ある国の村人少年は悲劇の連続で生き抜いて幸せを手にしたが村人がまた幸せを奪ったので闇染まり無双で世界を滅す
初めて読む人は初めまして!
今回は短編の長いバージョンを描きましたので、よかったら見ていってくださいね
カクヨムだと振りに・が入るようになってますので
なろう側で文字のルビィや・が入る部分が《《》》こうなっていたりします
その時は、文字の上にルビィか・があると思ってください。
村では親切な人々に囲まれて育った。父は剣士、母はエルフの血を引く俺は、いっぱい愛されて育った。
自然豊かな場所に、小さな村で民家一件。
そんな場所でも苦ではなかった、だか、この村には巨大モンスターが彷徨いていた。
いつ被害が出るか分からない内に、父はある決断をした。
それは、巨大モンスターを討伐すると言う無謀、当然父の声に反対が多数あり、それでも押し切って、ある嵐の夜。
「―――行ってくる」
母と俺を置いて、父は村に迫り来る大型モンスターの討伐に向かった。
何の討伐かと言うと、ガルドと呼ばれる獣型モンスター、数多の剣士が挑みその右目に刻まれた古傷が特徴のモンスターである。
数多の武器が、その背中に突き刺さり抜けずに、絶命していく剣士は後を絶たない。
そんな、強いモンスターに父は挑んだが…相打ちで死んだ、遺体は…体はなくて片腕引きちぎられ、強く掴んでいた剣だけが残されていた。
母は、その腕を大切そうに抱きしめた、それからだ…。母は日に日に弱っていき…病気を患った。
母の病は、「ブラックパーサー」と呼ばれてる、病気が悪化すれば魔物化になる病だった、もちろん、この病にかかると…殺さなければならない。危害が出る前に、未然に防ぐと言う判断だが、幼い俺には…辛い判断だった。
そしてある日…母は俺に言う。
「私が魔物化になったら…私を切って」
「…できないよ…」
「私の息子でしょ? …他の誰かに切られるより…ずーっといいの」
「それでも、ぼくには…おかあさんを…」
「……ごめんね、こんな辛いことやらせて…。私に…は…っ…うぐっ…!!」
母は苦しみ出す、だけど、俺に剣を持たせようとする。冷や汗を流して、白い結膜が黒く染まり始めるていた。
「お願い…ラッシュ…! 早く―――!!」
限界に近い苦し紛らわせた声を吐く母、俺は涙を流しながら震えた手で、剣を手に持つ。
目をつぶり、全力で叫びながら走った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ―――!!」
母の、着ていた服だけが、その刃に力なく無重力にブランブランっとぶら下がっていた。
俺は力なく膝を床につけた、手にしていた剣を手放して、ただ、その母のいた場所を眺めていた。
声が出ない、悲しいのに、涙が枯れたのか出でこない。
「……ッ」
それから数日後、俺は村の危機を救ったとして、表彰された。
だが、心は晴れない…母を殺したのは自分なのに、何故表彰なのか…疑問を抱いた。
何がそんなに嬉しいのか、何がそんなに喝采したくなるのか…村人たちの気持ちが分からなかった。
それから数ヶ月の月日が流れた、俺はあの出来事を忘れていた、子供っていいよなって思うくらいに、父の形見であるこの剣を、左肩からつるされた皮でできた鞘でくくりつけて黒い皮ベルトを通して、身に付ける。
「今日も、魔物狩り! なんてな…。はぁ」
周りに人はいない、楽しく微笑む母、面白がって笑う父の声はそこには無い。
この時はまだ六歳、やんちゃ盛りで真似事が大好きだった、だけど、それを見てくれる人、楽しんでくれる人はいない。
ただあるのは…家の静けさ。
お父さん、お母さん…僕は寂しくないよっと内心的には静かに思い描いた。
家をとび出た瞬間、村の兵士が現れて、俺の手を無理やり掴んで、見知らない森へと連れていかれた。
「おじさんいたいよ!」
「ふん、泣き言しか吐けないのかガキ」
「ぼくの腕がとれちゃうよ…」
「知らない」
愛想すらない冷めた言葉、俺はこの時まだあまり理解してなかった。
そう、住む村人は俺をガキとして見てなかった、何故かは知らないが、父親が遺言でそういったらしい。
おかげで、戦い方をろくに知らない六歳児が、魔物退治に送り込まれた。
森に着くなり、村の兵士は力強く俺を軽々と飛ばした、地面に顔から着地して、村の兵士はさっさと森から離れる。
「いてて…ここは…?」
割を見渡す限り、深い緑色を放つ草木が生い茂る。この場所は、村でも踏み込んでは行けない迷いの森っと呼ばれる、モンスターが徘徊する危険な森である。
「どうして…? 誰かいないの…?」
声は吹く風により、草木が揺れて囁かれて掻き消される。…今あるのは俺と運良く持っていた右手に持つ父の形見の剣だけである。
不安が言葉足らずに、内心をじわじわと感じて来た時、茂みからモンスターが現れた。
緑色の体が特徴のゴブリンである、刀を持って辺りを見渡していた。
「…くせぇな。人間の匂いがしやがる…」
俺は逃げようとしたが、腰が抜けて動けない
逃げるにも逃げれず、ゴブリンはこちらに気づく。
「ガキ…人間のガキがなんでいるんだ…?」
ゴブリンは少しばかり不思議そうに、俺を見ていたが、刀を振り回して発した。
「あぁ、ガキは美味いって言ってたな? なら、捉えて喰っちまうか!」
ゴブリンは俺に向かって走ってくる、すると父の形見が光、俺はゆっくり何かに誘われる様にと柄を掴み抜き放つ。
「ギャァァァァァァ――――!!」
ゴブリンは切られた場所から血飛沫を吹き、後ろ飛びする様に背を反りがら、絶叫を上げて地面に頭から落ちた。
