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「カイトスはあのとおり王家の色を継いでいる。場合によっては騒動になりかねない。」

静かな声が室内に響く。

王家の色は夜空の色である紺色で、髪か瞳にその色が入っているという事は王位継承権を持つことと同義なのだ。つまり、カイトスは第二王位継承者。私は女であるため第三王位継承者となる。お父様はお兄様を王太子と指定しているが、お兄様にもしものことがあった場合の“ スペア”となる継承者は多い方が良いだろう。

そんな王位継承者を放り出すことはできない。だから王城で預かるのか。

ということは……

「彼は私の“ 義弟”となるのですか?」

彼を王家の養子として迎えれば地位が保証される。逆に安易に別の貴族の養子とすることは彼と王家の危険に繋がりかねない。王家の養子となれば私の義弟となるだろう、と思ったのだが

「いや、まだ決めかねているんだ。」

お父様が思い詰めたような表情になる。

「カイトスには彼の思うように生きて欲しい。王家の養子となれば公爵家の嫡男だった時よりも遥かに自由を奪われる。なんにせよ彼の安全は保証するが、まだ小さいあの子が納得しないまま勝手に決めることはしたくない。」

お父様は優しい。決める時はたとえ残酷であろうと決断するが、なるべく平和に進もうとする。選べるならば相手に選ばせようとする。それがお父様だ。

しかし、私は 甘い と思ってしまう。その一つの決断を相手に担うことで、平和が崩れるかもしれない。彼には然るべき地位を与えなければ野心家の貴族に利用されてしまう。

「しかし……」

「そこでだ。」

忠告をしようとしたら話を遮られた。なんだろう、嫌な予感がする。

「カイトスが納得するように説得して欲しい。」

あぁ。嫌な予感が当たってしまった。

「説得……ですか?」

「そうだ。良い姉がいると知れば決心が着くかもしれない。」

良い姉……私には絶対向かない。しかも、私が説得とか無理……

「任せたぞ。私はこれから視察に行ってくる。辺境まで行くから一週間は帰ってこないだろう。」

「えっ、一週間も?」

「アルビレオはしっかり者だからな。頑張ってくれ。」

「ちょっと待ってください!」

なんだろう、あの国王。逃げ足だけは早い。

あっという間に部屋から出ていくお父様を護衛が必死に追いかけて行った。

……お父様……っ!

その後、抗議しようとしたお腹を押さえつけるのに必死だった。


◆◇◆◇◆


「失礼するわ。」

ガチャりとドアを開け勝手に部屋に入る。ベットの上にいた銀髪の少年が驚いたようにこっちを向いた。


お父様と話した後、朝食……ほとんど昼食だったが を食べてからカイトスの部屋へ向かった。

護衛には「誰にも会いたくないそうです。」と止められたが問答無用で入っていく。

「初めまして。アルビレオ アルフェラッツよ。よろしくね。」

勝手に部屋に入ってきた奴に宜しくも何もないだろうが気にしない。あくまでも挨拶が目的だから。

「第一王女……」

私の事は朝のことと髪の色からわかるだろう。唖然とした顔がだんだん睨むようになっていく。

「何か御用でしょうか。」

部屋のカーテンは全て閉められていて明かりも着いていない。薄暗い部屋の中で彼の銀髪は浮き出るように光っていて亡霊のようだ。どれだけ思い詰めていたのだろう。顔までもやつれていて少し怖かった。

「さっきは挨拶できなかったから。改めてよろしくね。」

なるべく笑顔で、怖がらせないように、と思ったのだが更に睨まれた。

一応私は無邪気な普通の王女として通っている。さっきはお父様の話に驚きすぎただけで普段は年相応の女の子だ。

それなのに睨まれるとは心外である。

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