表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明開きしウィッチクラフト  作者: ラキューム
19/78

エレノア破壊作戦

「こっちじゃ! グレースの奴は終わらせたらしい、儂等は儂らの為すべきことを成して早う遁走するぞ!」

 城下を兵士に追われながら、その短い脚を勢いよく動かし駆け回りながら儂は同行者にそう告げる。

「ええ、わぁかってるわよ。次、右に曲がったら地面を割って!」

 リリスもまた走りながら儂に指示を飛ばしている様子、焦りこそ感じられぬが余裕はあまり無いようじゃ。まあ意は分かると儂はそのまま立ち止まり敵の方を向きそのまま脚に力を入れる。

「承知した! 権能を使うまでもない、震脚!」

 強く地面を踏みつけ、命令通り土煙を巻き上げるようにして地面を踏み砕く。見た目は幼子でも中身はデミゴッド、一寸したクレーターを作るくらい容易い。生物としての規格が文字通り違うのじゃからの。はてさて、少々やりすぎたか前方五十メートル程を踏み砕いてしまっておるようじゃが、リリスは気にしておらんようじゃ。それどころか一瞥して先に先にと走り去って行っておるでは無いか。まあ敵じゃし気にする必要も無いようじゃな。

「ルナ、貴方はさっきのグレースみたいな感じで権能を使って一気に全部破壊したりできないの?」

 四方から追い詰めにかかる敵兵に向かって魔力弾を放って牽制しつつルナは儂にそう聞いてきた。表情は儂からは視認できぬが恐らく相応に疲労しておるのじゃろう。しかし儂にも無理な物は当然ある。

「無理じゃな。あやつは時間を代償に魔力を生み出して使っておったが儂にはあのように捧げれる物がない。魂を捧げればまあ起動はできようが、さすれば儂が死ぬじゃろう」

 (魂を捧げればデミゴッドでも死ぬのね・・・)とリリスはぼやいたが、それも当然の事。以下に儂らが不老であろうと殺されれば死ぬ。デミゴッドでさえ生物にすぎぬのじゃ。いくら特別性とて例外は無い。

「まって、貴方の場合って多分魂を捧げるとかそういう感じの犠牲が必要なのよね?」


「うむ、確かにそうじゃな。高位の魂であればあるほど維持できる時間は長くなると思うぞ」

 リリスが何かを思いついたようで、童子のように目を爛々と輝かせて儂にそう確認を取ってきた。なにやらろくでも無い感じがするが話だけでも聞くとしよう。儂も若干引き攣った顔をしているじゃろうがまあある程度予想はつくから仕方ないじゃろう。

「低位でも負担できるなら、このあたりの敵兵の魂ガッツリ吸っちゃいなさい! 相手は敵で見知らぬ他人、別に殺したって文句を言われる筋合いなんて・・・あっても文句言って来た奴の首を刎ねれば解決よ!」

 悪魔か何かじゃろ。淫魔よりそっちの方がよほど向いておるわ。若干儂も呆れつつ返したがはて、そういえばリリスの奴はヤツの体内の魔力を見るに淫魔にしては『食事』が多種多様な相手を漁らずに儂とグレースだけから吸っておるし、あまり媚びるような真似もせぬ。して何かと教養も深いような気もするのう。まあ単に生まれがよいだけのような気もするが、それにしては目線が民では無く領主や王のような気もするが・・・。と思案しておったが今はそのような場合でもなさそうじゃな。

「『魂奪』」

対象はこの都市におる全ての敵兵。対象が多すぎて民衆も多少は巻き込みかねんのじゃが、まあ仕方ない。むう、ざっと敵の数は600程。これでは十分しか全力は出せぬがグレースよりはマシじゃ。そう軽く嘆息しつつ儂はそ奴らの魂を根こそぎ奪い取る。『魂奪』、書いて字の如く魂を奪い取る魔術。対象の魂魄に魔力の糸を引っかけてそのまま引っこ抜くと言った方がわかりやすいか。いや、本来なら鎌の方がカッコいいとは思うが広範囲には向かぬからの。