ガラスのように白く透き通った刀身、飾鍔は星を散りばめた形をしている。
なにこれカッケー!っと思いながらいると、悲鳴を聞き付けたゴブリンの仲間が、次々と茂みから現れる。
「ガキ1人が…仲間を…?」
「むっ? その剣は…クリスタルブレイド!」
「はぁ!? あの伝説の武器がなんでガキが持ってんだよ!?」
「知らねぇよ! だが、取り返せばいい話だろ!!」
「だな、ガキには恨みねぇけど…獲物よこせ!!」
「やだよ、いきくさいのはめっする」
1人のゴブリンはガチキレした感じで言い返す
「あん? 歯周ポケットはゴブリンにはねぇんだよ!!」
だが、周りのゴブリンは…何故か目を細めて言い始める。
「いや、あるし…つーか、お前歯槽膿漏だろ」
「ちょっ…なんで言うんだよ」
「いやぁ…お前だけ歯磨きしてないから」
「してますよーだ、毎日毎日…炭で磨いてますよーだ」
「いや、なんで炭で磨いてんの? 歯ブラシじゃないんだよ」
「うるせーな、原型が1番って言うだろ? ほら、明日には翼が生えてます的なアレ」
「生えるわけねぇだろ、生えてくるのは口臭と言う臭さだけだ」
「…よーし、まずてめぇらから順番に殺してやる…! ガキはそのあとだ!!」
ゴブリン同士の内戦が始まり、俺はその場から離れた。深さを増す森、俺はひたすら歩きモンスターを倒す―――。
「やぁ!」
モンスターをザシュッと切り殺す、ただそれだけだが…この剣は驚くほど軽く扱いやすい。
切れ味は恐らく村にある、剣なんかよりも鋭いだろう。
となれば空いた片手を埋める、その為の武器は扱いやすい黒い鎖。
道端で拾ったが、中々良いもので、扱いやすく軽い。
範囲攻撃と遠距離、至近攻撃も手馴れたもので、初めてにしちゃずば抜けてた。
夕暮れ時には村に帰り、それを何日か繰り返していくと、さすがにゴブリンも…襲わなくなりむしろ心配していた。
「またガキ…お前は毎日毎日ここに通いつめてるけど、なに? 俺が好きになったの?」
「りふじんだよ、きたくてきてない」
「はぁ…あの兵士か。 クソみたいな村に生まれて育って、お前はよく耐えてんな」
「ん?」
「俺達が何とかしてやるか…歯ブラシをあるだけ奪ってくるか」
「意味わかんないっすよ先輩」
「うるせーな、歯が命なんだよ!」
ある夏の日、セミがうるさく鳴くが、ゴブリン達は俺を毎回連れてくる兵士を襲った。
「き、貴様らは…!?」
「こんにちは〜粛清のお時間です〜(ニッコリ)」
「こいつ臭! 口くせぇよ!!」
「OK! 首跳ね希望だな!!(迫真)」
「ギャァァァァァァ――――!!」
とゆうことで、村にある木に縛られた全裸兵士の隣に、木の棒に板を釘で打ち込んで出来た奴があり、そこに字が書かれていた。
「村の人々よ、今すぐに村全体にある歯ブラシを用意しろ」
村人は、ザワザワとしていたが…結局はその兵士の口の中に歯ブラシを突っ込むという刑みたいなのになっていた。
兵士はこの日から、村に来なくなった。
これだけであるが、以後俺は山に連れていかれなくなったが、自ら足を運ぶようになっていた。
結局はゴブリンと仲良くなり、反面生きて帰ってくる俺をよく思わない村人は…俺から父が残した形見の剣を奪い取った。
「かえせ! それ僕のだぞ!」
「うるせぇ!」
「あうっ…!」
容赦ない手加減すらしない、大人たちに俺は…自分の非力さに唇を噛んだ。
「だ、大丈夫…?」
そう優しい声を飛ばした、白い髪の毛の少女
心配そうな眼差しで、手を差し伸べる。
だが、俺はその手を弾いた
「見ていただろ…、僕が大人達に負けるの」
「うん…」
「お父さんは、村人に何を言ってたかは分からないけど…僕は…」
「……」
少女は無言で俺の赤く晴れた頬を、軟膏薬を手に取り塗っていく。
「大人って大人げないよね、私も口数が少ないだけで怒られるんだ。君は色々とあるみたいだけど…弱くてもいいんだよ。ほら、おわり」
塗られた軟膏薬は、青くさくいけど、効き目があるのだろうか、少しピリピリしてた。
「あ、ありがとう…」
「どういたしまして、じゃ、私帰るね」
「…君名前は?」
「それは次会ったときね!」
その少女の横顔を笑う見て、俺は心を洗われた様に立ち上がり、走って行く後ろ姿を眺めながら思う。
取り返さなきゃ…形見。
俺は村にある兵士が住む民家の前に、立ち止まる、兵士達は俺を見るなり出てくる。
「何の用だ?」
「形見を取り返しに」
「ハーン、あんな武器を―――」
俺は鎖を投げ飛ばして、兵士一人を拘束させた。
「形見をかえせ…!」
「ガキ、頭に乗るんじゃねぇ!!」
兵士達は腰にある剣を抜く、どうやら殺す気らしい。
だが、俺は鎖を二つ手にして、左右に絶妙に放つと、兵士達は次々に壁に激突。
だが、数の多さに怯みだす俺は次第に片膝を地面に着いてしまう。
「ぐうっ…! 」
「ふん、非力だなガキ!!」
「ぐあっ!!」
蹴飛ばされて、空を見上げる…そりゃそうだ、子供が大人に勝てるはずがない。
兵士の顔が視界に入ったくる、明らかにゲス見たくクズみたいな気持ちが悪い笑みだ。
兵士が持つ天に翳された剣は、刃に光を宿して、そのまま振り落とされる。
「死にやがれやァァァァ―――!!」
瞬時に目をつぶった、だが…痛くはなかった
ゆっくりと目を開けると、兵士の腕が無くて、向こう側にある白い壁に弓矢で射抜かれて突き刺さっていた。
「あぁぁぁぁぁぁ――!? 俺の…俺の腕がァァァァァァァ――――!!」
兵士の絶叫、その最中に俺は立ち上がり、顔を鎖で薙ぎ払い、吹き飛ばした。
茂みから出てきたのは、あの少女…弓を構えていており、その背後からゴブリンが次々と茂みから姿を現して走り出す―――!!
