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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第四章

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97.周回プレイは嫌いじゃない


 その後、五回デイリークエストを行い、ソウルイーターのストックを103まで増やした。

 いい武器は手に入らなかったが、ストックはかなり増えたな。

 月光と月影には途中から抜けてもらい、『遠征』の方に参加してもらった。

 猿たちのレベルアップも並行して行う。


『ソウルイーター

 現在のストック数73

 攻撃補正+0.7%

 使用可能なスキル 魂魄斬り(消費ストック10)

          魂魄障壁(消費ストック10)

          魂魄強化(消費ストック10)』

 

 魂魄斬りは、肉体を切らずに相手の魂を直接斬りつける斬撃だ。

 斬られた箇所は黒い痣が浮かび、攻撃を受けたオークはめちゃくちゃ痛そうに藻掻いて絶命した。

 めちゃくちゃ物騒な技だ。


 魂魄障壁は強力な防御壁の展開。

 前方に壁を張るか、体全体に薄い膜を張るかを選べる。

 壁一枚の方が防御があり、体の方は不意打ちなんかに便利だな。

 ただどちらも、攻撃を一回受ければ消滅する。


 魂魄強化は自己ステータスの好きな項目を強化出来るバフだ。

 正確な数値は不明だが、ステータスの伸び具合からして+30%ぐらいだと思う。

 効果は60秒。


 それぞれ一回ずつ使ったので、ストックを30消費した。

 基本的にどのスキルも、一回限りの使い捨てだが、ストックさえ消費すれば何度でも使えるし、スキルと違ってCTもない。

 ただただ使えば使うほど、攻撃補正値が下がるし、回数は有限だ。

 使いどころはしっかり見極めなければいけないだろう。


「もうおわりー?」

「ウガーオ」

「ウッキィ」

「きゅー」

『ボー』


 皆、やる気満々過ぎる。

 まだまだ全然足りないらしい。


(まあ、やる気があるのは良いことか)


 俺もまだまだソウルイーターのストック貯めたいし。


「んじゃ、もっとやるか!」

「おー!」

「ウガーオ!」

「ウッキー♪」

「きゅー!」

『ボ!』


 というわけで、皆と共に再び周回に突入した。

 えーっと、ソウルイーターのストックが最高2,000(予想)で、現在のストックが73だから、マックスまで128回か。


(社畜で鍛えた精神力を舐めるなよ……その程度、軽くこなしてくれるわ!)


 むしろ、雷蔵たちの方が先にへばっちゃうんじゃないかな。

 あっはっは――なんて、笑っていた俺はとても愚かだった。




 ――周回12回目。


「ふぅ……そろそろ休むか」

「えー、まだやれるよー?」

「ウガォーウ」


 いったん休憩をしようかと提案したが、皆休憩は要らないという。

 うーん、タフだな。

 とりあえず回復薬で、体力を回復しておこう。

 


 ――周回32回目。


「よし! ついに雷蔵の新しい武器ゲットだー!」

「ウッガァ~♪」


 ようやく雷蔵の新装備をゲットすることが出来た。

 

・妖刀・数珠丸 攻撃+40、防御+15

 スキル発動時、攻撃8%、スキル効果+20%。連撃発生率40%


 夜空のレインボー・マジカルステッキと同格の武器だ。

 強い武器になればなるほど、実数値と補正値がセットになっているのだろう。

 新しい装備をゲットすると、雷蔵は右手に数珠丸を、左手に鬼丸を構えた。


「……ひょっとして二本とも使うのか?」

「ウガ」


 まさかの二刀流だ。

 基本的に刀って二本よりも一本で使った方が強いはずだけど、まあ雷蔵はモンスターだしな。

 雷蔵ならきっと使いこなせるのだろう。



 ――周回54回目。


「ハァ……ハァ……休憩……一回、休憩しよ? ね?」

「わかったー」

「ウッキィ~」


 なんで皆、こんなに元気なんだ……?

