3章9話
「ずばばばーとか・・・。魂を纏めて刈り取れるような武器があればよいのじゃがのう。今の儂がそういった特殊な触媒抜きに無理矢理権能を行使すればそれこそ体が保てなくなりかねん。魔力炉心があればまあ何とかなるのじゃが」
「炉心かー。探せばあるんだろうけどこの村の燃料の何割かを賄ってるから流石に使わせれないと思うよ」
「じゃろうなぁ・・・。流石にそこに関して文句は言えんよ。いい感じに魔導ゴーレムに加工してしまえれば良かったんじゃが炉心なしじゃとリソースが足りぬ」
どうやら炉心で魔力リソースを稼ぐことさえできればいいようだが流石に無理を強いる事はできない様だ。エレノアの件に関しては侵略前提だったからやっただけであって一応協力している今はそんな蛮行に出る事もできない。
「じゃあやっぱり地道に倒していくしかないって事?」
「そうじゃな。まあ魂を狙って小刀で斬りつけてやればよいじゃろ、遠隔で殺すのはちと厳しいが直接魔力で触れば余裕のはずじゃしの」
「はずってあなた。確実に殺せないと駄目な奴なのよ、それなら弓矢で地道に処理していく方が確実だと思うけど」
やれやれと手の平を上にして呆れ顔のフレイ。だがそれなりに秘策は用意してあるとばかりにルナは得意げな顔をしていた。
「あまりデミゴッドを舐めるでない、確かに儂の身体能力は大したものでは無いが魂あるものは確実に狩れる権能があるからの。それを刀に乗せて切りつけるだけじゃ」
「それって多分普通に私がルーン刻んだ弓矢撃ってる方が速いと思うのだけれど」
「乗せて投げて回収・・・うむ、ならばこうすればよいじゃろ。しばし見ておれ」
ルナはそういうと全身に魔力を流し、そのまま高く飛翔した。フレイはその速度に目を見開いていたがルナにとってはそれでも大分スペックは落ちているので気にすることではない。目標はヒドラが群生している地点の一つ。ざっと百体くらいはひしめき合っていると見て良いだろう。思わず
「しかし、いくら何でも森広すぎるじゃろ。どれだけ高度な空間拡張結界をやればこの広さになっておるのかのう・・・」
と感心混じりに声を漏らし、小刀に魔力を込め始める。刻まれたルーンはフレイの髪の様に鮮やかな金色に輝きルナの紫電の魔力を纏って短い刀身を伸ばしていく。
「さて、まずは一つ!」
急降下してヒドラの核目掛けて小刀を投げる。一条の光を走らせながら見事に貫通。確実に魂を刈り取り絶命させる。無論爆発は起こさず静かに息絶えた。
「ふむ、自動追尾に切り替えは・・・できるようじゃの。ならば後は拳で直接叩くとするかの」
『ねぇ、ほんとに援護射撃いらないのー? 確かに減ってるけど多分私の方が殲滅力高いけど』
「まあ見ておれ、コツは掴んだ。後は単なる打撃で片は付くわい」
そう言いつつ速度はそのままにヒドラの一体を蹴り飛ばし、触れた瞬間に相手の核に魔力を接触。そのまま魂を砕く。後はこれをしばらく繰り返すだけだ。
『その刀は貴女の手元に自動で戻って来るようになってるから有効に使ってね!』
「了解した、そちらも気をつけよ」
ならばと小刀を力の限り遠くのヒドラに向けて投擲し、自分は縦横無尽に機動しながら敵を討つことにシフトする。
「二つ! 三つ! 嘘じゃろ!?」
二体目に拳。三体目の頭の一つを手刀で刎ねた後に魂を魔力放射で破壊。そして四体目の魂を砕いたのと同じタイミングで周囲のヒドラたちから一斉に火のブレスを浴びせられる。
『ちょっと、大丈夫!?」
「うむ、じゃが流石に一斉放射はキツイのう。範囲攻撃は使ってもよいか?」
『いいけど・・・それってどんな攻撃なのか教えてくれない?』
フレイは矢を番えて的確に射抜きながら尋ねる。焦燥、がある訳ではないが流石に無差別に破壊するような攻撃は森に貼ってある結界に影響があるかもしれないと思うとちょっと鼓動が速くなる。
「周囲一帯の魂を宿すものを全て葬る。草木も虫も纏めて死ぬ」
『却下ァ!』
「じゃろうな、ならば仕方ない。『氷槍・千華』」




