇよこのタコ!」
「・・・翔さん駿さん」
「あん!」
「んだよ!」
「・・・あの人達帰ってちゃったよ」
「「・・・ゑ?」」
数時間後・・・
合コンから解散した翔は
帰ろうとしていた藍に偶然出会った
「あっ従業員」
「翔さん・・・合コンは結局失敗だったんですか」
「結局って言うなよ従業員、だが一つ分かった事がある」
「・・・なんですか?」
「お前みたいなガサツな女は相手をしていて楽だと思った」
メキャ
翔の顔に埋まる拳
そのまま近くにあった電柱に叩きつけられて意識を失う
「じゃあ翔さん、夜道は寒いんで気を付けてくださいね」
雪が降る夜
翔は、顔に拳の跡を付けて電柱の側にぐったり倒れていった
終わるんだぞ!終わっちゃうんだぞ!
いいのか!それでいいのか!
よくない!それで良い訳ない!
くそ・・・どうすれば・・・
どうすればいいんだああああああああああ!!!
しつこくなりました
終わります




