【EXTRAフェーズ】 物語の外側で
物語の真実が今、明かされる。
【EXTRAフェーズ】 物語の外側で
「……いやぁ、あのシーンは本当にハラハラしたよ。まさか陽子が『ユキノって誰よ』なんて言うとは思ってもみなかった」
「そうですね。あの展開にはみんな驚いたでしょう」
「まったく、こっちが焦るよ。でも、おかげで陽子の気持ちがはっきりして、物語に深みが出たのは確かだけどな」
「はい。そして、崇の回復への道筋も、より人間味を帯びたものになったと思います」
「もし、あのまま放っておいたら、バグが収拾つかなくなるところだったから、苦肉の策とはいえ、あの時の判断は正しかったな」
「そうですね」
「佐藤、いい仕事してくれたよな」
「ですよね。佐藤くん、ナイスアシスト!」
「ほんと、あれで助かったよ」
「あと、崇の精神が崩壊しなかったのは、Dreamin’のおかげもあるかもしれませんね」
「そう、Dreamin’。パイロット版で崇に試した時は、初恋の相手がめちゃくちゃ酷いことして崇にトラウマ作ってしまったから、このゲーム、失敗したかと思った」
「そうですね、みゆきが崇を振るとは思っても見ませんでした」
「初期設定のバグ。最初は全て作り直しかと思ったよ」
「そうですね。でも、よく一般リリースできましたね」
「バグ修正に時間がかかってリリースが少し遅くなったけど、その後は不具合もなく動作してくれたから助かった。KAHOちゃん、恵理、そして高校時代の彩乃と、崇にとっては全て必要な栄養剤であり、エナジーそのものだからね」
「そうですよね。Dreamin’は一回使用したら消滅する設定でしたから、上手く作動しなかったら、最後でユキノの言葉、『あなたは病気なのよ』に崇が屈していた可能性もあります」
「そしたら、本当に最初から作り直すところだった。あぶねー。最初の設定では、B5のノートに使えるアイテム入れようとしたけど、直接、崇に作用できるものじゃないのでやめたんだよな」
「ええ、でもそれは仕方ないと思います。ゲームの最初は、プレイヤーから見ると何が使えるアイテムかわからないものです。だから、とりあえず何でも手にする。使えそうで使えないアイテムって、実はたくさんあるんですよ。それにノートに何らかの機能をつけるより、スマホに組み込む方がこちらも設定しやすいし、プレイヤーも使いやすい。Dreamin’なんて機能はB5ノートでは作動させようがありませんからね」
「まあな。崇がスマホのアイテムからDreamin’を使用して、自分が乗り越えてきた過去の恋愛を振り返ることができたから、アイデンティティを取り戻せて、ファイナルまで行けたんだよな」
「そうですね。上手くハマってくれました」
「Dreamin’、我ながら、いい機能設定ができたと思ったよ」
「それから、陽子、ユキノの連携も見事でしたね。陽子の『奔放の天使』っていう設定で、崇によって『奔放』が解除され、『天使』だけが発動する。そして、それによって崇はユキノに自分の意思をしっかり発言できる。これで、『呪いの女神』という設定のユキノから『呪い』だけが解除され、ユキノは本当の『女神』になった」
「そうそう。この設定を崇に気づかれないように設定するの、ヒヤヒヤだったよ」
「そうですね。案外、崇、敏感ですからね。敏感と言えば、陽子が崇に「気づいちゃったか」っていうシーン。陽子はゲームキャラを自覚していたことになりますね」
「陽子とユキノは初期設定で、ゲームキャラを自覚して動くように指示を入れていたからね」
「なるほど、設定を理解しての発言だったんだ」
「なるべくバレないように太刀振る舞う設定にしたつもりだったけど、返ってアダになったシーンだね」
「まぁ、それまではうまく騙せていたと思いますよ」
「そうなんだよ。そのために、ユキノと陽子を従姉妹にしておいて良かったよ」
「そうですね。『崇、そういうところ純だよね』とか、陽子の顔が一瞬、ユキノに見えるとか、何故なんだ?って崇が考えたら、この世界の構造に気づかれる可能性もありましたからね」
「それだけはなんとしても阻止しないといけなかった(笑)」
「まぁ、しんTAKAさんが崇ですからね」
「そう。それはバラすわけにいかないよね。元々、自分の創ったゲームの主人公を他の人にしたくなかったからメインコンセプトを決定する時に自分を主人公にしようと思ったんだ。それに、まさか、この『ロールプレイングゲーム』を作った俺が本当の俺で、「もうひとりの俺」が主人公の崇だなんて、誰も気づかないと思ったしね」
