表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明開きしウィッチクラフト  作者: ラキューム
23/78

炎女繚乱

 さてさて、グレースに空中に放り出された私は早速体を不死鳥としての姿に変身させて地表をこんがりと焼き尽くしつつ空を舞っていた。とは言っても完全に取りになってしまうと視界も体の操作も大分やりにくくなるので羽根を背中から生やして足を鳥の鉤爪にする程度にしている。ちなみに服装は法衣から燃え盛る炎のドレスにしているのです。

「法衣って何気に物凄い値段するんですよね・・・。特に私のものとなると軽くかなりの桁が飛びますし・・・」

 普通の修道服ならばいくらでも替えが効くから多少燃やしたところで問題はないのですが教皇様たる私のものとなると装飾などもかなり豪華な物に・・・と神妙な顔で考えている私でしたがそのような場合ではありませんでした。

「いいえ、そうじゃなくってここのトップを探さないと・・・。デオラル殿は一体どちらにおられるのでしょうか・・・」

 そう言って下方を見下ろしながら人を探しています。まあ魔力視を扱って見ていても何の痕跡も無いのですが。それどころか瓦礫だらけになっているので人なんて怪我人か潰された死体くらいしか見当たりませんし。いや、私から降り注いでいる火の粉が地上に落ちまくって段々と火の手も上がって来ているような・・・。まさか自分の聖堂焼き払ったのと同じ日に敵国の首都を焼き払うなんて思ってもいませんでしたが。

「まあ、向こうは向こうで大群で我が国を攻め落としに来てましたしお相子ってところですかね。というか、行軍で村や都市がかなり蹂躙されつくしてるのは確定でしょうし連絡が来ないって事は皆殺しにされてますよねぇ」

 それを考えるといよいよもって本気で領土を全奪りしてやってもいいかもですね。これを片付けたらディアスに全軍召集しておくように言っておかなければ。と記憶の隅にそれを置きつつ空を巡遊。何時まで経っても見つからないことに顔を多少不満げにしつつ下を見下ろす。

「生体反応を探してもルナとリリスだけ。というか何なのですか、あのゴーレムは。是非ともセレスティアの機動兵器として利用したいところですが・・・。あら?」

 あらら、気づかぬうちに腹に風穴開けられているではありませんか。それもご丁寧に毒まで付与してあるから傷の塞がりも遅いですね、恐らく地上から金属でも射出したのでしょう。臓器だけ修復できたらそれでひとまずは良しとしておきますか。

「この惨状なのにまだ避難しておられない方がいるなんて思ってもいませんでしたよ。というなこの燃え盛っている区画にわざわざ・・・ってこれはカモネギってやつでしょうか?」


「なぁに、転移用の礼装を使ったと思ったらとんだ誤作動起こしやがってな。そんで逃げ遅れたアホがここにいるってわけだ。・・・はっ、敬虔な教皇様も法衣を向けばただの怪物とは笑いものだな」

 やせ我慢なのかもとより死ぬ気なのかは分からないが彼は確かに私に対して不敵な笑みを浮かべている。本来ならグレースとルナが付与してくれた結界が作動するはずだったんですけどね。まあ解除されても仕方ないくらいには消耗しているのでしょうけど。

「宗教のトップなんて化物にでもなんでもならないと到底やっていけませんから。それにこの程度の異形を怪物呼ばわりしていたら魔界や天界に行ったら発狂しますよ?」


「そんなにおかしいところなら死ぬ前に行ってみても良かったかもな」


「死ぬ前って・・・。もしかして私と一戦交える気ですか? 首都をこんな惨状にしといてなんですが、そんな無謀な事をするよりは立ち去った方がいいかと思いますが・・・」

目立った負傷は彼には見えませんが、私を殺すならまずは心臓を抉り取って血液を全部抜いてから水に沈めるくらいしてようやく何とか逝けるんじゃないですかね。と、敵ながらあまりにも無謀な事をやるのはどうかと少々表情を苦くしていた私。相手の返答はさらにもう一発とばかりにボウガンで先程の杭を私に向かって撃ち放つことだった。

「流石に二度目は喰らいません。翼を開けばほらこの通り。ちょっと高熱にして当てるだけで勝手に溶けてくれるのです」

 下手な奇術師のような口調で右翼を開いて軽く弾き返す。普通の鳥の翼とは違いそれは殆ど炎で形創られているようなもの。まあ普通の金属くらいなら軽く溶解も溶断もできるという寸法なのです。

「まあわかっちゃいたが、いざ目の当たりにすると無力感半端ないな。アグネアをぶちかましてやれば殺せたりしないのか?」


「どうでしょうか? 仮に全身吹き飛ばされても火のある所から復活できるのが私ですしあんまり意味は無いと思いますよ? 少なくとも死の概念くらいは付与しないと無理かと思いますね」

 まあ全身丸ごと消し飛ばされたことが未だかつて存在しないから分からないのですが。それはそれとしてここで彼を殺すのは止めておいた方がよさそうな気がします。今回の事は互いに両成敗という事にして丸く収めるならそうするべきでしょう。相手だってここで死ぬほうがマイナスという事は理解しているでしょうから。

「まあ貴方が私を殺すのも無理ですが、私としてはサクッと殺して全面戦争も別に構わないのですよ」

 実の所兵力や国土はこちらが圧倒的に広い上に国境付近には常に多数の兵力を配置しているため、攻め入ろうと思えば瞬時に侵略を進めれるのです。ですがこちらから大義も無いのに攻め入るというのは流石に教皇的にアウト・・・いや、どのような方法であの大軍を送ったのかは不明ですが先に侵略自体は先にされていますね・・・。

「こちらとしてはあなたの首を持ち帰って手っ取り早く戦争に持ち込む方が早いのです。今までだって度々激突しては私がそちらの領土を奪い、あなた方が降伏するという事の繰り返しでしたからそろそろ終わりにするのもアリでしょう。まあ貴方が首都を手放して私に降伏してくださるというのなら話は別ですけど」


「そうしたところで何かしら理由をつけて本格的に侵攻してくるだけなら当然その申し出は却下だ。嫁とガキ共、それに各首長たちにも俺が死んだ場合のプランは伝えてあるからな。そちらと違ってこっちは王の替えが効くんだよ」

 その眼光は一切光を濁すことなくこちらを鋭く睨みつけている。まあわざわざ私の目の前に姿を現したという事はこうなった時点で死自体は覚悟の上だったという事なのでしょう。

「確かに覚悟を決めている相手を生かして逃がす・・・というのもまた無粋かもしれませんね。ならば一思いにサックリ逝かせて差し上げますので少々目をつぶってください。では」


「最後に言わせて貰うが、お前の国は絶対に碌な滅び方しねぇよ」

 ザンッとその言葉を聞いてから静かに彼の首を炎刃で切り落とす。無情に燃やし尽くすよりもこちらの方が王としての死に方に相応しいでしょう。遺体は・・・ひとまず持ち帰って梱包してから送り返して差し上げるべきでしょうか。

「さてさて、気分はよろしく無いですが早いところ私もここから引き上げるとしましょう。彼の遺体は先程の街の葬儀屋にでも寄って諸々の処置はやって頂きましょう。口封じももちろん忘れずに」

 流石に不死鳥モードだと運んでいる間に火葬完了してしまうので担いで運ぶことにした。手持ちの金銭はそれなりにありますし、私の身分があれば大抵の無茶は通りますよね。


 という感じで一走りして目的地に行ったのは良いのですがうっかり変装も何もせずに来てしまったので軽く騒ぎになったのはまた別の話。結局軽く凍結魔術を施して聖都に帰還する羽目と相成ったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