恥ずかしい新婚生活
初夜以来ヴィクトールは溺愛は止まらない。始終離れて過ごす事を嫌がった。
どこにいても何をしていても公務があるのにあれこれ理由をつけては部屋を訪問する。
大体皇太子妃になってからは公務をほぼ放棄して生活している。
さすがに外交時には参加しなくてはいけないが、日常の貴族達の接触は望む事だけですんだ。
概ね大ブーイングだが皇后陛下は許してくれている。
なんでも皇后陛下は皇太子に愛する人と結婚するのを望んでいて自分も恋愛だったかららしい。
私にもよくしてくださる。
御年四十代だが今も美しく見た目も三十くらいにしか見えない。
今の所私の目指す人物だ。
今日は今日でお茶に呼ばれている。
皇后陛下のプライベートエリアにある中庭が今日の会場だ。
「ヴィクトールの我儘でこんなことになって申し訳ないわ」
いひょうをついた皇后の一言にドキッとする。どうやらお見通しのようだ。
「いえ……あの…」
「どうせあの子が公爵のアプローチを防ぐとか。離婚してもいいとか。将軍にしてあげるとか。
言ったんでしょ。」
「い……。あぁ」
言葉にならない。
これははいそうですと言っているようなものです。
「わかっているわ。
本当に誰に似たのか強引で策略家でああ見えて食えないの我が息子」
意外とざっくばらんな皇后に面くらっているアレキサンドリ。
黙り込む。
「まぁ。悪い子じゃないのだけど。
思い立ったらとまらないというか。
あなたは知らないだろうけど。
少しストーカー気味だと思った事もしばしば。
多分あの子は変わる事はないからあなたの好きな様にしていいのよ
あの子の身分の事はおいおい考えるとして」
ひぇ~~~皇后様。
逆に離婚を考えるのを拒否されているようです。
やはりこの皇后にしてあの皇太子ありです。
しばらくヴィクトールの小さい頃の話や外交の事、宮廷生活の事など。参考になる話が多かった。
相手に応じて話を変えられるのはさすがだ。おそらくファッションや噂話ばかりと思っていただけに予想外だった。
そこへ現れたヴィクトール。
「母上!
アレキサンドリアに変な事言ってませんよね。」
怒り気味に登場したヴィクトールは不機嫌そうです。
「いえ。
良い時を持てました」
「ふ~~~ん
それよりアフェルキア公国から新しい贈り物が来たんだ。
見ようよ。」
本当にまだ子供だ。
クスクス笑いながら皇后と別れた。
「意外と長い付き合いになるのかな」
皇后は楽しそうに言った。
贈り物は意外な物だった。
ベビーベットである。
あからさますぎませんか?
この日からヴィクトールの皇太子妃への閨の訪問が日常になっていった。
夫婦なので当然ではあるが、アレキサンドリアはこっぱ恥ずかしい限りだ。
第八話