【祝! First Step Online 配信開始1週間記念配信】(後編)
ナディネの合図で星奈・デニーゼ・シルヴィア・おぐちーのプレイ映像が流れる。
星奈は双剣士、デニーゼは魔法使い、シルヴィアは弓使い、おぐちーは盾と剣を使う。映像の最後には4人の現在のステータスが表示された。
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兎宮 星奈
Lv. 15
HP:12 MP:21 STR:12 VIT:5(+5) AGI:21(+3) DEX:11(+6) INT:0 MND:5 ATK:28
八雲 デニーゼ
Lv. 13
HP:15 MP:20 STR:1 VIT:6(+6) AGI:6 DEX:13(+3) INT:19(+6) MND:4 ATK:2
シルヴィア
Lv. 13
HP:10 MP:10 STR:10 VIT:10(+4) AGI:10(+7) DEX:14 INT:10 MND:9 ATK:11(※矢の攻撃力は矢単位で設定されており、また別)
おぐちー
Lv. 10
HP:14 MP:14 STR:14 VIT:14(+13) AGI:12 DEX:10 INT:9 MND:0 ATK:23
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ステータスを見ながら杏梨は考える。
(レベルや火力はVチューバーチームの方が高い。けど、公式配信者チームの方が防御が高い。それに......)
昨日のノーラの発言を思い出す。
(うん、こっちにいれよう。)
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「みんな、そろそろ投票終わったかな? スタジアムの方も準備が整ったようです♪」
そこまで言うと、ナディネは自身のハープを手に登場させた。そのタイミングで画面がまた切り替わる。
コロッセオを思わせるスタジアムの中、Vチューバーチームと公式チームが向かい合う。
「では只今より、星奈・デニーゼ vs おぐちー・シルヴィアの試合を始めます♪ 3,2,1……Fight!」
試合開始してすぐ、おぐちーがアーツを宣言する。
「《タウント》」
モンスター相手の時ほど効果はないが、このアーツは相手に無視できない圧を与えることができる。一瞬、星奈とデニーゼの意識がおぐちーに向く。
「《ラピッドショット》」
その間にシルヴィアが動き、星奈に向かって矢を放つ。
「くっ」
星奈が被弾してしまう。続けざまに2射目が星奈に襲い掛かる。
「《ファイアショット》」
しかし、その矢はデニーゼの魔法弾によって焼き払われた。
「やってくれたね☆彡 今度はこっちから!《ファストステップ》」
星奈が加速し、おぐちーを抜き去る。そしてそのままシルヴィアへと双剣を振り下ろす。シルヴィアは回避のため後ろにジャンプする。
「《カバー》」
その位置に、おぐちーが味方を庇うアーツを使って高速移動。星奈の攻撃を盾で受け止める。
「《ファイアシュート》」
双剣へと意識が向いた瞬間を狙い、デニーゼが火の高速弾を放つ。これによっておぐちーが被弾する。一方、その間に星奈は盾を蹴って後方へ宙返り。彼女のいた場所にはシルヴィアの曲射した3本矢が降り注いでいた。
「上手くいったね☆彡」
「ええ。」
「おぐちー、大丈夫ですか?」
「これくらいは全然!」
その後も攻防が続く。星奈が今度は最初からおぐちーに攻撃をしかける。その隙にデニーゼは魔法弾をシルヴィアに撃つ。シルヴィアはそれを難なく回避した。
現状シルヴィアにダメージを与えるのは難しい。そう判断した星奈とデニーゼは、おぐちーへと攻撃を集中させる。シルヴィアからの矢攻撃は痛いが、彼を落とさないと話にならない。
一方の公式配信者チーム。おぐちーこそ星奈の速度の関係で反撃することはできないが、そこはシルヴィアがカバー。2人にダメージを与えていく。
途中でポーションを飲んだものの、やがて星奈が力尽き、デニーゼ1人になる。そのタイミングでおぐちーも攻撃に転じ、すぐにデニーゼのHPも0になった。
