皇太子との初夜
戦場から帰ってきてから、皇太子が寝室に初めて訪れる夜が来た。
いままで疲れや年齢差で関係を持つ行為に二の足を踏んでいたからだ。
「今夜行くから」
夕食時にそう告げられ「いやです」とは言えずにこの夜を迎える事になってしまった。
二十三歳未婚貴族女性は処女が原則、婚約中も勿論関係を持つなど禁忌とされた。
なので男性経験はない。
一方帝国の皇太子ともなると担当乳母が身体を使ってレクチャーする。つまり皇太子も十三歳にしてイケイケ経験済
子作りは皇室の最大重要事項なのだ。
正直まったく考えていなかった。
どうしよう。性教育は基本習っていたが、正直生物学的な事の理解だけだった。
まさか実践するわけにいかないのでしかたがないが。
そうこうしているうちに侍女が皇太子の入室を告げる。
「はい」
アレキサンドリアは緊張を葡萄酒でごまかし皇太子を迎える。
当然だがヴィクトールは寝屋着を着てわずかに湯に入れた香油の匂いがした。
自分も同じものを塗られたので覚えていた。
当然だが自分も薄い寝屋着を着ている。
うっすらと身体の線が見えて超スケスケ恥ずかしい。
とにかく恥ずかしかった。
「少し話そうか」
皇太子はアレキサンドリに微笑んで言った。
皇太子も緊張していた何せ十年憧れの人と思いをそい遂げられるのだ。
相手の意思は別にして。
少し利己主義だと思ったが、離婚したくないという思いがそれを軽く超えてしまった。
関係を持てば離婚したくないと思うかも。子供が出来たら思うかも。
「僕はね五歳の時から君が好きだったんだ。
だからどうしても一緒にいたかった。
今もこれから出来れば一緒にいたい。
君に嫌われないように頑張るから。
いつまでもいてほしい」
お願い作戦だ。
毎回これで数々の女達が折れるのを知っているヴィクトールは策略家だ。
「殿下。
いまだけですよ。
もう十年もしたら立派な年増です。
殿下はいやになりますよ。
それまで待ちますか。」
少し苦笑いするアレキサンドリアにヴィクトールは怖い顔で言った。
「それはない。
君は永遠に美しいし。
たとえ皴くちゃになっても僕の愛しい人だ。」
アレキサンドリアに抱きついて懇願する。
やれやれアレキサンドリも同様に皇太子に折れてしまった。
「では皇太子さまが私が嫌いになったら離婚しましょう。」
「いいよ絶対にないから」
アレキサンドリアの固い肌にヴィクトールの柔らかい肌が絡むともうヴィクトールは止まらなくなる。
いきなりアキクサンドリアの唇を奪い熱く濃厚なキスの嵐を浴びせたかと思うと、そのままお姫様抱っこをしてベットに寝かせる。
アレキサンドリは押し寄せる不安に抗いながら皇太子の顔が近くに寄ると目を閉じた。
「瞳を開けて」
皇太子が言うとゆっくり開ける。柔らかな微笑みを讃えたヴィクトールがすぐそばにいた。
ヴィクトールはアレキサンドリの寝屋着の紐を解くとゆっくり口付けとその身体を舌で転がして堪能してアレキサンドリが痛くないように十分に愛撫して気分が高揚した所で行為に及んだ。
長年の思いがかなった喜びでほとんど休ませてくれないアレキサンドリが意識を失ったのは朝方だった。
つまり夜中から朝方までヴィクトールはアレキサンドリを堪能したのだ。
次の朝 皇太子夫妻が初夜を迎えた話で宮廷中囁かれた。
アレキサンドリが赤面して宮中を行き来しないといけない事が苦痛だったが、今までよりは皇太子を身近に感じるのだった。
第七話