「こんばんは〜森の支配者のお巡りさんでーす。弱いものしか虐められないカスのちの色を見に来ました〜」
「…ゴブリンって口くせぇな。何食って生きてんの?(真顔)」
「 てめぇらも歯磨き粉を口の中に挿入されたいようだなぁ…?」
「は? 歯磨き粉より、おくちくちゅの液体派。歯磨き粉なんて古くね?」
「人間の兵よ、歯磨き粉の大切さをテメーらに教える必要があるな?? よし、片っ端から歯磨き粉を手に持て!」
「いや、対抗する人なんているんすかね?」
ゴブリン一同歯磨き粉を両手に持つが、兵士達も液体歯磨きを両手に持つ…対抗だった。
「あれ? 俺だけ常識ないのこれ?! 」
「歯磨き粉ラブユーを知らせてやる」
「意味わかんねぇよ! 歯磨き粉ラブユーってなんなんだよ!」
「歯磨き粉ラブユーなんかよりも、全て除菌できるスペックがある液体派歯磨きの方が断然いい。分かるかゴブリン磨きよ」
「いやわかんねぇって! ゴブリン磨きってなんなんだよ!!」
「「上等だコラァ! 今こそどちらが上か決めてやらぁ!!」」
「趣旨が違う戦争が始まったァァァァ!!」
歯磨き粉と液体歯磨きの投げ合いと、口の中に入れる戦いがはじまったのだ。
少女は俺の所まで駆け寄り、こう話し出す。
「ゴブリンに事情話したら、なんかすっごくキレて、この場所まで案内したの」
「…なんで…この場所を…?」
「あの後、君を見ていたの…行くんじゃないかと思ってたら、当たったのよ」
「…なぁ、ゴブリンと知り合い?」
「うん、私も君と同じ目にあって…知り合ったの。「女の子を痛め付けるのは趣味じゃない」って」
意外と紳士的なゴブリンに対して兵士達は、驚きの表情を浮かべて最中に、襲いかかるゴブリンに腰を抜かす奴や、逃げ出す人もいた。
「1人残らず着ぐるみを剥いで、口に歯ブラシと体に歯磨き粉を塗って、大木に縛って川に流せ」
「相変わらず鬼畜な…触りたくねぇよ」
「…ローションならワンチャン行ける」
「おぉ、さすが歯槽膿漏」
「殺すぞ? 次言ったらお前はローション漬けだ」
「えー、嫌っすよ〜」
「つーかよ、歯槽膿漏をリーダーって呼ぶな! マジで嫌味言ってんのか??」
「すんませんでした、嫌味でした」
「…確信犯マジ許さん」
ゴブリン同士でまた殴り合いが始まり、生きてる兵士達も巻き込まれた。
そして約一時間後、残る兵士一人を、鎖ではじいた。
「うぐっ…」
「よし、おしまい」
「ガキ」
「なに?」
「行け、ここは俺達が見てる」
「うん」
「心配すんな、死にやしねぇから」
「わかった!」
ゴブリンに言われて俺は兵士達は、気絶してる隙に兵士が寝泊まりする民家の扉を開けて、中に入る。
「…ケジメっすか」
「なんの話しだ?」
「国王の軍の兵隊に殺された、先代の頭の仇」
「けっ、そんな話は…また今度話してやる。ほら、おいでなすった宿敵」
「ひぇ…数万はあるんじゃないすか?」
「大丈夫だ、トロルも来てる…俺達には、俺達が守る場所がある―――」
「…カッコイイこと言わないでくださいな」
「ふん、守るべきもをんがある、だから死んでも離れねぇ…お嬢ちゃんは帰えれよ。ここは、俺達の死地だからよ」
「うん…またね」
「おう、生きてたら会おうな」
薄暗い内部で外は色んな声が飛び交う最中で、奥に進むと…監禁されていた人々が沢山いた。
「ボウズ!? お前ひとりで…あの兵士を?」
「うん、鍵どこ?」
「左側にある柱だ、ボウズ届くのか?」
「大丈夫、僕にはこれがある!」
「鎖…?」
俺は鎖を投げた、吊る下がってる鍵を弾き、監禁された部屋に落ちると、次々に手錠や南京錠を解除していく人々。
「助かったたぜ!」
「んでよ、ボウズは何のためにここに?」
「奪われた形見の剣を…求めて」
「なるほど、よし、二手に分かれろ。俺達はボウズのために剣を探す。半分は兵士を拘束して見張りだ」
「「了解!」」
兵士が住んでる民家には、地下があり深い。
奥に進むほど、湿気が立ちこむ。
汗を流しながら、進むとあるひとつの部屋にたどり着くと…形見の剣で誰かを刺していた。
「―――そんなっ!?」
この時、発した言葉は動揺、綺麗に透き通る刀身は…赤黒く染まっていく―――。
まるで人の血を吸うように、剣は…赤黒く染まって…唾飾りが砕けた。
出る言葉もない状態で俺は呆然としてると、助けた彼らがこう驚き発する
「こいつは…初代国王じゃねぇか?」
「なんで、こんな場所に…」
「しかも、この剣…王の血を吸ってる。剣には意思はないが…これだと、否定出来ない…」
「じゃ…この剣は…?」
「恐らく、人が封じられた剣…かもな」っと発してまもなく、口を挟む様に黒いフードの男性が姿を現して発する。
「あら、見られちゃったか―――」
「だ、誰だ!?」
その声が最後で、俺は違和感を感じて後ろを振り向くと、彼らは剣で貫かれていた。
次々と倒れた視界の先に、黒いフードを被る男性が目に止まる。
「…人がいると思えば、部外者か。お前はなぜこんな所に来た?」
その訊ねに、俺は生唾を飲んでこう答えた
「形見の剣を取り返しにきた」
微かにニヤっと口元を緩める、そしてこう発する
「形見? そんなもんは…とっくにあるだろ?」
「…アレは形見とは違う」
「残念、不正解。アレは、正真正銘の…お前が言う血水の剣だ。まぁ、そんなことはいい、お前が警備隊兵士と俺がつるんでるのを知ったからには…いかして返すわけに行かねぇよな」
黒いフードの男性は、脇差しにある剣を引き抜いて、俺に向かって走ってくる。
俺は鎖を投げ飛ばした、的確に飛ばされた鎖は黒いフードの男性に一直線。
だが、剣で弾かれた壁に突き刺さる鎖。
「そんなもんか? ほらほら、早く反撃しないと…死んじゃうぞ?」
クソみてぇに、煽るのか?
