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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー【完全版】  作者: きつねうどん
第二十章 終焉
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第捌拾肆話 共闘

【コード:000 自動承認 風林火山を起動するね!】


「鞠理、お前は零央と一緒に鶴崎の治療と防衛に当たってくれ。俺とトッキーで3人の盾役になる」


「分かった。零央君、谷川さんと一緒に頑張ろうね。大丈夫、私が君を守るから」


「うん!ありがとう、おねえさん」


その間、朱鷺田は無線機で何処かへと連絡している。


「今、山岸達と連絡が取れた。北部で久堂を捕らえたそうだ。今、全部隊攻撃がストップしている。今がチャンスだ。行こう」


【コード:200 承認完了 毘沙門天を起動します】

【コード:007承認完了 毘沙門天を起動します】


旭達2人を先頭に、一気にホテルへと雪崩れ込む。

入り口付近の回転扉は勿論の事、周囲を囲う窓ガラスでさえ緑色の液体が付着し、不気味な状況を作り出していた。

中には離れた所でほくそ笑む全斎と、動揺する富士沢の姿があった。


「どうなってるんだ!?仲間同士で内輪揉めか?」


児玉の言葉の後、彼の元へと無線が入る。相手は黄泉からだった。


「児玉君、聞こえるかい?今、薬の解析が終わった。医者の僕から言わせれば欠陥品だらけだよこれは。とりあえず、11分保たせてくれ。僕も直ぐに向かう」


「11分!?どうして!?」


「朧君が教えてくれたんだよ。彼らは自分の若さを保つ為に、一定のサイクルで体を新しくしなければならない。特に鶴崎と全斎はその症状が多い。だとすればだ」


その言葉に児玉は何かに気がついたのか目を見開く。


「黄泉、今鶴崎の姿がないんだ」


その言葉の後、散らばった肉塊が一箇所に集結した。

入り口側にいた谷川と零央が驚くものの、声を発する。


「...おじいちゃん?」


「零央君、今の内に治療しよう。そうすれば、おじいちゃんも元通りになるから」


【コード:007 承認完了 毘沙門天を起動します】

【コード:000自動承認 盧舎那仏を起動するね!】


「不味い、全斎が逃げた!追うぞ!鞠理、零央後は任せた!ここまで来て、逃すかよ!」


「児玉君、武器に僕の番号を入力してくれ!君達の武器にはそれぞれ、僕の印が入ってる。呼び出してくれれば、その場に向かえる」


「あぁ、もう!今日は一段と忙しいな。長い一日だよ全く」


【コード:923 承認完了 Dr.黄泉を呼び出します】


目の前に黄泉が現れ、6人で全斎の行方を探すものの一向に見つからない。


【コード:923 承認完了 ナビゲートを使用します】


「零央君のように広範囲での使用は不可能だ。精々、このビルの全体くらいしか見れない。僕の調べた範囲にはいないみたいだな」


壁に投影された位置情報を見ながら望海は全斎の居場所について考えを巡らせていた。


「全斎はこの後に及んで逃亡を図ったのでしょうか?しかも、何処へ?そんな事をして、何の意味があります?部下達ももう動けないというのに」


「自分だけ生き残って勝ち逃げ出来ればそれで良いと思ってるんだよ。だとしたら、可能性はただ一つ。あそこしかない」


光莉の言葉に朱鷺田は入り口付近で待機をする谷川に対して大声でこう叫んだ。


「谷川!!俺達は全斎の門があった所に向かう。鶴崎の治療が終わり次第連れて来てくれ」


「分かった!Dr.黄泉、手伝ってくれる?」


「勿論だ。全斎を止められるのは鶴崎しかいないからね」


5人はそのまま、全斎の門へ向かう。

そこには案の定彼がいた。


「退路は絶たれたか。私もこの町に取り残されるのか。そんな事!絶対にあってはならない!私はアイツのようにはならない!うぅ…」


その激昂の後、全斎は苦しみ始めもがき始める。魔の11分が来たようだ。

しかし、抵抗するように拳銃を発射する。

人の気配に気づいたからだ。


全斎の目の前に大きな影が出来る。

直様、水行川に移動して来た望海達の姿だった。


「悪いな。俺達に弾丸は無意味だ。何故だか知ってるか?異国の人達は俺達の事をあまりの移動速度に弾丸と呼んでいるらしいからな。もう逃がさないぞ、全斎。お前のした事、全部知ってるんだよ。お前の目的も、何もかも。相棒の親父さんを誑かして、そんなに楽しかったか?」


