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黎明開きしウィッチクラフト  作者: ラキューム
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3章11話

「で、それで一気に殲滅できたの? 私の方は一通り全部片づけ終わったんだけど」


「うむ。ちまちま刀で魂を貫いておったが今覚えば儂も大人しくお主みたいに矢を射ておった方が速かったかもしれんのう。というかお主儂の想定以上に強いのじゃな」

 結局刀を飛ばしながら倒していたが、実際のところは投げては切って投げては切って一部を操作しつつそのまま二刀流で刻んでと中々忙しくしていた。刃は血で駄目になるわ全部に魔力を回すのは中々キツイので途中からもう殴る蹴るで何とかするという本末転倒な事になっている。弓矢でスマートに仕留めていた。

「まあこれでもこの里で十本の指に入るくらいには弓矢の扱いは凄いのよ。まあやればできるエルフなのです!」


「うむ、正直魔力が無いからと舐めておったが想定以上じゃったわ。単純にお主ほどの技量の持ち主は神域でも中々見らんかったぞ」

 素直に感心したとばかりに賞賛の言葉を贈る。あたり一面に遺骸が転がっているがそれは一旦スルーすることにする。幸い毒を噴出する器官は避けて潰してあるためその点汚染はされないが、いかんせん数が多い。それを考えるだけで二人そろって気が沈みかねないかい。

「さて、一旦帰るか? 報告だけして儂ははようリリスの奴を探しに行ってやりたいのじゃが」


「私としては魔族なんてさっさと見捨てたって問題ないと思うんだけど・・・まっ、そこはあんたと私の考え方の違いだしそう目くじら立てても仕方ないのかしらね」


「うむ。まあひとまず族長の場所に帰るとするかのう」

 そのままトコトコと歩いて里まで帰った。途中撃ち漏らしが無いかを確認しながら移動していたが、完璧。見事なまでに全滅させ切っていた。実は大ボス個体がいるなんて事も無く、すっかり気を抜き切っていた。

「さて、これで依頼は完遂じゃな? 約束通り儂は森を出るぞ」


「いや、申し訳ないがあと一つやって欲しい事があってだな・・・。まあ準備に三日ほどかかるからもうしばらくだけ滞在しちゃくれないか? ヒドラの駆除は本当に恩に着るがお前さんはこちらからしたら降ってわいた最終兵器。・・・いや人を兵器扱いするのもあれか」


「私も大分消耗抑えれましたしアレに関しては我々が総力を尽くせば何とかなるでしょうし、彼女は森から出してもいいのでは? ほら、矢玉も全然減って無いですよ族長」

 矢筒を開いて族長に見せるフレイ。完全にルナに対する善意で動いてくれているのは見て取れるが族長はそれを全く意に介さない様子だ。残念ながら聞き入れてくれる様子ではないようだ。

「総力を尽くさないといけないって時点で半分負けみたいな物だ。頭を下げて何とかなるならそうするべきだろう」

 族長としての立場があるのにも関わらず頭を下げるかのような勢いで頼み込んでくるのでルナとしても中々にやりづらい。

「報酬ならお前が好きな物を出そう、何ならお前が言う魔族を助けに森を出る時にそこのフレイをつけても構わない。それにお前から抜き取った直近の記憶から攫った相手の特定も手伝う・・・と言ったらどうだ?」


「そういえばそんなのもあったのう。どれくらい読み取れたのかは気になるところではあるが・・・まあいいじゃろう。話だけは聞いてやるから概要くらいは話すがいい。三日待っても構わぬがお主等が訳知り顔で話しを進めておるの見ておるとどうも置いて行かれとる感じが凄いのでの」

 そう言ってどっしりと椅子に腰かけるルナ。実際自分の記憶に寝ている間の範囲なんてものも記録されているのかは大分怪しいところではあるがここは乗っておいても損は無いだろう。それに今の彼女は久々に全力で動けた事でかなり気分が良かった。

「まあ軽く言うとだな・・・いやなんて言うべきか・・・」


「あそこに大樹があるでしょ? あそこにまあヒドラとは別の化物がいるのよ。そしてあの木はこの里の結界の中核を担ってるから、そいつを倒すならさっきよりも慎重に傷つけない様に準備をする必要があるのよ」


「とまあ、大体はそんな感じだ。後は準備でき次第説明するからもうしばらく滞在してくれ。外出はフレイをつけるなら里の中ならどこにいても構わないぞ」


「ああ、あと一つ言い忘れ取ったわ」


「なんだ? ここにきてとんでもない事を言い出すのは止めてくれよ」

 すっかり抜け落ちていたことだが、今になって一つかなり大事な事を思い出したのかグレースは若干苦笑いだ。かなり申し訳なさが表情に出ている。

「クリスタの奴に連絡とってもよいかの? 流石に要件は説明せんとヤバそうじゃし」


「教皇かぁ・・・。あの不死鳥喰った化物は絶対こっち来させない様に説得してくれよ? あいつの炎は森と相性が悪いし、保護とは言えこちらが攫ったなんて取られても状況証拠的にはさほどおかしくないからな」


「いや流石にそうはならんじゃろ・・・。流石に」

 いくら何でも考え過ぎだと呆れながらもルナはクリスタに通信を行った。ハラハラした様子でこちらをそう伺われてはやりにくいとしか思わないが、まあ仕方ないだろう。



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