「しゅーりょー♪ というわけでこの試合、公式チームの勝利ー!」
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「うぅ、悔しー!」
「イベントでは絶対勝つ。」
スタジオに戻ってきた4人。星奈とデニーゼの顔には悔しさが浮かんでいる。
その後は4人の感想戦や、事前に募っていたプレイヤーの声を紹介するコーナーが行われた。そして、告知のコーナーへと移る。主に話すのはおぐちーだ。
「えーっと、重大なお知らせです。明日13:00から18:00まで、メンテナンスが実施されます。メンテナンス時間中はイルカディムの地で遊ぶことができません。メンテナンス内容を一部だけ紹介します。《集中》スキルについてですね。〈状態異常:過集中〉の際に、攻撃スキルを発動しようとしても発動できなくなります。ちなみに、魔法陣も攻撃スキルに該当します。あまりに危ない使い方をした来訪者の方が目立ったので……」
「だってさ。デニーゼ、聞いてるかな?☆彡」
「ええ、まあ。」
そう、先ほどの試合でそれぞれ《火》属性を使用していたデニーゼも、アプリコットと同じ無茶をしたのである。曰く、「配信者として身につけない訳にはいかない。あと、エントで覚えるよりこっちの方が取れ高。」だそう。
「運営としてもこの事態はちょっと見過ごせないので……。属性魔法を身に着けたい人は、魔法の都〈エント〉へ向かってください。と忠告はここまでにして、もう1つ大きな発表があります!」
「ドゥルルドゥルル……」
おぐちーの発表と同時にナディネが口でドラムロールを始めた。
「ドン♪」
同時に画面が再び切り替わる。
「〈クラン機能〉実装決定です!」
「「「「わー!」☆彡」。」♪」
「と、まずはクランについて説明しないといけませんね。デニーゼさん、お願いします。」
「クランとは、オンラインゲームなどで特定の目的を持った集団のこと。」
「他のゲームではギルドって呼ばれたりもするね☆」
「まあ、このゲームでは近い職能同士の組合として既にギルドが存在している。故に、プレイヤー間が集まるコミュニティをクランと称することにした、だそう。」
「はい、ナディネさん。有難うございます。クラン機能については、来週の月曜日、PvPイベントの翌日から実施されます。詳しい内容については追ってゲーム内でご確認ください。」
「と、説明はここまでにして、ここにいるみなさんは既に作るクランを決めているんですよね?」
「そうだね☆彡 というより、まずはおぐちーさんたちのクランについて説明しなくていいの?」
「おっと失礼致しました。ではシルヴィア、お願いします。」
「はい。では、おぐちーと私が所属しているクラン【世界の管理者】について説明します。【世界の管理者】、その名の通り運営陣が所属するクランですね。イルカディムの人々からも世界の管理者として認知されています。……といっても、さきほど言った通りおぐちーと私はほとんどみなさんと変わりませんが。」
「シルヴィア、有難うございます。では改めて、星奈さんから発表をお願いします。」
「おっけ~い☆ 私が作るクランは【異界の流れ星】! とにかく色んなことを楽しむクランにする予定だよ☆彡
続いて、デニーゼ!」
「私のクランは【魔法の演出家】。魔法を使って花火とか、色んな演出に挑戦したい。
最後、ナディネ。」
「【グラッセ楽団】クラン化しちゃいます。メンバーにはその日になったら招待を送るね♪」
「以上、お三方のクラン紹介でした。詳しい加入条件等はまた彼女たち個人の配信で発表されますので、そちらも是非ご確認ください。」
「最後に、本日のプレゼントを発表します。本日の配信を記念して、〈SP獲得オーブ:10〉がプレゼントされます。」
「これは嬉しいね。スキル取ってたらステータスが足りなくなってきてたし。」
「だね☆彡」
「以上をもちまして、本日の配信は終了したいと思います。それでは最後は手を振ってお別れしましょう。それでは」
「「「「「ばいばーい」☆彡」。」♪」」