いつも、穏やかな旭に似つかない険悪な表情に朱鷺田は自分の為に裏でどれだけ努力し、軍の情報を探ってきたか彼の苦労を間近で見る事になった。


「誘ったのは彼方の方だ。この町に何の価値がある、くだらないと笑ったよ。鶴崎もそうだ。皆、この町にしがみついている。だから、全員墓場に入れてやろうと思っただけだ。愛する故郷でくたばればいいさ」


「貴方が鶴崎の死を看取る本当の葬儀屋だったんですね。1人で生き残って何が出来ます?世界征服でもするつもりですか?だとしたら、相当くだらないですよ」


望海もまた、冷徹な表情で腰にあった拳銃を彼に向けた。

旭と望海、2人の見慣れない表情に周囲は驚きを隠せなかった。

そんな時だった谷川と黄泉は勿論、零央に支えられた状態で鶴崎がやって来た。


「この馬鹿者が。恨むなら私を恨め、人魚の落胤に残された顛末などたかが知れてる。お前はいつもそうだ、私と同じか反対の事をしたがる。宿敵と罵って、私に牙を向けてくる。私が居なくなれば、お前はどうするつもりだ。結局、何も考えていないのだろう。私を潰す事しか考えていないのだからな」


「違う!私は鶴崎、お前のようにはならない。この町や基地にのさぼり続けるお前達とは違うんだ。年長者というだけで、偉そうな口を吐くな」


その言葉に鶴崎は呆れていた。

全斎の行動源は鶴崎に対する反抗心だろう。

年功序列によって生まれた縦社会を彼は良しとしていなかったし、理不尽に感じていたのかもしれない。


現に全斎はこうして部下を抱え、今回の騒動を引き起こした。

出世の壁となっていた鶴崎を潰したいというのは道理に適ってはいる。しかし、問題なのはその手段だろう。

今回はクーデターそのものだった。

これが何度も続けば運び屋達も迷惑を被るだろう。


「今回は申し訳ない事をした。全斎の処遇についてはこちらで対応させてもらう」


「鶴崎少将、どうか厳しい対応をするのはやめてください。この問題は根深い物です。全斎は自分の出生を理不尽に感じています。軍の中にも同じ考えを持つ物も多いでしょう。更に首を絞めるような事をすれば貴方の恐怖政治になってしまいます」


「確かに、しかしどうすれば...」


その言葉に黄泉が口を開いた。


「どうだろう?ここはいっそのこと僕達と手を組んでみるというのは?勿論、貴方にもメリットがある事だよ」


そのあと黄泉は、とある資料を差し出す。

それは勿論、薬の調査結果だった。


「軍には僕以上に優秀な医者はいないようだ。この薬、青い血の成分が入ってるね」


「...そうだ。本来の人間に近づく為に一時的に青い血を取り込めば良いというのが軍医の見解だった。その為に比良坂町の近くに基地を作らねばならなかった」


その言葉に黄泉は首を縦に振った。


「実はね、真実は身近にあったんだ。望海君、手を貸してくれるかな?」


「えっ?は、はい」


「違う、違う。僕に手の平を向けて」


望海は首を傾げながら、指示に応じる。

彼は懐から何故か針をだし、彼女の指先に当てがう。

その様子を周囲は仰天していた。


「Dr.黄泉ってやっぱりマッドサイエンティストだったんだ!谷川さんも実験体にされちゃうよ。零央君、助けて!」


しかし、当の望海は自身の赤い血を眺め何かに気づいたようだ。


「まさか、三原色という事ですか?」


「そう、君の言う通り。青、赤、緑を合わせると白になる。全てをなかった事に出来るんだ。魔の11分もこれで無効化出来るかもしれない。僕達はこの血液から既に手を取り合う事を運命付けられていたんだよ」


次回、最終話、番外編前後編、後書きの4話分をまとめて投稿し完結とさせて頂きます。

長い間お付き合い頂きありがとうございました。

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