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異世界創っちゃいました  作者: e-log
第一部 原典(ユキ編)
15/50

4-2【創造】

ーーーサンハリー領、ユキの元拠点


「ユーキ、頑張れー」

「ユキ、負けても私は変わらない。ユキが女の子になるだけ」

「ユキ様、女の子になってくださいまし」


 ユキを男だと知った聖女は、それでも聖女を変わってくれと、よくわからないことを言い出したため、それなら決闘で決めようと話が転びに転んで現状にいたる。


「ユキ。よくもこの私を騙してくれたわね」

「えぇ、そんなこと言われましても」

「そのキャラクリでよくそんなこと言えたわね」

(これは神様の趣味なんですよ)


 ユキと聖女は対面して睨み合い、それをユウカとルナ、アンジェが観戦していた。


「そんなことよりも、そろそろ自己紹介くらいしてくれてもいいとは思うんだけど」

「えぇ、いいわ。私はカノン、これでいい」

「それじゃあ、決闘の取り決めだけど、、、」


 ユキは、決闘の結果、カノンが勝った場合はユキがカノンの代わりに聖女になること。ユキが勝った場合はカノンは一つユキの頼みを聞くこと。その確認を行い、彼女の了承を得る。


「それじゃ、決闘始めるよー。ほらほら、お互いに離れて、離れて」


 ユウカが決闘開始の合図をするため、二人の間に入る。ユキとカノンがある程度離れたのを確認した後に、彼女は手持ちのコインを上空に放る。


「アースランページ」


 コインが地面に落ちた瞬間に、ユキは周囲に無数の突起を無作為に想像した。


「遅いっ」


 カノンはユウカとそう変わらない速度でユキとの距離を詰め、ユキの顔面に拳を繰り出す。


「アースウォール」


 ユキはカノンの拳の直撃を防ぐべく、土の壁を目の前に創造する。しかし、その壁はカノンの拳に砕かれ、ユキは紙一重の所で拳の回避に成功する。


(ユウカねぇと同じくらい早いのに、足だけでなく拳にも十分な魔力が注がれている。流石に何か裏技がないと実現できない身体強化だな)

「私の一撃は高いんだから」


 カノンは拳を放った勢いのまま、回し蹴りをユキに叩き込む。


「アースウォール」


 再度、ユキは土の壁を創造するが、先程と同様にその壁はカノンの蹴りに耐えられず砕け、、、


(土煙が固まっているような)


 先に拳で砕かれた土の壁を解除した時に風化した土煙が、カノンの身体に触れた瞬間に固まっていくのをユキは見落とさなかった。


「サンドストーム」

「くっ、目眩し」

(先の現象から見るにカノンさんの内属性もユウカねぇと同じ土属性。サンドストームでの妨害が有効だけど、彼女に対抗手段はあるのだろうか)


 ユキは不可視の矢に風糸を結って撃ち出し、アースランページに風糸を引っ掛けつつ軌道を変え、周囲にワイヤートラップを幾重に仕掛ける。


「なんなのよ、この砂嵐。身体に張り付いてきて」


 砂塵に対抗する手段がないのか、カノンはその場で動き辛そうにしている。これは勝機と、ユキは風糸を彼女の身体に巻き付け拘束する。


「今度は何、身体が動かないんだけど」

「魔法の糸だよ。腕力では簡単には切れないよ」

「そう、それはいい事を聞いたわ」


 カノンはなんらかの力で風糸を引きちぎり、ユキに対して不意打ちを行う。しかし、彼女が拘束を抜けた時のことを考えて、ユキはカノンの足元を土魔法で固めていた。


(風糸が切られた。砂塵が酷くてしっかりと観察出来なかったが、風糸に対する干渉は明らかにカノンさん内部からの力だったよな)

「本当に、高くつくわね」


 風糸を切る方法の中で一番汎用的な方法は、火の魔法を使って風糸自体の魔素構成を分解する事である。カノンは先のやりとりの間に、体内の火魔素で身体強化を行い容易く風糸を引きちぎった。これはユキの内属性75%の風糸に対して、カノンの内属性75%の火魔素を充てることで初めてできる芸当であり、先の彼の推測とは矛盾する。


(これはEXスキルが関係していそうだな)