なら、少しばかり乗ってやるか!
振り落とされた剣、それを回避する、連撃を更に回避して、壁に背をぶつける。
か、壁か!?
逃げ場がないよ的な顔で、迫り来るわけだ…鎖の使い道を更に考える。
飛ばした鎖は壁に突き刺さってる、空いてる手をを考えれば、隙間を考える、考えれば考えるほど深さを増す思考。
「おら!」
「くっ!」
頬に剣を掠り、背後の壁に突き刺さる、この瞬間を待っていたかのように俺は、空いてる手から鎖を放ち、黒いフードの片足に巻き付ける。
「なんの真似だ?」
「こうゆうためさ!」
天井にある天秤の様な柱に、鎖を投げ飛ばした、クルクルと回転して止まる。
黒いフード男性は、剣を振りまくる、肩や膝が切れるが、耐えしのいで壁に突き刺さる鎖を引き抜く。
「うろちょろ逃げんなよガキ」
「……」
天秤の様な柱は軋み音を鳴らす、ぶら下がってる鎖と手に持つ鎖が上手く連結するか、分からないのである。
この鎖は、同質物なら《《連結》》する。
つまり投げればくっつき、こちらから引っ張れば、奴を宙ずりにできるはず…!
「何を考えてるかしらんが、あいにく…天秤の柱無数の刃が落ちてくる。どのみち死ぬんなら、なぁ? 」
こいつ最初から、死ぬつもりでいたのか!?
だか、俺には迷いがない、鎖を回転させて投げ飛ばすのと同時に、黒いフードの男性は走って剣を振り抜いた。
俺は胸を斜めに切られて、わずかながら虚空を飛んで、背中から地に着いた。
ガッシャン! っと上手く連結した鎖、俺はゆっくりと立ち上がり痛む胸を堪えて、思いっきり引っ張る。
火花を散らして、黒いフードの男性は勢いよく空中に飛ばされて、逆さ吊り状態になる。
「うまくいっ…たか…!」
力尽きた俺は、次に目を開ける頃には…牢屋の中にいた。冷たい床の上に薄い布生地、硬い枕、そんな寝床に寝ていた。
なんでこんな場所にいるのか理由が分からないが、手錠などの拘束器具は手足にはない。
捕まったのに、拘束してない…?
違反はしてないから当然だよな…?
牢屋の前まで行くと…何処かの警備員が背を向けたままこう発した。
「君? 国王殺害したのか?」
「…してない。俺は誰死んでるのかは分からなかった」
「……」
「そこにいた黒いフード男性、そいつが殺したんだ」
「鎖で宙ずりの奴か…。なんで殺した?」
「形見を奪われて、助けた人々も殺された…だからそうするしかなかった」
「…正当防衛、本来なら君は無罪だか、どうやらその男は、国王の暗殺部隊だ、兵を一人殺したら君は重罪だな」
「な、なんで…?!」
「国には規則がある、その《《規則》》を破れば…殺される。どんな年齢でもね」
「そんな…」
すると、警備員は一つの剣を目の前に落とした、それは形見の剣であった。
「罪がない人を濡れ衣なんていやだろ、なら、罪があるなら罪があるなりに、逃げるんだな」
そう告げて、警備員はその場を去った。
俺はその剣を手に取り、牢屋を切り捨てた、そのまま逃亡するのだった。
俺が逃亡した事により、指名手配犯とされ、紙に似顔絵イラストが書かれた紙が街中にばらまかれた。
俺はそれから逃げるように逃亡、王国周辺の村や街からな離れて人里がない山へと逃げた。
無実なのに、俺は殺されるなんて。
理不尽から、理不尽で…森の生始めて五年と半年、村里向かうために下山した。
その道中、あの白い髪の毛の少女と出会う。
少しばかり背が伸びて、白い髪の毛を肩ぐらいまで伸ばして、それが似合う美形の少女になっていた。
着てる服は相変わらず、村人が着てる軽装着。
俺は少しばかり驚いた顔をする。
「あっ…」
「き、君は…!」
だが、何かに怯えるように逃げていく少女の後ろ姿を見て、何かと考えたら後ろから笑う声が聞こえて俺は後ろを振り向くと、何やら人を馬鹿にして笑い歩く青年達がいた。
「あの女喋らんないとか、まじなんなんだろ」
「まぁ、喋んない分いじめがいがあるなぁ?」
「だろ? 楽しいもんな」
俺は正直、イラッとした、なのでわざと肩をぶつけた、何食わない顔で、俺を向いた瞬間…背中にある剣を抜き放ち、素早い一撃が放たれた。
「がぁぁぁぁぁ!?」
「お、おい…し、死んでる…?」
「恨みがないが、罪がないやつをいじめるなら…許さん」
「ひぃぃぃぃ―――!!」
「この剣は、ゴブリンからもらった品。切れ味は、肉塊を軽く切断…そいつみたくなりたくないならさっさと失せろ」
逃げ腰で、慌てて逃げていく彼の背中を眺めた、俺は鞘に剣を収めると、白い髪の毛の少女が木の影からこちらを見ていた。
「い、生きてたの…?」
「まぁな、また会えると思って。上手く逃げて生き延び―――」
そして少女は、俺に抱きついてきた。
正直驚いて、言葉を失う。
「死んじゃったと思った…」
その一言は、泣きたい感情を抑えて言った発言に、俺は軽く少女の頭に手を乗せて撫でた。
「うぅっ…恥ずかしいけど気持ちいい…」
「オイオイ…俺の手でいいのかよ…」
「うん、ずーっとこのままでいたい」
「へ?!」
「私を放置しないで」
「えーと…」
「わかってくれるまでつきまとう」
「はぁ…分かったよ」
「えへへ、ありがとう!」
この日から、俺はこの少女と過ごすようになる、近くの村に入るには、今の強さを隠す必要があるため、《《わざと弱くなった》》。
それは、貧弱のように怯えたり、敵の前から逃げていたりと様々だ。
でも、このやり方が馴染んでしまい、いつしかそれが体に出るようになっていた。
でも後悔はしてない、彼女《あの子》がいれば、他は入らなかったのだから。
全ては彼女と過ごす日々を優先に―――。
