皇太子の決断
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皇太子の長女は フロレンティーヌ・ディア・フェレイデンと名付けられた。
皇帝と皇后は初めての孫娘と大変可愛がった。
誰からも愛されアレキサンドリアはこの生活に始めの頃に比べて満足していた。
頭から離婚するという言葉が消えていった。
もう出来ないいやしない。
可愛い我が子を手にして思う。その子に出会わせてくれた夫に感謝さえしている。
しかしやはり恥ずかしさはついてまわるし、次こそは男子をと押し寄せるプレッシャーに吐きそうではあった。
フロレンティーヌが揺り篭で眠っている頃、ヴィクトールが子供部屋を訪れた。
そして重要な事をアレキサンドリアに伝言する。
「まだ僕と離婚したい?」
「……いいえ。
でも静かに暮らしたいとは思います。
殿下は頼もしくこの子の父ですから。
そして私の夫ですから」
ヴィクトールが優しくアレキサンドリアの額にキスをする。
「両陛下に伝える前に君に言っておく。
僕は皇位継承権利を放棄しようと思う。
丁度弟も元気だし優秀だ。
僕は君との生活が大事だし、この子の成長だけを幸せに感じていたい。
君が公務嫌いなのもわかるし。
なにより恥ずかしいだろう。
いいんだ。実は面倒だ皇太子なんてね」
言葉がすぐに出てこない。皇太子になるべき者を自分の性で拒否するなんて……。
「君はそのまま将軍として帝国に貢献できる。
僕は弟が継承するはずだったフォルディス大公として統治するよ。
一生生活するには困らないし、皇族であるのはかわらないさ。
なにより邪魔されず君とフロレンティーヌと過ごせるんだ。
こんな幸せないよ」
「……殿下…
でもこんど男の子が出来たら考えが変わるかもしれませんよ」
ヴィクトールはにっこりと笑い
「いいかい。
男の子が出来たとしても君が育てるんだったらそうは思わないよ」
「君が何を望むのが重要なんだ。
君が望むものが僕の望みんだから」
アレキサンドリアがヴィクトールを抱きしめる。
初めてのアレキサンドリアからの抱擁だった。
ヴィクトールは興奮して力いっぱい抱きしめる。
この後皇太子は両陛下に自分の考えを伝え、なんとか了承をとりつけた。
宮廷は大騒ぎだ。皇太子が皇太子妃の願いを聞き入れ皇位を放棄した!と。
皇太子派の貴族達は皇太子妃をいっせいに攻撃した。しかし皇太子妃は堂々として無視を決め込む。
自分は将軍の地位をそのまま保持して帝国の軍事は最強となった。
元皇太子は大公の地位を得て、財産家になりまた愛妻家になった。
二人の間にはその後三男四女に恵まれ幸せに暮らしましたとさ。
あいかわらず「恥ずかしい」は口癖だったが…・大公妃の口癖は「恥ずかしい」
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