二章20話
「さて、依頼の物だけど何に使うつもりなんだい?」
「フン、わかってる事を一々聞く必要も無いだろう。デミゴッドを人の手で作りだして見せることだ。そしてお前は童女から少女といったところか、随分見違えたな」
学長室の扉を少々乱暴に開けながら机の上に担いでいた遺骸をゴトンと置く。そう答えるという事はやはり人造デミゴッドやそれに類する物を作るつもりなのだろう。グレースは顔をしかめながら
「大分綺麗になっただろう? もっと見蕩れてくれたって構わないけど今はそうじゃない。神を敵に回すのはオススメしないよ。人造炉心だけでも大分アウトのような気もするけれど、流石に人がデミゴッドを作るのはライン超えだ」
「今までかなり危険な事はやって来た。神の天罰が下るならその時はそれまでだ。それともなにか?
まさか我らの事を義理も無いのに心配しておるのか?」
クックッとしわがれた声で笑うマリネウス。それは嘲笑とも取れたが気にするほどの事でもない、グレースはただ警告しているだけなのだ。
「いいや? ただ自分がもうしばらく滞在する場所がいきなり全能神とか雷神とかに潰されたらたまったもんじゃないからね。頼むから滅多な真似に使わないでくれよ?」
そうだね・・・と一呼吸置き、
「例えばその骨で杖作るとかなら全然いいんだよ。実際上でも倒した神とかデミゴッドの骨とか髪とか炉心とか使って武器とか作ってたし。なんなら私だってそんな感じの武器持ってるしね。まあこっちには持ってこれなかったんだけど」
「そういえば着の身着のままで落とされたとか言っておったか」
「そうだよ。まあ取りに行こうと思えば行けない事も無いんだけど、行ったところで袋にされるか権能抜かれるだけなんだよね。妹たちも怖いしあんまりメリットがね」
「ふむ・・・ではこうしようではないか。神域から魔道具や魔導書をいくらか調達してもらおう、それと引き換えに私はこの遺骸を使って何かを作るのは止めようではないか」
あごひげを軽くなでながらそんな提案をマリネウスは持ちかけてきた。相手の表情は真顔で固定されているため何を考えているのか表情から読み取ることは困難だが、まあここが神に襲われて消し炭になってしまうよりはマシだろう。
「『契約の書』、ちゃんと結んでくれるなら構わないよ。私だってここでしばらく学ばせて貰うんだしその間に無くなったら困るもの」
「そう言うと思ってすでに用意しておるわ。・・・人造炉心の時点で有罪判決喰らっておったら諦めるしかないがな」
差し出された紙には既に『契約』の魔術とマリネウスのサインが入っていた。ちなみに『契約』は基礎魔術ではあるが契約書に書いてある文面に違反した行動をとった相手に絶大なペナルティを無条件、それも紙面に書いてある事ならば必ず与えることができるのだ。もっとも、それが同格の相手の間で結ばれた場合なのだが。
「なるほど、既に私がこういう事を言うってのはわかってたって考えたほうがいいのかな?」
「さてな。ほら、私は既に書いている。内容に不備を疑うならば書面に目を通せ、『契約』のペナルティは私とお前の魔力差であればこちらが一方的に背負うだけの物だから心配は要らぬと思うがな」
「まあ君の署名だけと見せかけて実は全員分重ね掛けしてあるからある程度は強制力を持たせれる・・・なんて事になってなければいいんだけど」
そういって紙面に魔力を軽く流して反応する物が本当に何も無いのか精査する。何も怪しげな痕跡は見つからなかった。ちゃんと一人分の契約しか付与されていない上にデメリットも『契約不履行の場相手の所持品を一つ奪う事ができる』と言った簡単な物、それも魔力の差で踏み倒せるので問題はない。なのでさらさらとペンを名前欄にサインした。
「はい、これで十分かい? いいなら私はひとまず部屋に帰りたいんだけれど。神域に行くにも準備はいるからね」
「ああ、構わぬ。こちらももう用は済んだ」
じゃあ失礼するよと一言残してグレースは部屋から立ち去った。一応念のために監視用の魔法陣はドアの取っ手に仕込んであるので遺体の使われ方などを聞き取ることも見る事もできよう。少なくとも相手も魔術師としては中々の強者、100%信用できる相手では無い事だけは確かだ。
「御用件はお済みになられましたかグレース様。その、随分大きくなられたようですが」
「あー、うん。何とか偽装魔術で誤魔化してるけども服がパッツパツでさ。まあ地下から出てすぐに気づいてんだけど」
体が大きくなった後は制服に着替えていたが、よく考えたらそれは童女体系の自分に合わせて採寸されたものだったので当然それを着ると色々な場所が張るのである。具体的に言うとシャツのボタンとスカートのチャックが今にもはち切れそうに悲鳴を上げている。
「私のものの予備が二着ほどありますのでひとまずはそちらを着てください、グレース様。少々胸はきついでしょうがそこは仕方ないものと思っていただければ」
「うん、ありがとう。まあ明日にでも新しいの用意してもらえるように学長にかけあって来るよ。それに私が少し大きいくらいで君もそれなりに大きいからね? 思わず目が誘導されちゃうくらいに」
「ふむ・・・。揉みますか?」
何を思ったのか胸を寄せてグレースに揉むかと尋ねてくる。
「じゃあ遠慮なく」
断るのも勿体ないのでそのそれなりに豊満な乳房を揉みしだく。途中で「んっ」、「あっ」と喘ぎ声が聞こえてくるが気にせずに揉み続ける。結局『もうやめてください』とラフィが言うまで揉み続けた。そうして魔術学園の夜は更けていく。




