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JOBの書、いらないの?

 今回の騒動で活躍を見せた人たちが、表彰と共に選択を迫られていた。

 JOBの書をもらうか、お金をもらうかだ。

 合計5名の兵士のうち、3人がお金を選んでいた。正直、みんなJOBの書を選ぶと思ってたのにお金の方が多いとは驚きだ。

 JOBの書を求めた人の一人は、元々戦士のJOB持ちで、剣士のJOBの書を求めていた。

 そしてもう一人、魔術師だった彼女は魔法使いの書を求めた。

 クリスタさんである。

 表彰が終わった後、お父さんに連れられて僕達も授職の間に行った。

 家族総出で二人のJOBチェンジを見守り、無事に授職の儀も終わった。


「全員JOBの書を貰いたがるのかと思った」

「実利を求める人も多いですよ。それにJOBの書を求めていても、JOBの書が使えない方も多くいます、素質なのか修練不足なのか分かりませんけれども」


 僕の呟きを千草が拾って説明してくれた。


「それって一次職の書でも?」

「いえ、上位職の書からですね」

「ふぅん」


 多分JOBレベルが足りてないんだろうな。最上位職は職によって条件があるけど、上位職はJOBレベルだけが条件だから。


「それだけではないぞ。戦いを怖がる者もいる」

「おじさん?」

「JOBを持つ者はJOBを持たぬ者よりも強くなれる。だが人よりも強いということは、それだけ危険な戦場を割り当てられるということだ。それを嫌いJOBの入手を拒否する者も一定数いる。年齢を重ねた者は特にな」


 なるほど、それはそうかもしれない。

 JOBがあるのは心強いことだ。魔物がはびこるこの世界では特に。

 でも人より強いってことは、人より強い相手と戦うことを要求されるということなのだろう。

 ロドリゲスや千早なんかはこの間の戦いの時に、自分が最前線で戦うのは当たり前だといった顔でボス狼のところに向かおうとしていたし。


「冒険者のような自己責任の世界に生きている者はJOBの書を求めるがな。ただ冒険者の場合はどれだけ活躍しようが、基本的に報酬は元々決まっている。このように表彰に呼ばれる機会はほとんどない」

「あ、そうなんだ? 魔物の討伐なんか、冒険者が活躍するものだと思った」

「活躍はもちろんする。今回の場合は青い鬣の面々がそうだな。だが連中にはすでに報酬の話はつけていて、その範囲内で彼らは活躍した。彼らの報酬はクラン内で決まっているか、話し合いが行われるだろう」

「そっかぁ」

「そもそもこの領には冒険者ギルドがないからな。青い鬣の連中以外に冒険者はいない……とまでは言わないが、あまり多くない。こう言ってはなんだが、この領にいるような冒険者はそもそも腕利きとは言えないしな」

「そういえば」


 冒険者って単語は何度か聞いた事あるけど、完全に冒険者を生業として生活している人を僕は知らないや。

 お父さんやお母さんも元冒険者だし、レドリックにロドリゲス、シンシアも現役冒険者ではあるけど、うちで働いている。

 もちろん他にもいるだろうけど、ここはゲームでいうところの初期MAPだ。生活が豊かになるほど稼げることはできないはずである。


「でも今後は違うがな。ダンジョンやダンジョン周りの整備が済めば冒険者を誘致できるようになる。そうなれば冒険者が増え、彼らを相手に商売をする人間も増える。その分揉め事も増えるだろうが、このオルト領は豊かになるぞ」

「兄上の言う通りダンジョンは魔物を生み出す装置だ。しっかりとルールを作って利益が出るようにし、かつ死人が極力出ない様に整備をしなければならない。それさえ成功すれば、無限の富を生み出すからな」

「あ、お父さん」


 僕と同じようにおめかししたお父さんの登場だ。


「そしてそれを為すのは領主たる私の仕事だ。ジル、お前も手伝ってくれるか?」

「え? うん!」

「いい返事だ」


 その後、今回授職をした二人を改めて紹介される。

 クリスタさんはいつも通りリラックスした雰囲気だけど、もう一人はガチガチだ。

 この人は平民なのかな? 貴族やその一族に囲まれると緊張するよね? どんまい!

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こんな作品を書いてます。買ってね~
おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
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