 現状のカノンの攻撃は砂塵の障壁で完封できてはいるが、逆転の手があるかも知れないと、ユキは思考を巡らせる。


(自身の内属性として火属性と土属性を両立させるスキル。火属性は分解の特性を持つため、周囲の土魔素を含む物質を分解して、自身の魔素に変えられるスキルといった感じか。それにしては、アースランページは発動時から大きな干渉を受けていない)


 ユキの仮説で考えるとその能力はルナの地場操作と同等の能力だ。ただでさえルナの能力は誓約が多い、カノンの能力にも誓約があるのだろうか。


「、、、高くつくわね」

「何言ってんの、それは私のセリフよ」


 ユキはあることが気になってカノンを観察する。砂塵の中では注視しないと気づけないような変化だが、彼女が戦闘前に確かにつけていた鉄のアンクレットが知らないうちに無くなっていた。


「自身の身につけている装飾品を分解することで発生する魔素を利用し、身体強化を行うスキルかな」

(それなら、ユウカねぇと同等の身体強化を全身に施しながら、火魔素の扱いにも長けているわけだ)

「流石はサンハリーの賢者、バカ強いわね」

(僕って、王都ではそんな風に呼ばれてるの)

「それで、まだやる。鉄や銅等の防具、装飾品に使われやすい金属って、その組成の多くが土魔素だから必然と僕に攻撃が届かないんだ」

「まだ、切り札があるかもよ」

「でも、その切り札も高くつくんじゃないの。その桜のペンダントに使ってる桃色の石、虹鉱石じゃないかな。虹鉱石は鉱石にしては珍しく、土魔素以外の三魔素を多く含んでるって聞いたんだけど、流石にそう容易く使える物じゃないでしょ、値段的に」


 ユキは暇な時間があれば、脳内の教典を流し見しているため、当人が思っている以上に広い範囲の知識を蓄えている。今回はホムンクルス等の錬金術に関わる文献から、宝石魔法についてを一通り読破していたが故の実戦での応用となった。


「参りました、参りましたよ」


ーーーサンハリー領、サンハリー邸


「鉄製の武器に防具、いっぱいもらっていいの」

「しっかり働いてくれるならね」


 決闘が終わった後に、ユキ達はカノン、アンジェと一緒にもありサンハリー邸に戻ってきていた。


「この鎧からは、ブレスレットとアンクレット。この鎧から、は鎖帷子。さあ作っていこう」

「鎖帷子ならこっちに既製品があるんだけど」

「セクハラ。男用の鎖帷子なんて着たら、色々と大変なのは普通にわかると思うんだけど」


 カノンのEXスキル『創造』は対象物の材質をそのままとして違う形に創り替える能力らしい。そして、自分で創造した物質を代償に戦闘時に能力を底上げを行えるらしい。彼女は鉄製の鎧を材料に、鉄製のブレスレットとアンクレットの創造をユキ達の前でやって見せる。


「こんな細かい所まで作れるのか」

「イメージさえしっかりしてたら余裕だよ」

「可愛い、私にも作って」

「材料はあるから別にいいけど、私が本気で戦ったらすぐに無くなっちゃうよ」


 カノンはユキとの戦闘で、両手両足のブレスレットとアンクレットに修道服の下に着込んでいた鎖帷子を分解してしまったようで、身体強化自体は恐ろしく強力だが燃費がとにかく悪いらしい。


「っと、鎖帷子はこんな感じで」

「身体の線形にフィットしてますな」

(乳袋付きの鎖帷子とはこれまた驚いた)

「バカ、じろじろ見るな、変態」


 形が変わったところで装備としての質が大きく変化することはなく、さながらオンラインゲーム等で用いられる防具スキンと言った感じだ。


(それにしても、これだけの鉄製の防具を身につけて、日頃から過ごしているのか。流石に重いだろ)

「あっ、今、絶対変なこと考えてた」

「考えてないからね」


 ユキは決闘勝者の特典として、カノンのサンハリー滞在時に限るユキ達との協力関係を築いた。それから分解した防具の補充を餌にして、今回の視察任務への協力を確約させた。


(今日は一回戦えたし、視察任務はユウカねぇとカノンさんに任せて、僕は外でゆっくり待ってるか)


 作戦の実行は昼食後。昨夜のこともあり、どことなく湧いてくる眠気を抑えるために、ユキは昼までの時間に仮眠をとることとした。


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