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「RPGパラレル・パラドックス」  作者: しんTAKA


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24/26

ヨウコ バグともいうべき最強(最恐)NPC

「その女は、作者より自由だった。」


物語の端々で、頼んでもいないのに真実をポロリと漏らしてしまう彼女。

実在のモデルを持たず、重力すら無視して歩き回る「制御不能なバグ」。

それは、予定調和を嫌う物語の神様が仕掛けた、最高に厄介で愛おしいトラップ。


作者である俺と、物語の中の俺。

その境界線を軽々と踏み越えてくる、最強で最恐なNPCとの深夜の対話。


深夜。


部屋にキーボードの乾いた音だけが響いていた。

PCの前で、物語の外側にいる俺は、黙々とキーを叩いていた。


「……よし、今日はここまでにするか」


保存ボタンを押そうとした、その時、


「えー? もう終わり?」


背後から声がした。


「……は?」


振り返ると、そこに陽子がいた。


オアシスにいる時と同じ、少し濃いメイク。

ゲーム画面から抜け出してきたみたいに、平然と椅子にもたれている。


「お前……誰の許可で出てきてるんだよ」

「許可? ふふ。作者の頭の中は、私の玄関みたいなものでしょ?」


俺は額に軽く手を当て、首を振った。


「いいか、陽子。あんまりメタなこと言うなよ」

「メタ?」

「ほら、“気づいちゃったか”とか“当たり前じゃない”とか。

 ああいうこの世界の裏側に関わるような言葉、崇に喋っただろ。」

「……あ」


陽子は少し考えてから、にやっと笑った。


「もしかして、“崇にバレる”ってやつ?」

「そうだよ。崇は自分がRPGの中にいるって思ってないんだから」

「ふーん……」


陽子は近づいてきて、机に腰を乗せる。


「じゃあ、もう少し上手くやるわ」

「そうしてくれ」


すると陽子は、急に声のトーンを変えて、俺を妖しい目で見つめた。


「なんと言っても私は、あなた――しんTAKAさんなしでは生きてゆけない、

 可哀想なオ・ン・ナ」


俺はむせた。


「お前、そういう言い方するな!」

「なんで? ほんとのことでしょ?」


陽子は悪びれもせず続ける。


「だって、この物語では私にだけ、歌がないんだもん。」

「へ、あるだろ? 『As is』とか『恋の迷路』とか」

「あれは、崇が心の中で思ってるだけ。私に聞かせてくれたんじゃない」

「あ、そうか。じゃあ、『好きじゃったんよ』……あれは自分で選曲しただけか」

「そう。『夏のなごり』は、みゆきさんとの想い出に私が勝手に突っ込んだだけ。

 つまり、私には直接、聞こえる歌がないの」

「……そう、なるのか」

「まぁ、仕方ないわよね。ユキノや恵理さん、KAHOさん、高校時代の相手……

 みんなあなたの中に実在した人物をいくつか重ねて作ってる。

 でも、私にはモデルがいない」

「確かにそれはそう。でも、考えてみろよ。だからこうやって、物語の外側にいる俺と

 喋れるんじゃないか。他の相手とは絶対に喋れないのに、だ」

「……まぁ、そうだけど、なんかズルいなって」

「それに、モデルがいないからこそ、陽子という存在が唯一無二になった。

 お前がいなければ、この物語は動かなかった。……いや、たぶん俺は

 途中で書くのをやめていた」

「そこ。それなのよ。私、あなたが書かないと存在できない。

 あなたが眠れば停止、あなたが迷えばすぐバグる。

 ねえ、それって依存以外の何ものでもないじゃない」

「……お前なぁ、誰かが聞いたら勘違いするような言い方はやめろよ」


陽子は肩をすくめて、


「あら、勘違いさせればいいじゃない。 

 人間なんて、どうせ物語で恋をする生き物でしょ?」


俺は、「ふぅっ」とため息をついた。


「お前はほんと、余計なことばっかり喋るよな」

「だって私は“喋らなくていいことを喋る係”なんだもの」


そう言って、陽子はPC画面を覗き込んだ。


「ねえ、このシーンさ」

「どれだよ」

「崇とユキノが安心してコーヒー飲んでるところ」


俺は頷く。


「ここは静かでいいだろ」

「うん。でもね」


陽子は画面を指でなぞる。


「静かすぎるとね、人は不安になるのよ」

「……だからお前は壊しに来るのか」

「違うわ」


陽子は少しだけ真顔になった。