 雷蔵たちはともかくセイランまでピンピンしてる。


(お、俺の方がレベルは上のはずなのに……)


 うぅむ、体力や持久力は、単純なレベル差やステータスだけでは測れないという事か……。

 けどまあ、周回をこなしたおかげで、ソウルイーターのストックはかなり溜まったし、新たなスキルも目覚めたからいいか。


『ソウルイーター

 現在のストック数753

 攻撃補正+7.5%

 使用可能なスキル 魂魄斬り(消費ストック10)

          暗黒障壁(消費ストック10)

          魂魄強化(消費ストック10)

          魂魄修復(消費ストック15)

          魂魄集団強化(消費ストック20)

          魂葬刃断(消費ストック20)』


 魂魄集団強化は、その名の通り全体強化。

 魂葬刃断は魂魄斬りの強化版。

 魂魄修復は魂魄斬りや魂葬刃断で斬られた魂の修復だ。

 なんでこんなスキルがあるのかと思ったが、敵にソウルイーターの所有者が居た場合の対策だろう。

 ソウルイーターが一つしかないとは限らないからな。

 他のスキルも含めて、何度か試したから、その分のストックは消費しちゃったけど、検証は必要だからな。


 またソウルイーターについて追加で分かったこともあった。

 ソウルイーターは装備さえしていれば――正確に言えば、身に着けてさえいれば、どの武器で止めを刺しても問題ないし、仲間が止めを刺しても、ストックは貯めることが出来る。

 但し、仲間が止めを刺す場合は半径十メートル以内に居なければならない。

 所有者から半径十メートルがソウルイーターの『魂喰らい』の効果範囲なのだろう。

 

 あと味方が召喚したモンスターについては無効。

 嘆きの亡霊が召喚した下級幽霊をソウルイーターで斬っても、吸収は出来なかった。

 ソウルイーターについて分かったことはこんなところだな。




 ――138回目。

 ついにソウルイーターの補正値がマックスになった。

 ただストックについてはいい方向に予想が外れた。

 魂のストックは2,000を超えてもカウントされたのだ。

 ただスキルは六つ以上増えなかった。


「つ、疲れた……」


 流石にこれだけの回数をこなしたので、俺も含め、みんなのレベルもかなり上がった。

 俺がLV48、雷蔵がLV46、雲母がLV39、夜空がLV43、小雨がLV32、セイランがLV30になった。

 直接戦闘に参加している雷蔵、夜空に比べれば、やはりサポート中心の雲母の方が若干レベルの上りが遅い。

 まあ、そこまで気にするほどの差でもないけど。


(てか、雷蔵たちの体力、おかしいって!)


 俺もうくたくたなのに、なんでアイツら「あー、いい汗かいたー」くらいのリアクションなんだよ!

 俺か? 俺がおかしいのか?

 まあいいけどね!

 疲れるけどこういう周回作業、全然嫌いじゃないし!

 むしろ楽しいし! ちくしょう!

 山のように手に入った武器と、猿たちの遠征結果は後で確認しよう……。


「さて、現実だと今何時だ?」


 俺は待機室の中央にある時計塔を見る。

 時計塔は異世界ポイント内の時間と、現実の時間を表示してくれる。

 見れば、現実時間で一時間半ほどが経過していた。

 ……前よりも時間の経過が早くなってる気がするな。

 まあ、今は都合がいいか。


「それじゃ一旦、ログアウトするか……」

「えー、りゅーぅ、いっちゃうの?」

「すぐ戻ってくるよ」


 セイランの面倒を、雷蔵たちに任せ、俺は一旦ログアウトした。




 現実に戻る。

 念のため、こちらでも時間を確認する。

 よし、問題ない。

 あと一時間もすれば小雨の『世界扉』が使用可能になる。

 

「さて、大河さんは居るかな?」


 ライ~ンの連絡先から、大河さんに電話をする。

 すぐに出た。


『は、はいっ。虎にバニー……あ、違った。大河でひゅ!』

「佐々木です。今、大丈夫ですか?」

『大丈夫です。ちょうど自宅に戻ってきたので』


 昨日からずっと出かけてたのか。

 仕事だろうか?