そして、その生活から二年過ぎた日、この日は空の日差しが、よく太陽がちょうど真ん中だった、平穏とはこのことだ。
程よい温度で、春らしい日差しである。
ここは裏世界にある、高い山の頂きで、こっから見下ろすと村やお城などが一望出来る。
「今日も、平和だな…」
草にを軽く咥えている俺は、空を眺めてる。
こうゆう穏やかな日々が、俺個人は大好きだ。
風邪で靡く草木の囁き、それが耳に入るとい心地の良さすら覚える。
そんな場所に俺は寝転がってると、赤いチェック柄のスカートと白いワイシャツみたいなのを着てる少女がゆっくりと歩き現れる。
俺の側まで来てこう発する。
「ラッシュ」
「ん?」
「隣に座ってもいい…?」
「うん」
「ありがとう」
彼女の名はルミ、白い髪の毛で奥深い緑色の瞳が特徴的である。基本無表情だが、まぁ、口数は単発で、余り喋らない、故に彼女も「無口」っと弄られて、無表情だから誰もルミに近寄らなくなった子。
知らず知らずの内に、村から出て行っていた、それは村の人さえ分からない話だ。
俺は、力も器量もないダメな人だから「村一の歳弱」って言われてきた、まぁ、それは置いといてだ、出会いは魔物討伐から逃げ出して、昼寝して目を覚ますと、彼女がいたのだ。
あの時、互いに驚きおでこをゴン!っとぶつけたが。まぁそれがこうゆう感じになった感じだな。
「ラッシュ」
「うん?」
「私と付き合って」
「あー…いいっ!? え? 今なんて言った?」
気づけば、あの日から更に五年間共に過ごした、相棒である、年齢は十六歳…この世界では結婚適齢期で、結婚すれば夫婦とみなされるのである。だが、相棒である以上そっから先の話はまだ考えていなかった。
「ラッシュ?」
「…まだ早くない結婚」
「ふえっ!? ち、ちょっと…まだ、そんな心の準備が…付き合うすっ飛ばして結婚!? はわわ…」
「あ、すまん…今の冗談…」
「むーっ!!」
ルミは頬を膨らませてる、ぶーっと言っているようだった。
俺の答えは決まっていた、似たもの同士で、少なくても俺の経験的には、二度はない出会いだろうから。
この出会いと、この子を大切にしようっと俺は強く思った。
「まぁ、不意に告白は良くない…ぞ」
「答えになってないじゃん!!」
「いやぁ…恥ずかしいから」
「ふーんだ、可愛く言っても許さないんだから!」
俺は不意にルミの頭を軽く撫でた、少し目をぱちくりしてルミは、無言で俺に抱きついた。
「反則の罰…!」
「甘えん坊さんだなぁ〜よしよし」
「ち、違うもん寂し…いやなんでもない!」
「強がりまでいって、なんだか愛しいぞ?」
「はうっ!? こ、言葉責めしても嬉しくないんだからね!?」
「はいはい〜」
その抱きしめは、力強くて、余程好きなのかと実感するぐらいだ。
こんな時間が、永遠と長く続けばいいのにっと俺は小さく思い描き、俺はボソッっとある言葉を発した。
「ルミ大好きだぞ」
「ふゆっ!?」
「ルミ…頭から白い煙が…」
「き、気にしなくていい」
「気にするなと言われると、気になるんだが」
「だ、ダメ…今顔見ないで。このままで、お願い」
「しょうがないな、ギュッしてやるか」
「うぅぅぅ…恥ずかしくて溶けちゃう…。も、もぅ…不意打ちすぎるよぅ…」
それから、俺達は魔物を狩ったり、互いにいる日々が五年よりも長くなり、そして、付き合って三年…十九歳になった俺はルミに想いを伝えた。
「俺と、結婚しないか?」
「…私以外の人、沢山いい人いるよ」
「君以外、考えられないよ? てか、付き合ってる時、何度も言って来たなそれ」
「だって、私みたいな人…ダメじゃん。それで君の幸せを奪いたくないの」
「ルミ、君といるだけで俺は幸せだよ」
「…っ! も、もぅ…そうやって私を困らせて」
「はいはい、で、どう?」
「決まってるじゃん…貴方と一緒に生きて行きます」
「…改めて言われると、恥ずかしい」
「へぁっ!? それ言わないで、私まで恥ずかしくなる…」
「「……は、恥ずかしいぃぃぃぃ!!(ハモってる)」」
その時のルミの表情は、頬を赤く染めて照れ笑いしていた、いつも以上な可愛さに、俺の心まで踊った。
やっと手にした幸せを、俺は涙が出るくらい嬉しかった。
それから、1年過ぎた頃、ルミのお腹は膨らみ医者に見てもらうと「子がいる」っと告げられた、そうルミは妊娠していたのだ。
俺とルミはおおいに喜んだ、それは我が子が宿り愛しの人から産まれるのなら、俺は跳ねる喜びで待ち望んでいた。
結婚式を行ってなかったが、それはそれでよかった、ルミといる時間が大切だったから。
ようやく「父親」になれると、俺はそう思えたんだ―――。
それから数日後である、村の奥の山に「バハムート」と呼ばれる、魔兵器と呼ばれる魔力動力で体を動かす飛竜型の機械兵器だ。
それが発見されたので、王国に被害が出る前に村総出で、対峙を検討された、が、即決した村長は部隊を編成を行っていた。
当然、幸せだった家庭にも、その影がしのびよる。
「ラッシュいいか?」
「…何の用だ」
「バハムート狩りに参加しろ」
「…は?」
「拒否すんなよ、《《村》》を守る為だ」
「あ、おい!? 言うだけ言ってかえりやがった…」
「ラッシュ」
「うん?」
「悲しい顔しないで、貴方が悲しそうにしてると私まで…」
「大丈夫だよ、どうせ逃げるよ俺」
「さすが、ラッシュ」
「お、おい腕に抱きつくなよ」
「えへへ」
その時のルミはむちゃくちゃ可愛かった。
狩り当日、俺はとりあえず準備はした
だが、何故だろう…この胸騒ぎ…?
