二章11話
うーっAC6やりたいぞアニキおかしくなりそうだ。
「ちょっと今さらっと凄い事言わなかったクロノスフィアちゃん」
「えっ!? あー・・・、うん。今の流れ無かったことには~」
「忘れたほうが良さそうなのは間違いないけどもう記憶に刻み込まれちゃったよ・・・」
流石に失言を五段階くらい飛ばした物凄い失言だった。グレースもまた周囲に盗聴などの魔術が張られていないか精査、貼られていなかったので安心したがそれでもアウトラインぶっちぎりだった。
「うん、まあそういう事なんだ。おかげで魔術は君と同調した時みたいに外付けで回路を増設しないと使えないポンコツデミゴッドになってるんだけどね」
「そ、そうなんだ。それで権能って時空を超えて凄い事したりできるの?」
驚きはそのままだがそれでも興味の方が若干勝ってしまっているようだ。神の力を行使できるとなると気になるのはある意味当然の事かもしれない。だが、返って来たのは少々期待外れとなるものであった。
「そういうのはまだ・・・いや当分できないかな。時間を止めたり空間に穴を開けたりってどっちか片方は使えても両方纏めてってのはできない。第一、体が幼女のままだとどちらかでさえ満足に使えないのさ」
その後手短にできる事とできない事を説明したグレース。所々実演しながらだったので面白い反応をかなり見れてグレースもかなり上機嫌だ。
「あれ? でもクロノスフィアちゃんの時間を巻き戻せればすぐに戻れるんじゃない?」
「うん、多分前にも同じこと聞かれたけど効果なかったんだよね。まぁ私がやったことも巻き戻るわけだから仮にできたとしてもセレスティアが壊滅するし、リソース集めて回復するのが一番早いんだ」
「もしかして意外と面倒だったりする? 一見物凄く強そうに聞こえてるだけで」
「その通り。普通に魔術使える方が多分強い」
何かに気付いたのかのようにボソッと呟くモルジアナに力強く頷く。
「正直付け焼刃だしねコレ。まあ割とマシにはなって来たけれどそれでも魔力を滅茶苦茶喰われるし馴染むのにも時間がかかりそうだよ」
つまりお手上げとそのまま両手を上げるグレース。そしてその後ふと何かを思い立ったのか指を小さく鳴らすと怪しげな笑みを浮かべていた。
「そうだ、せっかく君も此処にいるんだしちょっと未来を視てあげよう。どれどれ?」
鈍い音と同時に目を右目を青く光らせるグレース。虹彩には時計のような紋様が浮び、空中に透明な針が投影される。それは現実の時計と同じように六十秒を刻みながらコツコツと回っていたがグレースが再び指を鳴らした直後に不安定なリズムを刻みはじめ、終いには短針が吹き飛んでしまった。
「きゃっ! 危ないよクロノスフィアちゃん!」
「ごめん。あんまり先の事見て話すのは流石に酷い事だろうって思って色々範囲絞ってたらちょっと暴発しちゃったみたいだ。それでもここ一週間くらいはなんとなく見れたんだけどね」
見事にモルジアナの頬の横を掠めて後ろの木に突き立った針を見て軽く悲鳴を上げる。
「はぁ・・・。私の未来なんて見ても特に面白い事も無いと思うんだけど」
ため息交じりにそう呟くが、対面するグレースは紅茶を一息で飲み干したかと思うと若干の冷や汗を浮かべながら少し申し訳なさげに言った。
「半ば・・・いや九割くらい私のせいで色々と不幸が降りかかるというかトラブルに巻き込まれるというか・・・いや、これ私が巻き込んでるな。うん」
「クロノスフィアちゃんは疫病神か何かなのかな?」
「あながち否定できないけどちゃんと対処法とかは渡すから。時計持ってる?」
「あるけど何に使うの時計なんて」
怪訝な顔をしながら取り出された懐中時計を受け取り、グレースは何を思ったのか指を軽く魔力の刃で斬って血を出し、それで時計の裏側に魔法陣を描き始めた。
「ちょっとしたアーティファクトを作ってみようと思ってね。まあ具体的に言うとこの時計を私の身体の一部っって事にして時間停止だけだけど君も使えるようになるってわけさ」
「そんなとんでもない物になってるのこの時計!? それならこんなシンプルで安物の時計じゃなくってもっと高級な物を持ってきた方が良かったのかな・・・」
「気にするべき部分はそこでは無いと思うけどまあいいや。摘みを引けば時間止めれるから有効活用してね。ああ、一応君の血も練り込んでおいた方が良いかもね。奪われたら大変だし」
モルジアナが気づいた時には既に自分と時計が魔力の繋がりを持たされていた。あるはずの切り傷すら無いのを見るに時間を止めて切った後に傷を治してくれたのだろう。
その後はいくつか使い道や他愛のない話をしながらその場を離れ、残りの授業を終わらせて寮で別れた。
「それで、何かいい事でもあったのですか? とても満足げな顔をされていますが」
「友人と軽くお茶会してきたんだ。君は?」
部屋に帰ったグレースの様子に微笑んでラフィは話しかける。グレースはボロが出ない様に、そしてラフィが何をしていたのかも気になっていたので興味本位で聞いてみた。
「普通に授業を真面目に受けて普通に学友と過ごしていましたよ。ここは結構他国の商家や貴族の子もいるのでコネ作りにもちょうどいいという打算はありますが、そういった方の話を聞くのは中々おもしろいですよ」
「何というか普通に学生生活してたんだ・・・。てっきり色々裏で動いてるタイプかと」
なんと言っても直接クリスタがつけたメイドだ。戦闘もグレースの世話もできるのは当然、裏の探りを入れるなど様々な事に忙しくまともに学生なんてやっている訳が無いだろうと思っていた。
「郷に入っては郷に従えと言いますし、地脈はこの学園の地下室付近にあるが戸口は封印されているという事は聞けても既に目をつけられていると想定するとそう軽率には動けないですから」
「うん、普通に派手にやらかしてた自分が申し訳なくなって来るよ」
しかし、それはそれとしてやることもやれることも増えたのだ。もう早いところ侵入してこの国からトンズラするべきなのかもしれない。神殺しは・・・保留にしておいた方が身のためだろう。




