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星空
仕事から帰る時、ふと空を見上げる
まばらな小さな星を眺めて、都会じゃこんな星も地上の光で見えないのだろうと思う。
もう少し郊外にいけば綺麗な星空が見えるだろうか。
そんなことを考えながら家に着く毎日だ。
こんな日が、つまらないながらも平穏な日々が、続いていく予感があった。
そんな予感はあても無く簡単に崩れるものなのだ。
どうしてだろう。
部屋には玄関を破壊しつつある音が響く。
どうして、こんなことになったんだろう。
平凡な私にはこんな事になってしまった世界を恨むことしかできない。
もうすぐ"アレ"が部屋に入ってきて私を殺すのだろう。
自然とベランダに視線を移し、立ち上がる。
幸い、私は人が死ねる高さに住んでいる。
ベランダに立つと真っ暗な街が広がる。
もう私の街を照らすのは月明かりだけだ。
そして、上を見上げながら歩を進める。
「今日は星が綺麗だ。」