俺は手にしていたマグカップを、手を滑らせて割るほどである。
「ラッシュ…」
「な。なんか変なんだよ」
「何が…?」
「もう君と会えなくなるようで、胸が苦しくなる。それに…嫌な予感するんだよ…」
「………」
そう発した俺の目からは涙が溢れた
理由も分からないのに、なんで泣いてるのか、俺には理解できなかった。
ルミは優しく抱きついた、理不尽な事に、俺の頭を撫でた。
「大丈夫、いつでもあなたの傍にいますから」
「ルミ…ッ…ルミ――――ッ!!」
「はいはい、泣かないの」
久々に弱い所を見られた、幼い頃からずーっと俺の知り合いで、生きる人生の苦を支えたルミ、俺の婚約者の最愛の妻で守りたいっと思った。
「頑張る、逃げる方」
「またまた…でもまぁ、それでもいい。私はずーっと貴方の帰りを待ってます」
「愛の告白?」
「も、もうっ! からかわないでよ〜、夕ご飯抜くわよ?」
「それはマジ勘弁…すんません…」
「許すよ〜」
ルミの笑みに元気付けられ俺は意を決して、バハムート討伐へと行ったが…。
山に近づく次第に、空に闇雲が発生し、雷と激しい雨が降り、雷の影に写し出された巨大な飛竜の影に、俺は予定どうりに戦前離脱する様に逃げた。
「ルミ! 今帰る…!」
その逃げる最中、俺は、降り注ぐ雨を拭い、水溜まりをパシャパシャと、ふみ走るが…街が一望出来る高台から、俺の目に止まるある光景が入り込み眺め立ち尽くしていた。
あ…あぁ…うそ…だ…ろ…?
嘘で…あって…欲しい…
目の前でみていたのは、燃え盛る街。
手持つ剣は力なく離され、地面にカランっと音を鳴らして落ちる。
戦前離脱したとはいえ、信じ難いと思った俺は街を見に行けば、火の海の化した焼け野原と、俺が暮らしていた街は、無惨にも赤く燃えていた。
「…ルミが心配で《《逃げてきた》》のに。なんで、どうして…? 村が燃えてんだよ―――」
ラッシュの仲間達は、攻めてくる魔物と戦い応戦していた、村に被害を出さない為にだ、が。
おかしな事に、《《国を守るため》》であった、しかしだ、今見てる光景は―――。
違う! これは…なんかの間違いだ!!
俺は慌てて村に急いで走り帰る、だが、自分たちが住む家は――燃えでいた。
無惨にもパチパチパチと音が鳴る、俺はその光景を見ながらこう口にした。
「《《村》》を守るんじゃなくて、《《国》》を守る。だから…村は見捨てられた…のか…? 生きてるなら、返事…してくれよ…ルミ…君を幸せにするって…俺は…俺は、ルミに約束したじゃないか――」
伸ばした手の先は、豪華の火が吹き荒れる。
少年の心には、大きな風穴が空いた、失意、失望がじんわりと心を締め付ける。
《《どうして》》? っと言う言葉が脳内にループする。
心拍数が上がり、鼓動が耳に響く。
負の感情が屈辱的にも、心を染めあげる。
瞼からこぼれ落ちる雫は、地面にポタッと落ちて湿らせた。
怒声も咆哮も、轟音も馳せるて聞こえる戦場―――。
そんな時に、村一人はラッシュに声をかける。
「ラッシュ! 剣を持て! 《《戦え》》!!」
「……何を戦うんだ。もう、なんもないじゃないか…」
そう仲間の呼び掛けの声すら、少年ラッシュには届かなかった。
絶望に染まり始めるラッシュ、愛しい恋人すら、奪われたこの世界で《《何を守る》》のかと疑問を抱き始める。
心拍数がさらに跳ね上がり、異常を知らせるかのように体が熱く燃えてるようだった。
「おい、ラッシュ! 聞いてんのか?」
「……」
そう声を発した仲間は、ラッシュの肩に触れた瞬間、彼の瞳には光を宿さす虚な眼差しで、仲間を見る。
気を引けたその仲間は、後ろに退り、怯えた表情を浮かべてラッシュを見ていた。
そう、ラッシュは…堕ちてしまったのだ。
母の患った病、それが俺に蝕んだ姿だった。
「守る? って《《なんだそれ》》―――」
反対の目の色は白ではなく黒く染まり赤い瞳になっている。
それだけじゃない、半身が黒く沸き上がる
黒い謎の霧が彼の体から発していた。
この村で最近人型の影魔物が、彷徨いていた、だが、《《直接人に魔物》》が吸収された様なその姿に彼は驚かずには、いられなかった。
そう、ラッシュは人間を捨てた獣になってしまったのだ。
「ラッシュお前まさか…?!」
「《《守る物もなければ、戦う必要は無い》》…。俺はァ…俺はァ…間違ってたな…」
ラッシュの声すら、誰かが発したように二重かかった声、ラッシュは落ちた剣を拾い上げて、ニタァっとした歪んだ笑みで仲間に振り向き立ち上がる。
俺の心はどんどん黒く染っていく、堕ちていく、綺麗事を並べてるヤツらが…憎い。
「ら、ラッシュ…?」
「俺にァあるのは虚、なぁ? おれの《《守る》》ってなんだ?」
「な、何を言ってるんだ? 《《お前の大事な嫁さん》》だろ」
「…てめぇらが奪ったんだろ?」
「!?」
『その表情、マジなんだな。ヒャッハーテメェェノ肉塊を切り刻んでやるゥゥゥ!!』
心拍の鼓動がいつの間にか、消えていた…弾けたのか俺の心臓。
まぁいい、お前たちが犯した罪、そして、ルミの何がお前に何がわかるんだ?
