3-1【神の寵愛】
ーーー夢の中
「ユキ様、久方ぶりでございます」
「神様、おはようございます」
ユキ様は大仕事を終えた後のように、充実感に満ち満ちした表情をしております。異世界生活を楽しんでいるようで彼の担当としても微笑ましい限りです。
「何か良きことでもありましたか?」
「神様こそ、今日はなんか嬉しそうですね」
「えぇ、なんせ今日はいつもより長く30分もユキ様とお話しできますから。それに3日ぶりの会話ですしね」
ユキはここ2日間、この場所に姿を現すことはなかった。この場所は彼が目覚める10分前に訪れる部屋であり、そこに2日間現れないと言うことは。
「自覚がないようですけど、ユキ様はきっと2日間丸々と眠り続けていたみたいですよ」
「2日間もか、魔法の使いすぎは良くないな」
「えぇ、心配しましたよ。死んだんじゃないかとユウカ様の神様にお願いしてことの詳細を教えて貰いました。本当にそんな可愛いお顔で無茶ばっかりするんですから」
「すみません、以後気をつけます」
ユキ様も反省しているようですので、私は彼も待ってるであろう最新のスキルシートを書き現します。
「ユキ様おまちかねのスキルシートです」
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前回確認時
・教導ex
・神の寵愛
(魔力の素養e、武芸の心得g)
・調薬g
・魔法道具作成g
・交渉術f
・(隠蔽g)
↓
現在
・教導ex
・神の寵愛
(魔力の素養e、武芸の心得f)
・弓術g
・調薬f
・魔道具作成f
・交渉術f
・看破g
・(隠蔽g)
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「ユキ様、やりましたね弓術スキルと看破スキルを新たに習得したようです。特に看破スキルは派生に強力なスキルが多いですよ」
「スキルって熟練度上げたら派生するんですか」
「はい。看破は入手難度は低いのですが視覚系スキルになりますので、派生すると魔眼系スキルになるんですよ。魔眼ですよ、魔眼、憧れますねー」
「他のスキルで派生するスキルはありますか」
「あら、ツキ様、あんまり過度なネタバレは自由な旅の妨げになりますよ。私自身の方針として、看破スキルの熟練度を上げてくださいということです。神の啓示、託宣、神託のようなものです」
(看破スキルの熟練度と言われてもな)
「簡単ですよ、色んなものを見て考える、それだけで少しずつ成長していきます。スキルを持っているということは、ユキ様もあれ?これって見えてたっけって経験があったはずです」
(もしかしてお嬢様を治療した時に見た土魔素のモヤモヤかな。そういえば、大気と同化した風魔法も徐々になんとなく見えるようになってきた気もするな)
思い当たる節もあるよですので、この話はこれくらいで大丈夫ですかね。
「それにしても、武芸に関しては何を習得するものかと思っていましたが、まさかの弓ですか」
「手に入れやすさもあるし。少し面白いことを思いついてね」
「珍しく悪い顔してますね、まあ私にはユキ様の本質がある程度見えてますので気にしませんが。それで、面白い事とはなんですか」
「まあ、まずはこれをみてください」
そう言ったユキは風魔法で矢を作り出し、その矢は次第に大気と同化して消えていった。
「なるほど、風魔法で矢を作れば攻撃回数が限られている弓の弱点を克服できますね、考えますね」
「それだけじゃないですよ、ツンツン」
「神様の身体をツンツンする使徒がありますか」
確かな感触はありますが、ユキ様に何で突かれているのか私は認識することが、、、あら、これは先程の矢ではありませんか。
「風魔法で作った矢は色彩感を大気と同化することで他者に見えなくさせる事もできるんですね」
「ついでに隠蔽スキルも少し使ってみました。相変わらず神様には効果覿面みたいですね」
「注意深く見ればわかるんですけどね」
私はツンツンされた時に少々乱れた服装を正し、息をゆっくりと整えてユキ様に向き直る。
「不可視の矢、しっかりとした強みですね」
