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鉄壁の運び屋 壱ノ式 ー三原色と施錠の町ー【完全版】  作者: きつねうどん
第十八章 隠し事
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第漆拾漆話 ホトトギス ◎

「うぅ...パパ!!」


「零央!ぶはっ!?」


「大丈夫、玉ちゃん!?」


城内で児玉の姿を発見した零央は安心したのか彼の元へ急降下してくる。児玉は受け止める前に勢いに押され、地べたに付す。

児玉は彼に何か言おうとしたが、大粒の涙を流し震える零央を見て頭をゆっくり撫でた。


「零央、良く頑張ったな。流石は俺の自慢の息子だ」


「うん!れお、がんばったよね?」


「当たり前でしょ?零央君、凄い!偉いよ!」


同じく、近くで親子の様子を見ていた光莉も零央の頭を撫で回す。

零央という心強い存在が戻ってきた事に近くで護衛していた白鷹と剣城は安堵と同じく、彼が怖い思いをした事を鑑みるに外の状態も良くないのだろうと危機感を覚えていた。

そんな時だった、白鷹の元へ無線の連絡が入る。


「...うん、わかった。皆に伝えておく。...あの、希輝が浅間先輩を連れて来たって。出来るなら、徹底抗戦を仕掛けたいから上に登って合流して欲しいって」


「わかった、直ぐに行こう」


その道中、零央は水行川での出来事や鶴崎にあった時の事を話した。

軍人たちの弱点は勿論、赤い鳥居を破壊した事についてもだ。

しかし、幸か不幸か比良坂町にはまだ鳥居が残されている状態でもある。

まだ、他のメンバーと合流出来ていない阿闍梨がどう対処するのかが疑問点となりつつある。


「おじいちゃん、とりさんがこわいんだって言ってたよ。あとね、れおパンチであかいのこわしたんだ」


「...鳥。玉ちゃん、望海と合流したら直ぐ”あれ“を起動させよう!3人揃わないと出来ないから」


「もう、念力もカツカツだ。これが最後になると思う。そうなったら、2人共後は頼んだぞ!」


「勿論、ベテラン勢の良い何処取りにはさせないからな。浅間先輩にもここまで来てもらったんだ。必ず百地を捉える」


そのあと、望海、希輝、浅間と合流。

光莉は望海と零央に対し、指示を出した。


「零央君はナビゲートで百地の居場所を探して!望海は私達3人で攻撃の準備!」


「はい!希輝さん、私達3人で百地の動きを出来るだけ止めます。後は、皆さんに指示をお願いします。これは貴女にしか出来ない事です」


その言葉に彼女は、指示を出す光莉の姿を見ながら覚悟を決めたのか真剣な眼差しで深く頷いた。

希輝の中で自分が組織の中心としてしなければいけない事に迷いながらもようやくたどり着いたのだろう。

他3人をかき集め、指示を出した。


「私達がしなければいけない事はまず、百地をここに誘導しなければならないって事。圭太は1人でいる所を百地に狙われた。浅間先輩、囮になってもらえますか?絶対に助け出しますから」