人を散々最弱とか言ってたくせに、次は手のひらを返した発言かよ。
俺の嫁も、この村の人から散々酷いこと言ってたくせによ…。
鼓動が強まり、知らない誰かに耳に囁かれた一言、「光ガアル世界なンて不要DA』。
はっとした俺は、その《《言葉の意味》》に理解する。
そうだ、そうだよ…《《全てを真っ黒く染めちゃえばいいんだ》》世界を全てを―――。
「ヒヒヒッ、ヒハハハハ―――!!」
「…くっ、俺達は何を間違えたんだ?」
『全テダヨ、生きてるおまぇがなァ!』
「陰謀をバラせば…お前を殺す事だ。だが、もう…狂わせちまった。何もかも、村長…あんたは一体…」
「人のせいにするのは、良くねぇな!!」
「ヒィィィィ―――」
そう思えば早い…《《この怒り》》を放てば全て済むんだ。
ヒトガ、憎い、憎い、憎い憎い憎い憎いニクイニクイニクイニクイ――――。
殺意の囁きは、怒りをさらに加速させた。
「…殺す」
「ラッシュ、恨まれてとうぜんだけどよ…。俺を殺すまでは――」
「殺す価値あるだろなぁ? 自分だけ否定的で逃れようなんて…「弱者が考える事」だ」
「うぐっ、都合いい話見たくは行かんか…」
「あぁ、だからこそお似合いだ「死」がよ」
鼓動と心拍が速いせいか、体が燃えるように熱い…が、気分は清々しい。
感情的にもなれない、感情的過ぎて…無表情になり、なんも考えられずに吐くのは「死」か「殺す」だけだった。
雨足が強まる、激しく降り注ぐ、上空はゴロゴロと雷を鳴らす。
「…この武器は、対人間用の剣。つまり…お前を簡単に殺せるんだ」
「その刃は…ゴブリンの―――」
「そう、水切りって言う水を斬る様な剣。その鋭さは兵士でさえ扱えない危険な品物、これは俺の《《形見》》…復讐にはちょうどいい」
「復讐…? なにを?」
「寝ぼけてんのか?? お前達は俺が殺す、大事なもんまで奪って、平然と生き続けるとか、許せねぇはず…だが、俺は復讐のために振るう刃じゃない、「恨み」の刃だ」
歪んだ笑みを滲ませたラッシュ、かつての優しい顔はそこにはなかった。
憎い、許せない、お前たち村人は―――っと内心がループして、「殺せ」っと囁く耳元。
怯えきった村人は、失禁漏らしてる、だが、俺の腕はもう泊まることは無かった。
『シンデ償え―――!!』
「ラッシュ!? やめろ!! ああああああああぁぁぁ――――!!」
あぁ、鉄血を鼻腔を突き抜け、肉塊を切る感触、不気味なほど気持ちがいい…。
この快楽感、他の奴らにしたら同じなのだろうか…?