「ユウカねぇと決闘した時、序盤に大気と同化前のエアソードをブラフに使って、その後に大気と同化した盾で試合を決めたんだ」
「それは、それは。転移して2日目の方の戦闘ではありませんね。ユウカ様も可哀想なことです」
「ユウカねぇもユウカねぇで、なかなか壊れた育ち方してたから、これでも互角だったけど」
「まあ、恐ろしい姉弟ですこと。他の転移者はここまで上手くいってる話はそう聞きませんよ」
「まあ、ユウカねぇとの決闘で魔力を使いすぎて倒れて。その日のうちに領主のお嬢様を魔法で治療して魔力を使いすぎて倒れて2日寝てたし。2日分の経験を前借りしたみたいなものだけど」
「あまり無理はなさらないでくださいね」
「そのつもりなんだけど、色々とタイミングが悪くてね。とりあえず、戦闘に関しては不可視の矢があれば幾分か回避できるようになるとは思うから」
「不意打ちですか? 変なスキルがついても知りませんよ」
「違うよ、言葉のとおり戦いを回避するんだよ」
「と、言いますと」
「まず相手の近くの当てやすい岩とかに不可視の矢を打って、相手に不可視の矢があることを教えてあげれば、後は矢無しで弓を引いているだけで、相手は混乱してまともに戦えないと思うけど」
「相手が接近してきたらどうするんですか?」
「うーん、死なない程度に倒すかな」
「好戦的なのか非好戦的なのか、、、まあ、威嚇して相手が逃げてくれる分はプラスではあります」
「この世界の魔法は自由度が高すぎるから、状況にあわせてどんどん性能は高めていくよ」
っと、話は一区切りつきましたが、流石に30分となるとまだまだ時間はありますね。
「ユキ様、本日はまだ時間もありますので、スキルに関して基本的な部分をお教え致しましょうか?」
「ネタバレ気にしたり、話したがったり、本当に忙しいね」
「聞きますか?」
「お願いいたします」
「わかりましたお教えしましょう」
私はスキルシートに文字を加える。
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・教導ex
・神の寵愛
(魔力の素養e、武芸の心得f)
・弓術g ← 武芸スキル
・調薬f ← 魔法スキル
・魔道具作成f ← 魔法スキル
・交渉術f ← フリースキル
・看破g ← フリースキル
・(隠蔽g) ← フリースキル
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「ユキ様の現在のスキルは上記のように分類されておりまして、神の寵愛の中の魔力の素養がgランクからeランクの2段階上昇、武芸の心得がfランクの1段階上昇でありますから、ランクアップのボーナスで武芸スキルを1スキル、魔法スキルを2スキル獲得することができ今のスキル構成となってます」
「フリースキルはどういう扱いなんですか」
「フリースキルは合計ランクアップ数だけスキルを入手できるようになります。ユキ様の場合ですと、武芸で1段階、魔法で2段階でありますから、合計で3スキルとなっております」
「こう見ると、本当にゲームみたいだ」
「逆に、こうでもないと重い腰が上がらない方々もいますので、そういう意味での神の寵愛です」
「この世界の神様としてそれで大丈夫なの」
「転移者の性格次第なところはありますが、異世界怖い、何もできない、死のう、という人が出るよりは。ゲームの世界だ、剣と魔法だ、頑張ろう、という人が少しでも多い方が良いじゃないですか」
(神様側の主張はわかるけど、この世界で暮らす人達から見てそれでいいのだろうか)
「この解説に関しては担当の権限でお教えできる事柄です。ユキ様のようにこの世界を真に受け入れてくださっている方には、神様としても効率よく強くなっていただきたいのでお話ししたまでです」
私がスキルの説明を終えると、ちょうどいい時間になっていた。辺りの空間が歪みにユキ様も目覚めが近いと勘づいた所でしょう。
「ユキ様、それでは、また明日ですよー」
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