4章11話
「あんた一体全体何してくれちゃってるの!?」
「見てわかるだろうたわけ。ちょいと動力を動かしてやっただけだが・・・そうさな、試してやろう」
「なんでそういう事を・・・。いいやあなたに構ってる場合じゃ多分無いわ」
そう言って緊急停止する方法がどうにか無いかと色々装置を弄って見ているが中々止まってくれない。そして目の前の竜人が飛ばしてくる攻撃に対してなんとか魔力防御を展開しているが、これも使い過ぎれば間違いなくオーバーヒートが速くなってしまうだけだろう。
「ところで所長、これ何分大丈夫だと思う?」
焦りを可能な限り隠してリリスは所長に問う。動かさないようにしていた炉心はほぼフル稼働、問題なく稼働しているがそれと引き換えに徐々に機体全体が高熱化している。恐らくそう長くは持たないだろう。
『もって15分で大爆発と言ったところだな。そしてそれであれを倒せるかで言うと多分そうでもない。最悪脱出準備だけはしっかりとしておくことだな』
「転送魔術とかあるなら早めに言いなさいよ? これそういう機能取り付ける前に盗み出されてんだから。・・・でもそうね、私の運が良かったら一発逆転できるかもしれないわ」
『一応聞かせて貰おうじゃないか。流石に自爆って線はないんだろう?』
「ええ、この魔力を利用して助けを呼ぶのよ。届くかはもちろん賭けだけどね」
そう、実際来るかは分からないがこの状況を打破できる人物に心当たりがあった。通信に割く魔力をできるだけ多くできれば届くはずだと、通信チャンネルを開きつつ砲撃を開始する。流石に魔力が迸っているせいか
撃ち出される弾幕の数と威力は段違いだ。腕以外の砲門を全て解放してもほぼ消耗が無い、相手の攻撃に対してもダメージよりも自己修復機能の方が上回っているようだ。これなら時間内は問題なく耐えきれるだろう。
「何をするつもりかは知らんがこちらも黙って見ておくほど愚かではないぞ?」
「そう、こっちは黙ってて欲しいけどね!」
こちらを妨害すべくさらに攻勢を強めるが流石に解放状態と言ったところ。問題なく対応できている。そしてその間に通信機能に魔力を割き範囲をひたすらに拡張していく。彼女らがこの海中に対応しているかは不明な所ではあるがまあ何とかなるだけの力は持っている奴らだ。その間にも機体全体が高熱化していっているのがコックピットまで伝わり始めている。
『やりたい事があるならさっさとやった方が良いぞ先代魔王。こっちの計算はあくまで機体の限界、お前の限界は間違いなくそれより速いだろう』
「そうできればいいけど創造の五倍は敵が厄介で困ってるの。ああもう、速く受け取ってくれないと蒸し焼きになるわ」
砲撃を相殺、迎撃そして捜索と複数の行動を同時に行わざるを得ない。そしてその行為を行えば行うほど高熱化は加速して行っているようだ。
「これ実の所残り五分持てばいい方なんじゃないかしら」
「ああ、我が攻撃をかなり受けたのだ。それを防御したならそうもなろう」
と腕組みしながら語る海竜だったが、肝心のリリスにはその自覚は無いようだ。それも単純、彼の攻撃がどのようなものかを気にする余裕などなくなっていたからである。受ければ受けるほどヒートしていく機体についにコックピットにも鳴り響き始めた警告音。相手を近づけずには済んでいるが排熱が不可能と言う弱点がこれでもかと響いている。
『まだ生きてるなら聞け。動力炉の前面の装甲をパージすることはできるか?』
「やってみる!」
胸部の障壁を解除しそこにあえて攻撃を受ける。パージ機能なんてものは当然ついていないので炉心手前の装甲をあえて破壊し、炉心に攻撃が通る前に障壁を再展開することにした。




