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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第四章

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92.デイリーダンジョン……? その3


「ふぅー……」


 落ち着け。

 ひとまず気持ちを落ち着かせる。

 世界扉について気になること、検証すべきことは山ほどある。

 だが、すぐには無理だ。

 なんせCTがこれまでで最長の12時間だ。

 それも『異世界ポイント』内の時間ではなく、現実の時間が適用されている。

 なので試せるのは最高で一日に二回まで。

 まあ、じっくり慎重に検証していくとしよう。


「あと今日の内にやっておくべきは……アレかぁ」


 デイリーダンジョン。

 デイリーとは名ばかりの、ただのクソハードミッション。

 デイリーダンジョンが拡張したってアナウンスもあったし、確認はしておくべきなんだろうけど……。


「……気が進まないなぁ」


 毎回、毎回、あのハードモードが続くようなら毎日はやりたくない。

 心が折れる。折れるんだけど、デイリーボーナスを捨てるのも勿体ないと思ってしまうのもゲーマーの性である。


「……仕方ない。やるか」


 ポイント交換やショップで新しい装備やアイテムがあるかどうかを確認。

 ……新しい装備はないのか。

 そろそろ雷蔵たちにも新装備をしてあげたいんだが、仕方ないか。


「みんな、終末世界に行く。いつでも動けるようにしててくれ」

「ウガゥ」

「きゅー」

「ウッキィ」

『ボー』


 今更だが、待機室とカードのバインダーはリンクしている。

 なので、新しく仲間になったカード以外は、ここからいつどんな状態でも呼び出すことが出来る。

 カードをバインダーから取り出す手間がない分、念じるだけで済むので断然早い。

 謎仕様だが便利だ。


『デイリーダンジョンに挑戦しますか?』


 イエスを選択する。


「さあ、やるか」


 気合を入れ直し、俺はデイリーダンジョン『終末世界』へと足を踏み入れた。

 




 再び視界が開けると、目の前には廃墟となった市民病院があった。

 前回、終了した場所と同じだな。

 少し離れた場所に、小雨が孵った卵塊も見える。


『デイリーダンジョン 終末世界

 クリア条件 マッピングを0.6%以上に広げる

 成功報酬 大空の欠片×1、晴天の欠片、雷鳴の欠片』


 0.6%か。

 やはり『終末世界』のミッションは毎回マッピングを0.2%ずつ広げていくってことなのだろう。

 もしくは広げていった先で何か別のミッションがあるのかもしれないけど。


「あ、そういえば、エイトさんが病院の中を歩き回ってマッピングを稼いでたな」


 この病院はかなり広いし、俺もとりあえずエイトさんに倣って中を歩き回ってみるか。

 エイトさんは何もないとは言っていたけど、慎重に探索しよう。


「雷蔵たちは……とりあえず呼ばないでおくか」


 雷蔵たちにはああいったものの、カードの復活手段がまだない以上、呼ぶのは危険すぎる。

 何かあればまた呪い人形たちを呼び出せばいい。

 病院の中は確かにモンスターはおらず、マッピングは順調に進んだ。


「……この病院のどこかがエイトさんのスタート地点だったんだよな……」


 院内を歩き回りながら、俺はエイトさんとの会話を思い出す。

 俺が自分の部屋からスタートしたように、おそらく『終末世界』は、現実世界で異世界ポイントを起動させた場所からスタートする。

 つまり、現実世界でのエイトさんはこの病院に居たってことだ。

 リアルを詮索するのはマナー違反とは言え、やはり気にならないといえば嘘になる。

 

「病院の一室って言ってたけど……ん?」


 ふとある個室が目に留まる。

 そこには、枯れた花や手紙、様々なアイドルグッズで溢れていた。

 ドルオタでも入院してたんだろうか?

 患者の名前は……アブ……なんて読むんだこれ?

