01 焦りとか。
『~であるからして、ここのxは・・・・』
とある15歳の秋の日。 窓際の一番後ろの席の男子生徒。少し艶めいてる黒髪に若干生気のない茶色の眼。カッコイイ!というわけでもないが普通というわけでもない まぁまぁ整っている顔立ち。
神谷雅人は授業には耳を傾けず 窓側に顔をかたむけていた。なにもかもめんどくさそうな顔をして雲を見ている。
それを明らかに人間ではないような’モノ’が空から見ていた。
紫色のツインテールをした長い髪と黒いやわらかそうなワンピースが風にゆれる。
その背には明らかに人間ではないと物語る白い翼。
濃い紫色をした吸い込まれそうな瞳はギラリと光った。
「 次の仕事はここ・・・かぁ」
’モノ’ はにやりと笑う
「さてさてさて、はたしてあの人は、生き残ることが出来るかな?」
するとものは しゅっと言う音ともに 消えた。
俺は暇そうに(マァ暇だった)先生のやる気のない授業の声を聞くことはせず
ただぼーっと窓の外を眺めていた。
秋だっていうのに。学生が一番楽しみにしている行事学園祭も明後日に始まるというのに。
やけに寒いのは何故だ。きれてもいいかな。ねぇ。いいかな?
雲行きは怪しくて、今日の夕方には雨が降るとかいつも朝になると別に意識してるわけでもないのに
Tvを付けると見てしまう番組のお天気お姉さんが言ってた気がする。
授業をうけるのもめんどくせぇ。 超ダッシュで家帰りてぇ。しかも帰りにはめんどくさいわけのわからない学園祭のクラスの出し物に無理やり付き合わされることに昨日決まっちまったし。うちのクラスの出し物は喫茶店。ベタすぎねぇ?とか思いつつため息をついてみるがまぁそのため息には何の意味もないことなのでもう先生に気づかれなくダッシュで家に帰る方法を考えていた。
『神谷!』
「はいっ!?」
何故呼ばれたかも気づかず
ビックリして雅人はいすから飛び上がった。
周りを見渡すとクスクス笑ってこっちを見ているクラスメイト。
「お前、授業をしっかり受けないと進級できねぇぞ? じゃぁそんなところでここの問題といてみろ!」
「x=α2乗(y-4)」
雅人は即答した。
すると少しクラスがどよめく。 やべ。やっちまった。
額から汗がにじむ。
もともと雅人はものすごく頭がよかった。そこらの有名進学校にトップで入学した!というのとはレベルが違う。 問題は全て一瞬見ただけで解いてしまう。 何かの設計図を書いて欲しいといわれたらその何か、を聞いてしまえば一寸の狂いもなく書き上げる。
雅人は八歳のころにソレを国が発覚して、研究所みたいなのに連れて行かれて外国の一流大学の入試試験をうけさせたら 計算モノであったら全て満点になった。
まぁソレはいい事なのだが、ほかのクラスメイトとかに知られてしまうのはあまり良くない。
というか嬉しくない。自分が人離れしている奴だと思われたくなかったから。
だからテスト問題とかはほどほどに間違えている。
だが今はあせって問題をすらっと答えてしまった。
「 おぉ・・ あってるが、授業はちゃんと・・・聞けよ?」
先生の額にも汗がにじむ。
「じゃぁ座れ・・・・」
やっちまったよーと心の中で雅人は叫びながら座る。
すると横の席の、青柳美夜が話しかけてきた。
青柳美夜は割りとクラスでもてている可愛い子で、
長い黒髪をストレートにたらしていて風が吹くたびすこし髪がゆれるのだがそれがまた可愛い。
眼も綺麗な黒で顔立ちはそこらへんのモデルに負けないくらい可愛い。 スタイルもバツグンだ。
そんな美人が雅人に話しかけてきた。
「神谷くん すごっ 私あんな問題一生かかっても解けない気がする 今度勉強教えてよっ」
美夜は煌いた眼で微笑んでくる
雅人はもちろんまんざらでもない表情をして照れくさそうに笑った
「ああ。・・・いいぜ。そのかわり今度、俺買いたいものがあるんだが青柳、それに一緒「そーいえばさぁっ 学園祭の準備おわってないからさっ今日はサボらないでね神谷君っ!ってどうしたの?そんな落ち込んでるような顔して」
「いや・・・・いいよ。うん。今日はサボらない」
若干なみだ目になりながら雅人はつぶやく。俺、乙。
ってか、サボってたこと気づかれてたんだな。めんどくさいけど美夜のためだっ
・・・・・・まてよ。文化祭の準備が終わってないなら材料とか買い終わってないって事だよな・・・・・?
つまりなんだ。二人で買出しとか行けちゃうんじゃね 行けちゃうんじゃね!?
「うおっしゃ!感謝するぜ学園祭っ」
ついつい口に出して大声でいってしまう。
『感謝して、やる気を出すのはいいがいい加減授業を聞きやがれ神谷!』
先生がこっちに眉間にしわを寄せた状態で笑ってこっちに歩いてくる。
えぇ~
「先生、暴力反対です!」
「じゃぁ俺の話をいい加減聞きやがれ!」
がつっ
頭をグーで殴られた。
クラスが笑い声で包まれる。
頭は痛かったけど雅人は少ししあわせだった。