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【祝! First Step Online 配信開始1週間記念配信】(前編)

 4月22日。日曜日だが、杏梨は8:20に起床した。プリキ〇アは必須科目。「明日は休み」とは何だったのか......。

 10:00、買い物に出かける。買うのは今日の昼食と夕食の具材だ。

 11:55、テレビでイーチューブをつける。12:00からFSOの公式生配信があるのだ。

 そして12:00、サービス開始後初の公式生配信が始まった。


 ----------


「みなさんこんにちは。FSO公式配信者のシルヴィアです。」

「運営兼司会のおぐちーです。そして、」

「こんせなー☆彡 煌めく世界へレッツジャンプ☆ 跳躍系Vチューバーの兎宮星奈(うのみやせいな)ですっ!」

「雲の合間からこんばんは。八雲(やくも)デニーゼだよ。」

「音符の精霊、ナディネ・グラッセ。今日も声を届けちゃいます♪」


「と、みなさんに自己紹介いただきましたが、ついに【First Step Online】サービス開始しました!」

「「「「イェーイ!」☆彡」。」♪」

 おぐちーの合図とともにくす玉が開き、女性陣が歓声を上げる。

「というわけで、只今より【祝! First Step Online 配信開始1週間記念配信】スタートです!」


「では、まずは改めて【First Step Online】とはどういうゲームなのか。シルヴィアさん、お願いします。」

「はい。【First Step Online】は世界初のフルダイブ型VRMMORPGで、プレイヤーは来訪者となって仮想世界〈イルカディム〉を訪れます。

 〈イルカディム〉との関わり方は人それぞれ。戦技や魔法を磨いて戦うもよし、生産や交易を行うもよし。

 現在は第1期として約1500人の方にプレイしていただいております。」

「はい、ありがとう。そんなFSOですが、アンバサダーの皆様、いかがですか? ここまでプレイしてみて。」

「やっぱり人が増えると楽しいね☆彡」

「テスターとして長くやってきただけに感無量だよ。」

「リリース前でもスキルやアーツを使えて楽しかったけど、やれることがうんと広がった感じ♪」

「なるほどなるほど。シルヴィアさんは?」

「色々な人と関われるのが楽しいですね。」

「それは分かるかも。普段は画面の向こうにいる観測者(※星奈の視聴者)たちと直接交流できるのが不思議な感じ☆彡」

「私も♪」

「ナディネは自分の楽団を作っちゃったしね。」

「そうそう。なんと【グラッセ楽団】、水棲青鬼(サハギン)戦の後、入団者が増えました♪」

「そりゃそうでしょうよ。」

 ナディネの発言にデニーゼが突っ込んだところで、おぐちーが話題を変えた。

 