 かすれてて読めない。まあ、いいか。

 病院内をくまなく探索すると、マッピングが0.16%も稼げた。

 エイトさんの言ってた通りだ。


「よし、これであとちょっと周辺を探索すれば終わりだな」


 エイトさんが無事にクリア出来たし、この周辺はそこまで危険な区域じゃないのかもしれない。

 俺はそのまま病院周辺を探索する。


(モンスターの気配は……ないな)


 マッピングにおいて現状、最も注意すべきは『瓦礫蟲』だ。

 嘆きの白は事前に予兆がある。

 釈迦蜘蛛や黒い巨人ならば遠くからでもその巣や姿が確認できる。

 だが瓦礫蟲は視認では確認できず、マップにも表示されず、予兆もない。

 前回の時は、モンスター図鑑が運よく作用したおかげで、奇襲を受けずに済んだ。

 あれがなければ、気づかずにそのまま食われていただろう。

 なので、まずは石を投げて周囲を確認し、それから移動する。

 時間はかかるが、現状これが一番確実だろう。


(マッピングは……0.59%か。そろそろだろうか?)


 予想が正しければそろそろ出てくるはずだ。

 そう思っていると、視界の先にあの『黒い人影』が現れた。


「やっぱりクリア直前になると出てくるんだな」


 逆を言えば、コイツが出てきたということは、もうクリアしたということだろう。

 今回は楽で助かった。

 黒い人影は、またどこかを指さす。


『……あっち』


 そちらに視線を向ける。

 あっちにあるのは……中心街か。もしくは駅か?

 

『進むならあっち……戻るならそっち……』


「お前、それ毎回言わなきゃいけないのか?」


『……うん』


 黒い人影が頷いた。

 ちゃんと返答してくれたよコイツ。

 変に律儀だな。


「で、そっちには、今度は何があるんだ?」


 最初は『忘れ物』、次は『仲間』。今度は何があるのか?


『……鍵と門番。仲間と共に乗り越えて、彼ら(・・)に会って……』


「鍵と門番……? それに彼ら?」

 

『今日はここまで……またおいで』


 そう言って、黒い人影は消えていった。

 鍵と門番、か。

 鍵の方はともかく、門番ってことはモンスターか何かだろう。

 乗り越えてってことは間違いなく戦闘があるってことだよな。

 この『終末世界』での戦闘とか、ぜってーハードだろ。

 もうすでに今から気が重いんだが……。


「……ん?」


 よく見れば、黒い人影が居た場所に何かがあった。

 近づいてみると、それはピンポン玉ほどの大きさの赤い宝石だった。


『パルムールの紅き雫を手に入れました』


 頭の中に響くアナウンス。

 今回はパルムール関連のアイテムか。

 どんなアイテムだ?


・パルムールの紅き雫

 かつてアルタナに存在した王国の遺品であり国宝


 説明これだけかよ。

 バルカディア皇家の紋章を手に入れた時と同じ感じか。

 前回のストーリーでバルカディアについての情報が得られたし、こっちもメインストーリーを進めていけば何かしらの情報が出てくるだろう。


『マッピングが0.6%に達しました』

『おめでとうございます。デイリーダンジョンをクリアしました』


 頭の中にアナウンスが響く。

 ふぅ……無事に終わってよかった。


(……次回が怖いな)


 黒い人影が指さした先に居るという門番とはいったいどんなモンスターなのか。

 俺の体は白い光に包まれ、黒い空間へと戻り、待機室へと向かった。

 とりあえずこれでデイリーは全部こなせたな。


「ウガーゥ」

「ウッキィ~」


 出番がなかったのが不満だったのだろう。

 雷蔵たちをなだめるのに苦労した。


「とりあえず後は確認だけしてログアウトするか」


 画面を操作して、色々と確認してゆく。

 手に入れた欠片で、雷蔵たちを強化するのは明日でもいいだろう。

 というか、現実時間でもうすぐ日付も変わる。

 早く寝ないと、仕事に差し支える。


「……ん?」


 ふと、メインストーリーの欄を見ると気になる項目を見つけた。


『メインストーリー6を開始するには、以下の条件を満たしてください』


『サブクエスト1

 イベントムービーを鑑賞する』


『サブクエスト2

 グランバルの森で隠しダンジョンを発見する』

 


「イベントムービー……?」

 

 いったいなんだろうか?



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― 新着の感想 ―
リュウさん、寝不足出社確定。
メインストーリーのためにサブストーリー…妙だな これは厄い予感がする
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