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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第一章

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11.EXステージ その2


 そもそも俺はまともにモンスターとの戦闘すら経験していない。

 チュートリアルでも先ほどのステージでもゴブリンとは戦わずに済んだ。

 否、済んでしまったのだ。


「いや、いつかは戦わなきゃいけないと思ってたけど……」


 でも、普通はもう少しこう……刻むだろ! 手心とか無いのかよ!

 ……いや、違うな。普通に俺のリスク管理の低さが招いた結果だ。

 EXシナリオの挑戦が一回だけとはいえ、先にポイントを交換し、何かしら準備をすることも出来たのだ。

 なのにそれを怠った。つまり反省すべきは俺自身だ。

 馬鹿! 俺の馬鹿!


「ふぅー、よし、反省終了。この反省は次に生かす! まずは現状の打開だ!」


 気持ちを切り替えろ。狂鎧大猪コイツを倒す方法を考えるんだ。

 俺の現在のLVは1。相手は討伐推奨LV10のモンスター。

 普通に考えればまず勝てない。

 でもこれはゲームだ。


 そしてゲームとは、クリア出来る(・・・・・・)ように作られている。


 どんなに難易度が高いゲームでも、どんなに強い敵であっても、必ずクリアする方法がある。

 そうでなければそれはゲームとして成立はしない。

 勝つ可能性も、負ける可能性もあるからこそのゲームなのだ。

 可能性は極小かもしれない。でも極小でもあるのならばたぐり寄せて勝つ。


「やってやろうじゃねえか。アルダン無課金勢を舐めんなよ! 今後は月額課金サービスくらいは利用する予定じゃ畜生が!」

「ギァ……?」

「ブモォ……?」


 俺の叫びが意味不明だったのか、ゴブリンも狂鎧大猪も「何言ってんだコイツ?」と首をかしげていた。

 うるせぇ、気合いだ気合い!

 狂鎧大猪は馬鹿にされたとでも思ったのだろう。


「ボアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 叫びながら、こちらへ突っ込んできた。


「ッ……この速度。おい、ゴブリン! 右に避けろ!」

「ギィ!」


 俺は左、ゴブリンは右に、それぞれ飛び、狂鎧大猪の突撃を避ける。


(――よし、避けられた!)


 先ほどよりも速度が出ていない。

 狂鎧大猪はそのまま背後の岩にぶつかり静止する。


「ブルルル……」


 頭についた瓦礫を払うと、再び地面を蹴るような仕草をする。

 鋭い眼光がこちらを捉えて離さない。


(……さっきは岩を完全に砕いていたはずだ)


 それが今の突撃では岩は砕けずに穴が開いた程度。


「ブモォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 避けられたのが癇に障ったのか、狂鎧大猪は再び俺に向かって突貫してくる。


「ッ――さっきよりも更に遅いじゃねえか!」

「ブモォ!?」


 あっさりと避けられ、狂鎧大猪は木に当たって転がった。

 ブルブルと頭を振ると、忌々しそうに俺をにらみ付けてくる。


「……今度は余裕で避けることが出来た」


 それに威力も低かった。当たった木が折れていない。

 一度目は目に見えないほどの速度で、ゴブリンをミンチし、背後の岩を粉々にした。

 二度目はギリギリで避けられ、背後の岩に穴を開けた。

 三回目は余裕で避けることが出来き、当たった木は折れなかった。

 その差を生み出したのは何か?


「……距離、か?」


 たぶん、そうだ。

 おそらく奴の突進は最高速度になるまである程度の距離が必要なのだろう。

 ここへ現れる前のあの噴水のように打ち上げられた木々が、コイツの仕業だとすればあの時点ですでに走り出していたと考えるべきだ。

 フィールドの距離はおおよそだが把握している。

 奴が出せる最大速度、威力は最初に出現したときがマックス。

 最初に木が打ち上げられた場所から俺達が居た場所までは約200メートル。

 二度目は約20メートル。

 三度目は2メートル。

 距離が縮まるごとに、速度と威力は格段に弱くなると考えて間違いない。


「なら、接近して攻撃がセオリーだけど……ふんっ!」


 俺は地面に落ちていた石を投げる。

 奴の外殻に当たって弾かれた。


「あの外殻が問題なんだよな……」


 距離を保てば、突進は避けられる。

 でも接近戦を狙おうにも、あの鎧が邪魔で碌にダメージを与えられない。

 鎧の隙間を狙おうにも、有効そうなのは膝の裏、あとは口の中くらいか?

 どちらも狙うには的が小さすぎるし、リスクが高すぎる。


「……厄介だな」


 普通に戦ったんじゃ勝ち目はない。

 なら思考を切り替えるだけ。

 普通じゃないやり方で勝つだけだ。


「これならどうだ!」

「ブモァ!?」


 今度は足下の砂を奴に向かって掛ける。

 目に入ったのか、狂鎧大猪は苦しそうにもだえた。


「よし、今のうちだ! ゴブリン、ついてこい!」

「ギギィ!」


 俺はゴブリンと共に森の中へと逃げ込む。


「ゴブリン! 作戦がある。俺の指示に従ってくれ」

「ギィ!」


 一か八かだがやってみるしかない。

 ゴブリンはすがるように俺を見つめてくる。

 いったいどんな作戦なのかと期待しているのだろう。

 カチャカチャと、俺はベルトを外し、ズボンに手をかけた。


「ギィイ!?」


 ゴブリンが信じられないようなモノを見るかのような声を上げた。

 ああ、そうだった。お前は一度、これを見ていたんだったよな。

 この作戦の要はこれだ!


「――まず、服を脱ぐ!」


 さあ、作戦開始だ。


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― 新着の感想 ―
必要だからと言い訳しつつ、実は脱ぎたいだけのやつか!
匂いに敏感ってことなら、一応セーフか
やはり主人公は変態なのでは
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