「うむ、捕捉完了。リリス、しばし儂を守れ」


「あら、身動き取れなくなる系の技なの? 了解したわ」

 そう言って怪しく微笑んだリリスは魔法陣を儂とリリスを取り囲うように出現させ、一言呪文を唱える。

「『模倣魔術・タイムバインド』。グレースから取っておいた時の魔力、結構使い道あるのよ」

 こやつ、絶対にただの夢魔では無いのう。確かにグレースや儂の魔力には権能も多少なりとも宿ってはおるがそれを吸うだけならばともかく放出してある程度使いこなす奴など例外にも程があろう。

「とりあえず半径数メートルくらいの範囲の時間を止めたわ。突っ込んできた奴らはそのまま時間止まって動けなくなるだろうから、簡易的な壁になるわよ」

 ただしそんなに長持ちしないし、持って数分くらいかしらと付け足しておったがそれでも十分おかしい。そう思考しつつも権能を組み上げてゆく。

「のう、お主のような夢魔なぞ聞いたこと無いのじゃが・・・。一体何なのじゃお主は」


「ん~・・・。一芸持ったただのサキュバスってことにしといて?」


「・・・まあこの場ではそういう事にしといてやるわ。魂奪もそろそろ発動するでの、集中をさらに深めたい」

 間違いなく魔王や貴族クラスの魔族なのじゃが、それを一旦思考の隅にやってさらに対象を広げてゆく。うむ、これでざっと千人。一人につき0.5秒と加味すると権能を十全に使えるのは精々五分。まあ、それだけあれば十分かと儂は納得顔。まあ奪った魂を喰らう過程で記憶などをまっさらに消す過程などが必要なのじゃが、それは30秒あれば終わる・・・と仮定すると使えるのは四分半・・・というのはもういいか、さっさと発動してしまおう。

「ルナ、他にやる事はあるかしら? あと三個くらいなら並列で何とかできるわよ」


「そうか、では儂らがおる場所の地表を脆くしてくれ。そののちに儂がケリをつけよう」


「それだけなら楽勝。『アトム・セパレーション』、これでいいかしら?」

 そう言ったリリスが地面に手を当てて魔術を発動。それと同時に一気に儂らが立っている地盤が崩落してそのまま落下してゆく。・・・いや、何食わぬ顔でグレースの権能使うな。神の力を何だと思っておるんじゃ。

「その神様ってもう死んでいるんでしょ? それに神だ何だと付いたって所詮力は力、誰が使ったって強さと意味くらいしか変わらないわよ。ちなみにルナの力は精々こんな感じで軽い読心程度しかできないの。もう少し魔力吸っておくべきだったわね。いや、今吸っちゃおうかしら。ん~っ」


「ええいこの場で盛るな! 寄るな唇を押し付けに来るなこのケダモノめ!」


「いいじゃない、魔力は減るもんだけどアンタはその絶対値がアホみたいに多いんだし」


「今から大量に使うのじゃ! というかお主グレースの魔力使えるのなれば己の時くらい戻せばよかろう!」

 自由落下しながら儂は空中でリリスから距離を取りつつそう軽く怒鳴り声をあげる。流石に集中力を高めている時に魔力を奪われるのは最悪魔力が霧散するか暴発する可能性がある以上本気でやめて欲しい。

「いや、私はあくまでグレースの魔力を混ぜ込んで間接的に再現した魔術くらいしか使えないのよ?さっきの拘束にしてもあの子みたいに全部の時間停止じゃなくて限定的な範囲が精一杯だし、時間を戻したりなんて流石にできないわよ」

 そして今の大穴ぶち抜いたのもちょっと原子同士の結びつきを引き離すといった極小単位での空間操作と単なる爆破魔術を組み合わせた物とのことらしい。いや、やっておること大概おかしいのう。

「まあよい、準備は整った。着地させよ、一気に終わらせるぞ」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