表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/163

脅迫には屈するしかない

「むむむむむ」

「ふっふっふっ」

「ジルベール様、はぁ」


 唸るクレンディル先生、不敵に笑う僕、そして呆れるシンシアの図ができあがった。


「さあ先生、早く次のカードを出すがいい」

「むう、ジルベール坊ちゃま、さては火の4を止めているのは坊ちゃまですかな?」

「さあ、なんの事でしょうか?」


 初めて触った軍盤でボコボコのボコにされた僕だが、それならばとトランプもどきを準備して対抗である。

 我が家では4人でやると人気が出る7並べだ。

 僕は火の3以降の数字がないので、安心して火を止めておくことができるのである。


「この爺めを陥れるとは、やりますな」

「初めてやる遊技で負ける気持ちを味わうがいいっ」

「ほっほっほっ、これはしてやられましたな」


 どのゲームをやらせても妙に強いシンシアは順調にカードを減らしていった。

 僕は星のカードを使い、自分にとって不利なカードを片付けたのであとは人の妨害をしつつ手持ちのカードを減らせばいい。


「ジルベール様。水の4も止められておりますね?」

「ふふふ、まあクレンディル先生の苦戦ぶりから分かるよね」


 シンシアが目を怪しく光らせつつ、頭の上の耳をピクピクと動かした。


「本日のおやつはミルオックスの牛乳をふんだんに使ったプリンだそうです」

「へえ?」


 シンシアの言葉に僕の喉がゴクリとなった。ただ飲むだけであそこまで美味しいミルオックスの牛乳。そんな物がお菓子にでもなったら最強ではないだろうか?

 いや、最強だろう。


「シンシアは味見したのかい?」

「いえ。ただロドリゲスが久しぶりに満足な味がだせたと喜んでおりました」

「それは楽しみだ」

「ええ、私共使用人の分も含めて多めに作っておいでだそうです」


 そこでシンシアが指でトントンと水の4のある場所を叩いて、僕に交渉をもちかけた。


「二つ、そこまででしたら融通いたしましょう」

「!」

「あまり食べられますと夕飯に差し支えますから、二つです」

「それは、そこまでの価値があるとでも?」


 確かに美味しいお菓子は魅力的だ。ただ滅多に勝てないシンシアへの勝機を、ここで逃したらいつチャンスが来るか分からない。


「ちなみにですが」

「うん?」

「水の4、出していただけないのであれば、プリンのサイズが小さくなるかもしれませんね?」


 クスリ、とカードで口元を隠したシンシアから聞こえてくる。


「ひ、卑怯なっ! 交渉ではなく脅迫ではないかっ!」

「どう取っていただいても結構です。ですが厨房からプリンを運ぶのは私です。分かっていますね?」

「プリンを人質に取るとはっ」

「お主ら、いつもそんな感じで遊んでおるのかの?」


 呆れた顔をしたクレンディル先生がパスをした。


「先生、ロドリゲスのプリンは傑作なんですよ!?」

「ジルベール様、こっそりカードを袖に入れないように」

「目ざといっ」

「これはペナルティが必要になる案件ですかね」

「水の4出しまーすっ!」


 シンシア1抜け、僕2抜け、先生3抜けとなりました。

 プリンは大き目なのだけど、1つに。く、初めから交渉を成立させておけばよかったっ!

2022年4月28日に双葉社様Mノベルスより第2巻が発売っ!

挿絵(By みてみん)

イラストは布施龍太様

シーズン1後半部の話になっております~

是非購入検討をば!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんな作品を書いてます。買ってね~
おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