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61.俺の知らない間に、ステージ4とEXステージがクリアされたことになってる件


 いつもの黒い空間へ戻ってきた。

 

「……どういうこと?」


 どうやら酔いもデバフ扱いなのか、ここへ来た瞬間、頭痛や吐き気、胸焼けが収まった。

 さっきまで気分最悪だったのに、凄い。

 てか、思い出せ。何があった。


「えーっと、魔女さんと飲み会して……何話したんだっけ?」


 なんか色々愚痴りあったのは覚えてるんだけど……。

 飲んで記憶なくなるなんて本当にあるんだな。


「バルカディアがどうとか言ってたような……てか、俺、なんで裸なんだ?」


 かろうじて黒海苔は付いているところを見るに、酔ってる最中に騒いで脱いじゃったのだろう。

 そっか、俺、酔うと脱いじゃうのか……。

 知らなかった。知りたくなかった。

 今後の飲み会の時は絶対泥酔しないようにしよう。

 井口の馬鹿に一生ネタにされる。


『おめでとうございます。メインストーリー4『魔女の嘆き』ををクリアしました』

『おめでとうございます。メインストーリー4 EX『魔女の嘆き・終焉の宴』をクリアしました』


『活動実績を算出……事前阻止のため活動実績の算出が不可能です』


『完全達成と同様の状態と見なし、報酬を行います』


『実績 EXステージの4連続クリアを達成』


『実績 EXステージの事前阻止を達成』


『通常ステージ成功報酬 ポイント+60、魔女の心臓、4,000イェンを獲得しました』


『追加報酬 ポイント+600、終末チケット×15、スキル『泥酔耐性』を獲得しました』


『EXステージ成功報酬 ポイント+600、グランバルの王鍵、40,000イェンを獲得しました』


『追加報酬 ポイント+1,500、パルムール王墓の王鍵、終末チケット×15を獲得しました』


『経験値を獲得しました』

『LVが22から25に上がりました』

『LVボーナス ポイント+30を獲得しました』


『ポイント交換が拡張しました』

『ショップが拡張されました』

『デイリーダンジョンが拡張されました』


 前回の時と同じく、通常ステージとEXの分がまとめて入ってきてる。

 2,790ポイントもゲットだ。

 嬉しい。めっちゃ嬉しいけど、記憶にないのが辛い。


「……とりあえずあの魔女さんは敵だったってことか?」


 凄くいい人そうな感じだったけど。

 本来はどういうストーリーだったんだろう?

 事前阻止してしまった今となっては知りようがないけど。

 手に入ったアイテムはどういうのだろうか?


・魔女の心臓

 魔女の力が込められた魔石。眷属である4体の魔物を呼び出すことが出来る

 呼び出せるのは各ステージ一回のみ

 終末の扉を開くのに必要なアイテムの一つ。


「へぇ、召喚アイテムか」


 魔女の心臓ってまた物騒な名前だな。

 終末の扉ってのはなんだ?

 文字からしてデイリーダンジョンの終末世界と関係あるのだろうか?

 てか、それに関係ありそうなアイテムも手に入ったんだよな。


・終末チケット×30

 一枚使用する毎に、デイリーダンジョン『終末世界』に挑戦できる


「へぇ、デイリーの挑戦回数を増やせるのか」


 デイリーダンジョンは現実時間で一日一回だけの挑戦だ。

 それを回数制限ありとはいえ、何度でも挑戦できるようになるのはありがたいな。

 つまりそれだけ雷蔵たちの強化素材も手に入るってことでもある。

 ……あの世界、ちょっと怖いのが玉に瑕だけどな。

 だって世界観が違いすぎるもん。


「そういや。デイリーダンジョンが拡張されたって通知もあったな……」


 ダンジョンが拡張されたってのはどういうことなのだろう?