「了解、私は皆んなの事を信じてる。だって、私の最高の頼もしい後輩たちだから。私は【牛蒡種】と【六文銭】で兵を攻撃するフリをしておくわ」


「百地が中に入り込んできた所でベテラン勢に動きを止めてもらう。問題はそのあと、どうやって百地を拘束するか?」


しかし、そのあと3人の意見は割れてしまう事になる。


「やっぱり、1番強いのは五右衛門達のような古の怪物に決まってる」


「...何言ってるの?水の怖さを知らない?ここを水で満たして水攻めにすれば逃げられないよ」


「いいや!こう言うのは王道の武器の力で屈服させるべきなんだってば!」


3人を見守る浅間に、児玉は心配そうに話しかけた。


「おい、ここで揉めてもらったら困るぞ。こっちはもう準備出来てるし」


「お願いします。もうちょっとだけ待ってあげて下さい。こう言う時こそ、3人の良さが発揮されるんです」


しかし、揉めている場面を浅間はどちらかというと嬉しそうに眺めているようだった。

普段、理知的な3人がこうして感情的になっているのが珍しいのだろう。

そのあと、希輝は彼女の好物であるアイスもケーキもフルーツも取り入れたまるでパフェのような提案をした。


「わかった。2人の意見もそうだし、アタシの意見も取り入れたい。全部入れよう。折衷案なんてアタシ達には必要ないよね?浅間先輩、私達に協力してもらえますか?」


その投げやりとも言えるような発言に児玉は口をあんぐりさせた。

それとは対照的に浅間は嬉しそうに笑みを浮かべている。


「何か、いい案が思いついたのね。良かった」


「いいのか、それで!?」


零央のナビゲートを使い、百地の居場所を特定する。

そのあと、浅間はわざと単身で彼の近くへと向かった。


「よし、ここなら」


しかし、露骨に顔を出せば罠だと相手に察せられてしまう。

ソロッと顔を出し、周囲を警戒しているように見せかける。

予定通り【牛蒡種】と【六文銭】を起動。

雪で動けない軍人達を蹴散らす事に成功する。そんな時だった。


「...っ」


浅間目掛け手裏剣が飛んでくる。どうやら百地がこちらに気づいたようだ。


「不味い、相手に気づかれた。児玉さん、逃げて!」


浅間は城の主の名を大声で叫んだ。

何故なら百地が狙っているのは児玉だからだ。

彼が側にいる。そのように浅間は見せかける事に成功した。


「見た事のない運び屋だな。どうやってここに来た」


「白鷹、数秒でいい。相手の攻撃に耐えて、そしたらあの子が来てくれるから」


白鷹は直ぐ様、浅間の元へ向かい【クロヨン】を起動させる。

反射的に百地は防御が先だったにも関わらず、苦無と手裏剣を投げ続ける。


「れおパンチ!!」


その隙をついた零央が外から百地を城の中へと押し込めるように殴りかかった。

その間も百地は零央の動きを読み取り素早く回避しようと試みたが光莉達がそれを許す筈がなかった。

城内に百地の身体が入ってきた瞬間、行動を開始した。


「来た!玉ちゃん、望海行くよ!」


「おう!」 「はい!」


「コード:700 承認完了 時鳥を起動します」

「コード:700 承認完了 杜鵑を起動します」

「コード:700 承認完了 不如帰を起動します」


「がはっ!?」


突然、百地が腹部を抑え吐血する。

これもまた、ホトトギスの効果である。

もがき苦しむ百地に対し、希輝達は更に追い討ちをかける。


「皆んな、行くよ!これがアタシ達の全部だ!!」


『コード:007 承認完了 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を起動します】


8つの顔に16の瞳を持つ大蛇が百地を拘束する。

彼は必死に抵抗し、もがく様に希輝へと苦無を投げつける。


「(不味い!起動してる間、動けないのに!)」


目を閉じ万事休すかと思われた時、目に突如人影が現れた。


【コード:087 承認完了 小桜韋威大鎧(こざくらがわおどしおおよろい)を起動します】


「貴様!」


「残念だったね、百地。さぁ、お縄につきたまえ」


突如現れた瑞稀の鎧の力により、希輝は守られた。

勾玉の力を使い、気配を遮断。皆の側まで近寄ったのを見計らい瑞稀は手助けに入る。


「瑞稀さん、ありがとうございます。また、助けていただいて」


「当然の事だよ。まだ、終わっていない最後まで気を抜かないで」


希輝達4人は更に念力を込め、八岐大蛇の石化にかかる。

これでもう、百地が動く事はないだろう。

彼は大蛇の中で動かなくなった。


「や...やった!」


しかし安心したのも束の間、望海達3人も限界を迎え倒れ伏す。

希輝達もまた全力を出し切り、動けなくなってしまった。


残された零央と瑞稀は黄泉を呼び寄せる。

圭太の治療も終わったのか、彼の肩を支えながらこちらへと向かって来た。


「中々手強い敵だったね。患者が一気に7人も増えてしまった。皆、完全に念力切れだ。しばらく動けそうにないね」


「出会った時はこんなに恐ろしい存在だとは思わなかったよ。姉貴達をこんなにボロボロにするなんて」


「とりあえず、皆が目を覚ますまで私達は待機しよう。百地も完全に息絶えた訳ではないみたいだ。何かあっても良い様にね」


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