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「事情は分かりました。魔術師団長と騎士団長は反省なさってくださいね。副団長に伝えておきます。団長とあろうお方が王族を振り回すなど、あってはなりませんから。」
「はい……」
「うっす……」
エルライ夫人の厳しいお言葉に団長二人がしゅんとなる。
「アクア様、アルビレオ様は授業時間を増やすよう、陛下と侍女頭に伝えておきますね。」
「分かりました。」
「侍女頭……はぁ……」
「淑女としての在り方を今一度、見直してくださいね。」
私とアクアもお説教、カイトスだけお咎め無しだ。
「この私が……」「アスケラのお説教……」「侍女頭〜
っ!」とそれぞれ嘆いている。
エルライ夫人はピーコック侯爵家の奥方だ。王族の礼儀作法の教師になるくらいだから非常に優秀であり、侍女頭とは親戚らしい。道理で強い訳だ。
その後、それぞれの副団長がやってきて団長を回収して行った。カイトスも次の授業へ向かう。
「全く、淑女でありながら剣を振り回すなどはしたない……スクルプトリース侯爵令嬢の淑やかさの一片でも真似して欲しいですね。」
どうやら、まだ説教は終わらないらしい。私達しかいなくなっても話しを続けている。
………て、スクルプトリース侯爵令嬢?
「すくぷと?」
「スクルプトリース侯爵令嬢よ。確かシェアト様ではなかったかしら?」
「よくご存知ですね。シェアト様はアルビレオ様と同い歳のご令嬢ですよ。礼儀作法は私から見ても完璧で、まさに“ 淑女の鏡”とですね。」
スクルプトリース侯爵家とは、アルフェラッツ王国では珍しい女侯爵の領地である。侯爵の一人娘 シェアト嬢はその完璧な礼儀作法と分け隔てない優しさから“ 淑女の鏡”
“ 心優しき令嬢”と呼ばれていたはずだ。
「そうですね。今度、シェアト様を茶会に招待してみてはいかがでしょう。領地も近いですし、友達候補として名が上がっていたはずです。」
「王城に呼ぶのですか?」
「ええ、授業としても良いでしょうし。」
茶会かぁ。苦手何だよな。腹の探り合いとか精神に負担がかかる。
「どうぞ、お考えくださいね。それでは授業を始めましょう。」
うーん。出来れば嫌だけど、“ 友達”を作らないといけないのもそうだし。まぁ、ここでいう“ 友達”はいわゆる“ 取り巻き”と呼ばれる者のことだけど。
「アルビー様」
小声でアクアに呼ばれる。どうしたの?
「確か、スクルプトリース侯爵家はキュグニー伯爵家と仲良くなかったでしたっけ?」
アクアに言われてハッとする。そうだ。スクルプトリース侯爵は外交を行っているため、辺境のキュグニー伯と関わりが深い。もしかしたら何らかの情報があるかも。
「エルライ夫人、ありがたい助言、参考になりましたわ。今度、シェアト様と茶会をしようと思いますの。」
早速エルライ夫人に伝える。夫人は目を細めると
「そうですか、分かりました。それでは今日は、茶会のマナーについて講義をしましょう。アクア様、茶の用意を」
「今からですか!?」
アクアが半泣きで調理場へ向かっていく。
――なんかごめん。




