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オレの甥は変わっている

キラキラおじさんこと主人公の叔父、ビッシュおじさん目線です。

「兄上、お話というのは?」

「良く分かったな」


 アーカムの屋敷についた夜、談話室でワインを片手に二人で飲もうと誘っただけなのだが、どうやらこいつは話があることに気付いたらしい。


「兄上がただ酒を飲もうだなんて誘ってこないでしょう? 何年兄弟してると思っているんですか」

「はは、お見通しだな。その通りだ」


 そういえばこいつが大人になってから、酒でも飲もうとかそういった誘いをオレからしたことがなかった気がする。

 まあこいつが酒を飲めるようになるころには、オレが屋敷を出て独り立ちしていたのもあるが。


「ジルベールのことだ」

「ジルの話、ですか」

「ああ」


 あの可愛らしい甥の話だ。


「陛下と閣下がカードに関する法案を新たに発布する。その関係でオルト家やジルベールに興味を示している貴族がいる」

「具体的な相手は分かりますか?」

「コラルド侯爵家の系譜のところだな。詳しくはまだ分かっていないが、陛下の下にはそちらの家の人間もいる。恐らくそこから話が漏れているのだろう」

「左様でしたか」


 コラルド侯爵家、簡単に言うと大貴族だ。うちなんかと比べようにないほど、大きな家。


「魔法師団の同僚にもそこの家と繋がりのある人間がいる。そいつがオレに探りを入れてきた。魔法以外興味がないとバッサリ切っておいたがな」

「それはそれは……まあ実際興味はなさそうですけど」

「興味はないな。だが家族のことは興味とかそういうレベルの話ではないだろう?」

「兄上……」


 意外そうな顔をされるのは心外だ。これでもオレはお前の兄だぞ?


「どこまで話が広がっているか分からん。だがジルベールは他の家から見たら『金の生る木』だ。だから陛下は千早と千草をつけた」

「……二人だけで大丈夫だろうか」

「あまり大人数をつけるとより目立つからな。今のところジルベール自身の名前は知られていないから差し迫った危険はないだろうが。お前に対する人質にする可能性は十分考えられる」

「それは、そうかもしれません」

「ミドラは殿下についているから他の貴族も簡単に手出しはできまい。私がお前に手をだすなら、ジルベールをどうにかする手を打つ」

「……………」

「ジルベールカードが世に広まり、それの作成をしているのがジルベールだと世間に広まったら……貴族的な手だと、婚約者をあてがわれる可能性が高いな」

「ですね」

「それか強硬手段にでてくる。言わずともわかるな?」

「……ええ」


 ジルベールはまだ子供。それも可愛らしさと美しさの調和のとれた子供だ。貴族院ではさぞ目立つであろう。オレも大変だった。


「今のうちに味方派閥の家と婚約を済ませた方がいいかもしれん」

「ミレニアと相談しないといけないな」

「夫婦でしっかり話し合うといい」


 オレにはもうできない、大切なことだ。


「それと、ジルベールにはもっと実力を付けさせた方がよい。自分の身を守れる力を与えるべきだ」

「まだ早いと思われますが」

「素質は十分だ。オレを凌ぐ可能性すらある」

「そこまで、ですか」

「水を自在に踊らせ、炎の札で大地を焼き尽くし、地の素養まである。しかもその危険性を理解しているときた。だからこそ、早めに使い方を覚えさせた方がいい。婚約という手を使ってくるだけならば問題ないが、もっと強引な手を取ってくる者だっている」

「ジルは私が守ります」

「無論オレも守る。だが我々とて常にジルベールと共にいられる訳ではあるまい」

「それは、そうですが。それならば護衛を増やせば」

「護衛に常にくっつかれる生活を、子供が耐えられるか? そう育てたか?」

「……」


 ジルベールは千早と千草の存在にも困惑していた。

 使用人が増えた程度に考えてくれればいいが。


「なるべく戦いの、できれば人型の魔物との戦闘を早めに経験させるべきだ。即座に戦場に立てるように」

「……早すぎる。まだ5歳なんですよ」

「そうだな、オレもできれば普通の子供として育てるべきだと思ってはいる」

「ジルベールカードを、世に出すべきではなかったか」

「どうかな。あいつは放置しておいてもいずれ注目を受けたであろう。そういう容姿をしている」

「そこは、まあそうですが」


 親バカめ。


「スポア討伐をさせた時、魔物に対しては恐怖を覚えていなかった。どちらかといえば自分の魔法に恐怖を覚えていたようだった……体も震えていたな」

「聞いております」


 オレが魔法を自在に使えるようになったのは、9歳でJOBを手に入れてからの時だった。ただ舞い上がった記憶しかなかったが。


「せっかくJOBも持ったのだ。なんにしても早いほうがよかろうて。オレがダンジョンに連れていって指導をする」

「分かりました、お願いします」


 今ならオレだけでなく、殿下の近衛もいる。

 ダンジョンもあるし戦いを経験させるにはもってこいの環境は整っている。利用しない手はないだろう。

内容うすぅ……

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こんな作品を書いてます。買ってね~
おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
― 新着の感想 ―
[一言] クソみたいな親族や毒親の作品を読んでからこの作品を読むと善人しかいないように思える
[一言] さすが叔父さん。 しかしあの2人の奴隷はどうにかならないものか。 あさらさまなスパイだけどジルベールはどうすんだろ。 普通に心開いてペラペラ話しそうだけど。 それにしても貴族はクソばっかだな…
[一言] 俺の髪ほど薄くはないから大丈夫!
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