 あの巨大アロワナみたいなのが増えたとか? ……こわっ。

 まあ、いいや。気を取り直して、次のアイテムを確認しよう。


・グランバルの王鍵

 グランバルの森にある隠しダンジョンを開く鍵

 強力なモンスターがはびこり、数々の貴重なアイテムが眠っている

 レベルを上げて、装備を調えてから挑もう


・パルムール王墓の王鍵

 パルムール王墓にある隠しダンジョンを開く鍵

 強力なモンスターがはびこり、数々の貴重なアイテムが眠っている

 レベルを上げて、装備を調えてから挑もう



 へぇ、これってつまりスタート地点には隠しダンジョンがあるってことか。

 全然、気付かなかった。

 いや、そもそも言うほどグランバルの森調べ尽くしてないけどさ。


「けど、またあそこに行くのは時間が掛かるなぁ……」


 移動手段が自転車か徒歩しかないのが辛い。

 ポイント交換とショップが拡張されたってあったし、後でもっと良い移動手段がないか確認してみよう。

 というか、今更だけどメインストーリーやサブクエスト無しで、オープンワールドには入れないのだろうか?

 その辺も後で調べてみるか。


「えーっと、スキルの『泥酔耐性』はこれまで取得した耐性スキルと同じ効果だな」


 つまり『異世界ポイント』では酔いも立派なデバフ扱いということだ。

 ……果たして酔った俺はどんな醜態をさらしていたのだろう?

 黒海苔だけだったし、雷蔵たちに確認するのが怖い。


「そういえば、なんかアナウンスでデイリーダンジョンの一部が変化したみたいな通知があったような……」


 どんなアナウンスだったっけ?

 ここに来る前だから、ほとんど覚えてないんだよなぁ。

 くぅ、こっちの黒い空間だったら、酔いも覚めてしっかり覚えてたのに。

 お酒が悪いんだよ。あんな楽しい飲み会なんて久々だったんだもの。


「ていうか、飲み食いでポイントってどんだけ使ったんだろ……?」

 

 確か床には大量の酒瓶が散乱していたような気がする。

 ステータス画面でポイントの残高を確認してみた。


「えーっと今回入った分を差し引けば……うぉ、120ポイントも減ってる……」


 酒やおつまみは全部1ポイントだから、どんだけ飲んだんだよ……。

 ポイントの消費量よりも、そっちの方が驚きだ。

 俺って結構飲兵衛だったんだな。いや、雰囲気が楽しかったからか。

 やっぱ楽しいとお酒も進むからな。

 でも現金換算で120万も飲み代に使ったと思えばヤバいな。

 歌舞伎町じゃないんだからさ。


「雷蔵たちは……あ、状態が『泥酔』になってる」


 飲み会に参加していたメンバーはもれなく『泥酔』と『熟睡』状態になっていた。

 交換が拡張して『酔い覚まし』と『眠気覚まし』ってアイテムが入荷していたので、早速交換する。どちらも1ポイントで10個。

 全員、一つずつ使用したら、『泥酔』と『熟睡』が消えた。

 これでよし、と。


「ふぅー……とりあえず一回、ログアウトするか」


 他にも色々と確認したい項目はあるが、一旦現実に戻ろう。

 なにせゲーム内で夜通し飲んだんだ。

 現実でどれだけ時間が経ってるか気になる。

 ログアウトを選択し、俺は一旦現実へと戻った。





 ――視界が暗転し、いつもの見慣れた光景が目に映る。

 さて、何時だろうか?

 時間を確認しようと、視線を横に向けると……。


「あ、起きました? 良かったぁ~……」

「…………………え?」


 何故か俺の部屋に、大河さんが居た。

 もう一度言う。


 大河さんが居た。


 俺の部屋に。

 幻覚? 見間違い?

 俺はごしごしと目をこすり、もう一度目を開ける。


「だ、大丈夫ですか? やっぱり何かあったんですか?」


 やっぱり大河さんが居た。

 見間違いじゃなかった。

 え、鍵、なんで、部屋、どうして、なんで?

 俺の思考は一瞬真っ白になり、ややあって――。


「うわぁあああああああああああっ!?」


 思わずのけぞるほどの大声を上げるのだった。




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― 新着の感想 ―
怖っ!!(((゜□゜;;;))) 『知らない間に、壁際に置いてる三段ボックスを除けると壁に穴が開いてた』だったら、ちょっと心臓停止しそうになるわ……(震え声)
おはようございます。 >大河さんが部屋に居た ファッ!?やべぇよやべぇよ…!?(恐怖
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