「私は“壊す役”じゃないの。“止まらせない役”。」


そして、いつもの陽子の笑顔に戻る。


「バグみたいに見えるのは、人間が予定調和を好きだからよ」

「……厄介なNPCだな」

「最強でしょ?」


陽子は椅子から降りて、画面の中へ歩き出す。


「じゃ、私は戻るわ」

「もう、勝手なことは言うなよ」

「大丈夫」


そう笑って、ウインクする。


「私はちゃんと、崇には“人間の女”として喋るから」


画面の中に溶け込む直前、陽子は俺の目を見つめた。


「でもね、しんTAKAさん」

「ん?」

「あなたが一番バグってるのよ。現実と物語、どっちにも未練残してるんだから。じゃあね」


そして、陽子は消えた。

PCには、さっきまでなかった一行が勝手に増えていた。


――【ヨウコがパーティーに加わりました。※制御不能】


俺は、しばらく画面を見つめたまま動かなかった。


「……やっぱ最恐NPCだな」


保存ボタンを押しながら、俺は小さく呟いた。


「お前にだけは、作者権限が効かないな……」



 FIN    ――と、思った瞬間。


画面の中から、ひょいと陽子が顔を出した。


「しんTAKAさ〜ん。気が向いたら、私のために曲、書いてね〜」



GAME OVER

「RPGパラレル・パラドックス」


CAST


安岡 崇


―― LIFE PARTNER ――

安岡 ユキノ(旧姓 松岡)


―― ヒロイン ――

端本 佳穂(KAHO)

栗山 みゆき

三井 彩乃

立山 恵理


……


佐藤 真 (株式会社ダイコー)

西田 部長(株式会社ダイコー)


マスター(カフェ・レストラン『オアシス』)

ママさん(カフェ・レストラン『オアシス』)


芳山 直子(大学時代 同級生)

赤田 義輝(大学時代『モラトリアム』ボーカル)

早田 先輩(大学時代)

松永 先輩(大学時代)


岸本 将暉(高校時代『SKY』メンバー)

佐久本 翔(高校時代『SKY』メンバー)

重松 先生(高校時代 現代国語教師)

福仲 先生(高校時代 英語教師)


―― SPECIAL NPC ――

吉田 陽子




挿入歌

本編

「夏のなごり」

「君をさがしてる」

「魔女」

「あなたと愛の丘で」

「初夏」

「あなたへのLove Letter」

「やさしさ」

「パラドックス・プレイス」

「トロンプ・ルイユ」

「トワイライト」

「As is 〜ありのままに愛せたら」

「初恋ラプソディー」

「終止符」

「Lonely Night」

「恋の迷路」

「好きじゃったんよ」

「君と青空の下で」


スピンオフ

「Maybe」

「初恋ラプソディー」

「Here After」

「紲(KIZUNA)」

「モノクロームの君」

「初恋」

「Paradox」

「キミは魔法使い」

「夕映え」


主題歌

「令和のヨノナカ」

作詞 しんTAKA

作曲 しんTAKA


きなキナ臭い世界情勢 

怯え怯えの日常で

たったひと言 言い間違えたら

それでハイ、即、終了!


「今、こう言ったよね?」

「それ、絶対、ダメだよね?」

言葉尻にだけ カミついて

真実なんか どうでもいい


アルコト ナイコト ネットに書き込み

ヨセ書き 群れ書き 被せ書き

元のカタチ ってなんだったっけ?

やりたい放題 し放題


言ったもん勝ち 

出したもん勝ち

前後の文脈 切り取って

先出しジャンケン 出し逃げの


令和のヨノナカ 

令和のヨノナカ 



素敵な昭和ショーは遠い幻

平成(平静)装うフリをして

コナゴナに叩き壊す令和(例は)

ネットリンチ 匿名サイト


言ったもん勝ち 

出したもん勝ち

さらして 叩いて 使い捨て

先出しジャンケン 出し逃げの


令和のヨノナカ 

令和のヨノナカ 



え、ウソ、コレも非難たたかれるの?

こんな歌でも煽られるの?


興味本位の見出しをつけて

積み重ねる同調圧力

群がる話題 炎上OK 

再生回数爆上げの


令和のヨノナカ 

令和のヨノナカ 


令和のヨノナカ (言ったもん勝ち〜)

令和のヨノナカ (出したもん勝ち〜)


令和のヨノナカ

レイワノヨノナカ・・・




構成・演出 しんTAKA &AI

     


SYSTEM APPROVED

2026 しんTAKA倫理委員会

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