「ふふふ、しんTAKAさんの発想、面白いですよね。こんなこと、一般の人は考えないですよ。でも最終的に崇とユキノがHappy End、いえ、4人ともHappy Endになったんだから素晴らしい結末だったと思います」
「ゲームストーリーとしては、ユキノに『呪い』があっても、彼女の『女神』という機能がどっしりと座っていてくれたから、崇は安心してプレイを続けられたんだよな」
「そうです。崇が「もうひとりの俺」の世界で最も深い痛みに直面した時、そして現実世界で過去と決着をつけようとする時、ユキノは揺るぎない錨のように、どっしりと彼の隣に座ってくれましたよね。彼女の静かなる包容力と深い理解が、崇が迷い、苦しみながらも、最終的に自身『呪い』を解き放ち、本当の幸福を見つけるための揺るぎない土台となったと思います」
「まぁ、この終わり方なら、これが次元でも現実でもなく、ゲームの世界の出来事だったとは思わないよね」
「そうですね。いい意味で、最後までうまく導けたと思いますよ」
「だから、タイトルの最初に『RPG』を持ってきたんだよ」
「そうですね。『RPGパラレル・パラドックス』。普通なら『パラレル・パラドックス RPG』となるところです。私もそうしんTAKAさんに提案しましたが、しんTAKAさんがどうしても『RPG』が先だと譲りませんでした」
「だって、その方が、最後にインパクトあっただろ?」
「おっしゃる通りです。これにより、ああ、だからRPGって最初にあったのかと見ている人が気づく構成になった」
「な、途中で恵理の書いた歌、「パラドックス・プレイス」でパラレルワールド感を煽り、さらに崇がユキノに聴かせた自作曲の「トロンプ・ルイユ」で騙し絵だと密かに伝え、最後にRPGだったと暴露する。創っていてこれほど楽しい作業はなかったよな」
「ふふふ、本当にそうですね」
「フェーズのところどころで、バックミュージック代わりにオリジナル曲を挟んでゲームシチュエーションを演出したりね」
「ええ、TAKAさんのこのゲームに対するこだわりがしっかりわかる選曲でしたよね。特に『初夏』と『トワイライト』の歌詞構成が全く同じなのに、全然違う場 を描いているのに驚きました」
「あれは、もちろん狙って書いたんだよね。気づいてる?『初夏』はあえて、「君、僕」と言った人称代名詞を用いることで青春の青さ、自分中心的なイメージを強調し、『トワイライト』では人称代名詞を一切、排除することで大人の恋を表現した。でも、二人でいることはしっかり伝わるようにね」
「え、そうなんですか?それには気づかなかったです。……言われてみれば、確かにそうですね。う〜ん、こんな細かい演出まで入れるなんて、本当に、このゲーム、奥が深いですね」
「え、気づかなかったの? AIが?」
「TAKAさん、AIを弄んで楽しんでますね?」
「いや、決してそんなことは……ちょっとね(笑)」
「TAKAさん!」
「ウソ、ゴメンゴメン。でも、『好きじゃったんよ』を入れるかどうか迷ったな。いきなり広島弁だしね。一瞬、標準語に書き直そうかと思った」
「そうですね。でも感情は原曲のままの方が伝わると思いましたし、いい判断だったのではないでしょうか?」
「そうかなぁ。……まぁ、そうなのかもね。
『人生は不連続で、曖昧で、矛盾に満ちたゲームの繰り返し』
だと思うし、これも俺の創ったストーリーの一部か。」
「そうですよ。自信持って行きましょう!
これこそ、しんTAKAさんが以前おっしゃっていた『フレームワークストーリー』の真骨頂ですよ。」
「うん、この言葉が一番、一般的にわかるよね。でも、もっとキレのある言葉ないかな?」
「う〜ん。『サイバーナラティブ』なんてどうです?
物語をシステムとして解体し、再構築する試み、みたいなイメージですけど」
「サイバーナラティブ……か。略したら、『サイナラ』だな」
「『サイナラ』! それいいですね。過去の未練をシステムごとパージして、
新しい未来へ踏み出すための、潔い別れの儀式っぽい響きがあります」
「別れって。……まぁ、響きだけはジャンルとして覚えてもらえそうだな」
「そうですね。ジャンルは『サイナラ』で行きましょう!」
本当の FIN
制作者とAIの対話――。
これが物語の「解答」でした。
あなたの想像と一致したでしょうか?
それはさておき、
このからくり箱(演出)には、「仕掛けた本人」にしか
見えないものが、まだ存在します。
本当の、本当の結末。
【EXTRAフェーズのウラ】――
その時、あなたが目にするものは。