 

「実は大河さんにちょっと相談したいことがありまして。……異世界ポイントの件です」

『! ……内容は?』


 大河さんの声が一瞬で鋭くなる。

 この辺の切り替えの早さは流石だな。

 伊達に廃人トップランカーしてない。


「実は――」


 俺は大河さんに小雨の『世界扉』のことを話す。


『そんなスキルが……流石にびっくりですね』

「……やはり大河さんもご存じないのですね」

『ええ、初めて聞きました』


 掲示板でも調べてみたが、それらしいスレッドはなかったからな。

 やはり相当特殊なレアスキルみたいだ。


「それで、大河さん、頼みたいことがあるんですが……」

『分かってます。私にそのスキルを打ち明けてくれたってことは、スキルの検証を手伝ってほしいんですよね? 例えば、『他のプレイヤーはその扉をくぐることが出来るのか』とか……』

「察しが良くて助かります」


 流石だな。

 理解が早くて助かる。


「では、俺の部屋に来てもらえますか? 流石に、外では試せませんから」

『分かりました』

「それじゃあまた後で」


 通話を切る。

 すると隣の部屋から、ドタドタドラという駆け足と共に、玄関のインターフォンが鳴った。

 ……流石の早さである。

 大河さんはこの間会った時と同じ服装だった。


「それじゃあ、一旦ログインするのでちょっと待っててください」

「はいっ」


 俺は異世界ポイントを起動させ、再び待機室へ向かう。

 待機室の扉を開けると、雷蔵たちが待っていた。


「りゅーぅ♪」

「ウッキィ~♪」


 そしてくっ付いてくるセイランと夜空である。

 うん、もう慣れた。

 俺は皆に大河さんのことを説明する。

 びっくりするかもしれないけど、決して驚かず、また攻撃しないことを厳命する。


「……だれかくるの?」

「大丈夫。心配しなくても、その人はお前に何かすることはないよ」

「うぅ……」


 やはりまだ俺以外の人が怖いのだろう。

 とはいえ、今後のためにもセイランには他の人にも慣れてもらわないと。

 いくらセイランが嫌がろうと、これは必要なことだ。


「それじゃあ、小雨。『世界扉』を発動させてくれ」

『ボー』


 小雨は頷くと、俺の前をくるくると泳ぐ。

 すると目の前に、あの片開きの扉が出現した。

 扉を開けると、そこには俯いたままの俺と、大河さんが居た。


「お、おぉー……本当に扉が出てきました」

「ちゃんと見えてるみたいですね」

「見えますとも、見えますとも」


 俺が部屋の中に入ると、視界が反転し、現実の肉体が同期する。


「うぉ!? 佐々木さん!? な、なるほど、こういう仕様なんですね。異世界ポイントでの姿が、現実でそのまま反映されると。……うわぁ、腹筋と鎖骨エッロ」


 ……大河さん、聞こえてるよ。

 俺はいそいそとあらかじめ用意していた服を着る。

 大河さんが残念そうな声を上げた。少しは自重してください。


「それじゃあ、大河さん、お願いできますか」

「了解です」


 大河さんはしっかりとした足取りで、世界扉をくぐる。

 すると、部屋に座ってうつむいたままの大河さんが出現し、扉の向こうにはSMバニーメイド女王様の姿となった大河さんが出現した。

 相変わらず際どくて、とてもエロスな姿である。ありがとうございます。


「……すっごいへんなふく。ひょっとしてこのひと、りゅーぅとおなじへんたい(いいひと)?」

「へ、変態じゃないですっ。というか、え、誰、この子!? かわよっ」


 あ、そういえばセイランには説明したけど、大河さんにはセイランのこと、説明するの忘れてた……。

 でもセイラン、良い人と変態は全く別だよ。

 まあ、とりあえず他のプレイヤーでも『世界扉』はくぐれるって判明した。

 この調子で、色々と検証していこう。



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