「おっと、ここで水棲青鬼(サハギン)戦という単語が出ましたね。」

「そうそう、水棲青鬼(サハギン)戦。あれ急でびっくりしたんだけど!」

「「「ほんとに」」」

 星奈の指摘に他3人も同調するが、

「って、シルヴィアも知らなかったの? 公式側の人なのに。」

 公式側の人間がまさか知らなかったことにナディネはビックリした反応を見せる。

「公式といっても、私の持つ情報はみなさんとほとんど変わりませんよ。」

「というか運営もイルカディムについては全てをコントロールしてるわけじゃないんだ。もちろん来訪者の状況は常に把握してるけどね。」

 ここでまさかの爆弾情報。FSO運営はゲームの運営はするが、舞台となる仮想世界の運営はしていないらしい。

「運営が全てコントロールしてるわけじゃないのは意図的?」

 デニーゼが質問する。

「そうだね。我々はイルカディムを1つの世界だと捉えている。故に干渉は最小限にしているんだ。」

「でも、本当にまずい事態の場合は【世界の運営者(アドミンロード)】として脅威を排除することになっているんです。」

「【世界の運営者(アドミンロード)】については後ほど解説するよ。さて、話を水棲青鬼(サハギン)戦に戻すと、公式としてもまさかの事態だったんだ。」

「そういえば、何名か徹夜になったんでしたっけ?」

「まあ、サービス開始した以上覚悟はしていたけどね。」

「あのときシルヴィアも戦地に赴いてたね☆彡」

「なんなら、私も最前線で戦っておりました。」

「「「まじか!」」」

「ちなみに、普段の配信で使ってる管理コマンドは私じゃなくて、別のスタッフが使ってます。私自身のステータスもほとんどプレイヤーと同じ状態なんですよ。

 と、長々と私たちの話をするのもあれですし。ここで、水棲青鬼(サハギン)戦のPVを見てみましょう。では、V振りを星奈さんお願いします。」

「OK! VTRスタート☆彡」


 ~水棲青鬼(サハギン)戦PV視聴中~


「「「「おー!」☆彡」。」♪」

「ほんと、急な討伐だったのにもかかわらず、多くの方々に参加していただけて有難い限りです。この件に関わった全ての来訪者の皆様に心より御礼申し上げます。」

 女性陣が声を上げ、おぐちーが一礼する。

「実際、私たち以外にいろんな人が大活躍だったね☆」

「みんなで一丸となって脅威に立ち向かった。あの経験は貴重。」

「私も大勢で演奏できて楽しかった♪」

「というわけで以上、水棲青鬼(サハギン)戦の振り返りでした。」

 Vチューバー3人の感想のあと、シルヴィアがコーナーを締めた。

 

 続けてシルヴィアが話し始める。

「次は、こちら!」

 画面が切り替わる。そこには『第1回PvPイベント開催決定』の文字が記されていた。

「今度こそ運営が用意したイベント『第1回PvPイベント』が来週4月29日12:00より開催されます。」

「4月29日というと、前々からイベントをするって告知してた日だよね。」

 FSOはリアルタイム性の高いゲームだ。故に、先月末の時点で4月29日に何かイベントを開催することは告知されていた。ちなみに、杏梨はすっかり忘れていた。

「イベントのルールは以下の通りです。」

 おぐちーの合図で再び画面が切り替わり、以下のルールを星奈、デニーゼ、シルヴィアが交代で読み始めた。


イベントルール

 ・予選はA~Dの4ブロックに分かれてサバイバル

 ・Aブロックには星奈、Bブロックにはデニーゼ、Cブロックにはおぐちー、Dブロックにはシルヴィアが参加

 ・持ち物の持ち込みは他者製は5個まで。自身の作ならインベントリ質量100まで。

 ・制限時間は1時間。

 ・勝利条件は生き残っている者かつポイント上位2名。

 ・ポイントは自分以外の誰かに与えたダメージ分獲得できる。

 ・自身のダメージで相手を撃破すると獲得ポイント2倍。

 ・獲得ポイントが自分より多い相手に対してダメージを与えると、その分多くのポイントを獲得できる。

  (例:20ポイントの人が30ポイントの人に10ダメージ与えると、10×(30÷20)=15ポイント獲得(小数点切り捨て))

 ・残り30分になると、上位2名の位置が常にマップ上に表示されるようになる。

 

 ・本選は1vs1

 ・持ち物の持ち込みは他者製は1個まで。自身の作ならインベントリ質量100まで。

 ・スタジアム内は〈ポータルヒーラー〉が起動している。ただし、回復するのはMPのみ。


 ・参加締切は前日12時。同日13時にブロック分け発表。

 ・イベントの様子は公式イーチューブで生配信。

 ・上記配信以外のイベントエリア内での動画撮影不可。

 

「と、こんな感じです♪」

 最後にナディネが締めると、画面は再びVR内のスタジオに切り替わった。しかし、ナディネ以外の3人の姿がない。

「というわけで、私ナディネ以外の4名もこのイベントに、1来訪者として参戦します。といっても、このままだとこのゲームをリリース前からやっていた彼女たちが有利……かもしれないので、ここで本日の企画に移ります。本日の企画はこちら!『投票! 星奈・デニーゼ vs おぐちー・シルヴィア 演奏 by ナディネ 勝つのはどっちだ!』です♪」

「ルールは簡単。今から星奈・デニーゼのVチューバーチームとおぐちー・シルヴィアの公式チームが、今度のイベントでも使用するスタジアムで2vs2のPvPを行うので、来訪者のみなさんは【FSOコネクト】から、どちらが勝つかを予想してください。

 予想が当たった方には運営からのささやかなプレゼントがあります♪ と、まずは4人のプレイスタイルをお見せします。特におぐちーさんのなんてみんなわかんないでしょうからね。というわけで、映像どうぞ。」

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