黒く染った感情の意思で、俺は彼を何度も何度も刺した、悲鳴が響かなくなった、つまらない…。
気づけば、気持ちが満たされてる、おかしいな、こんな感情わかないのに―――。
仲間を一人を足元に転がした死体、これで満足するラッシュでは無かった。
血飛沫を頬に着いた血液を、下で軽く舐める
鉄の味を感じ取り、目をギラっと光らせラッシュは強い要求に囚われた。
この村には…生存者なんて不要…
ヒヒヒッ…順番に斬り殺してやるよ…
「血」である、血がもっとみたいと言う衝動に狩られしまったのだ、狂うように俺は次々と人を見つけてはぶっ殺した。
高揚感、もはやそれしかなかった。
「ぐああぁっ…!」
「あるじゃねぇか、《《血に飢えた》》叫び声が、俺の心で叫んでやがる。足りねぇ…もっとだ…もっと…殺してぇ、恨みの牙を、村人全員に思い知らしてやる」
歪んだ思考と黒く染った感情で、俺は周りなんて見えない、ただあるのは、殺意と楽しいと言う感情――。
魔物、人…生きてるものを全て手に掛けて、絶命させた。
だが、まだ足りない、《《いくら殺しても満たされない》》。
いくら血を見ても、赤く染った世界を眺めても、狩り尽くした。
返り血を浴びても、血溜まりを踏んでも、気持ちは満ちることは無い。
「まだ足りねぇ! まだ《《殺し》》足りねぇぞ!!」
埋めようが無いこの《《絶望》》は、ラッシュをどんどん狂いさせる。
やがて我に返った俺が見たのは、しがねの積み重なった死体の上に座っていた。
手や顔に赤い血がベッタリ付着、空は異様に晴れて雲から射し込んだ日差しは、俺を照らした…改めて自分は実感した。
こんなことしても気持ちは晴れやしなかった、ただ単に何をしていたのかと、言うばかりに震える手を見て思う。
「はは…なんだよ…これ…?」
絶望淵に見た光景は、《《孤独》》。
体を動かしたら死体の山を転がるように転げ落ちた、ゆっくりとふらつきながら、自分が住んでいた家所まで行った、家は丸焦げでドア前にはルミが身につけていたネックレスが光り輝いていた。
それを拾い上げて、大事そうに俺は握った。
ようやく涙が、頬を伝わり地面に落ちる。
望んでたのは復讐でも恨みでもなく、《《これじゃなかった》》っと言わんばかりに俺は叫んだ。
「違う! 違う! 違う! 違う! 違う! こんなんじゃない! こんなんじゃない! こんなんじゃない―――ァァァァァァァァッ!!」
気持ちが、感情が、世界が、闇堕ちしていく、俺の魂は…黒い深い闇の龍に狩られた。
否定も後々、これは「復讐」だっと、染め上げる心に俺は否定を否定した。
「俺は…俺はッ…ただ…失いたくなかったんだ…!」
幸せなんて、事のひとつで奪われるのならば、俺はこの牙を尖らせて、その腐りきった幸せをを切り刻んで、盛大に、鮮血を子の地に…さぁ、復讐の始まりだ―――。俺は俺の《《何かと》》入れ替わった気がした。
『ニンゲンのメンタルなんて脆い。ヨウヤクソマッタ…絶望二。クックック…フハハハ―――!!』
「最弱無双」、それは俺が起こした敵味方関係なく殺した罪。悲しいく切ない話。
裏世界の脅威になる、最弱は生き延びていたと村人がそう言い伝えた。
そんな彼は絶望に狩られながらおよそ十年後の裏世界、この地には幻狼騎士団と呼ばれる、王国公認のひとつの軍隊があった。
表世界よりかは、陽射しは多少あるものの薄暗い、簡単に言えば曇り空に射す陽射し。
こうなったのも、裏世界の住人が死んでゆくのが増えたので、負の感情が働いたと言われている。――原因は絶望の最弱無双による果てしなく村人を狩るので、王国の周りの村は全て…人が絶命してしまい滅んでしまったからである。
故に、ラッシュは指名手配犯として王国や周りの国々に情報を共有した。
だが、他の王国は…滅んでしまった、ラッシュがあまりにも強すぎるのである、誰も止められないまま十年の月日が過ぎていたわけだった。
街並みは…王国内の敷地だけ盛んである、表世界とは違いお城などが普通にあり、ひとつの王国であった。
見渡す外の世界は、自然豊かな緑色の視界しかなく、王国としてこれは恥じるべきだろう。
なぜなら、《《規制》》をかがけた唯一の王国ともいわれて、反感買う奴らは処刑されるのである。
逃げた人々が、村を作り王国の命令どおりに動いていた、それがラッシュが知った真実の元凶でもある、ある意味、恥じるべきだろうと言うよりも、反省して村を無くすのが一番だったのだろう。
その手を省いたのが、ラッシュの驚異的な行動力、王国は支持率を伸ばし続けた。
今や、知らない人がいないくらい知名度が上がり、人が住み始めた…国王からしたらこれはいい気分であろう。
そんな最中で祝福の宴があった。
それは、国王と王妃の間に生まれた小さな赤子、髪の色は赤く左右の目の色が違う、オッドアイ。
国王譲りではなく、城下町に暮らしていた母君に瓜二つであった。
そんな、幸せな時間はそんな長くは持たなかった。
「伝令! 北側の王国が滅びました!」
「伝令! 南側流水海峡も滅びました!」
伝達役が、毎日王国の部屋に来るようになっていた、無理もない彼は、この世界では最大の敵である。
北王国が滅べば、降るのは赤い雨、流水海峡が滅べば黒い水が流れる。
そして、第三となるこの王国あるのは「光の玉」という、空の光を操る宝珠がある。
それを破壊したら、この世界は光が宿らない暗黒の世界へとなる。
それを何としても。阻止したいのが王国の願いであった。
彼女が生まれて半年の頃、その王国に忍び寄る影が一人現れる。
目の下を黒くクマを寄せた少年、その存在は既に国王には通達が届いており、周りの国を《《滅ばせた》》人物の名はラッシュ。
狙いは、この世界の陽を操る「光の玉」という宝珠が、この王国にあることを嗅ぎ付ていた。
意のままに操れる、その宝珠を壊す事によって世界を《《暗黒の世界》》にしようと企んでいた。
王国には二人の門番がいる、一人の兵士はラッシュであることを認識してる。
特徴的なのは、「目の下のクマ」をである。
それ先わかっていれば、大丈夫であった、が。
「貴様…ラッシュだな?」
「ククッ…だとしたら、どーする?」
「貴様をとら―――」
「おっと、手を滑らせちゃった―――」
胴体を真っ二つに切断された兵士、もう一人の兵士も槍で攻撃するが、躱され持つ腕を切断されてしまう。
「ぎやぁぁぁぁぁぁ――――!!」
「ほら。もっと、嘆けよ」
絶叫の次の発する言葉は、兵士から無かった。
「おしまいかよ、つまんねぇな…。扉の向こうには何があるんだ…?」
ラッシュは王国の木製の扉を押した、するとボウガンを構える兵士が沢山いた。
「掛かったな! 撃て―――!!」
その号令により、ボウガンの一斉射撃が、ラッシュに向かって放たれた。
だが、全てを《《その身に受けた》》。
放った矢は、数百本分に値するが、ラッシュは倒れずにただ立ち尽くす。
さすがに、兵士たちは顔色が血の気がない青冷めた顔になる。
「は? なんでよけないんだ…?」
「…う、嘘だろ…?」
「なんで、倒れないんだ…!?」
様々な声が飛び交う最中、耳に小指を入れて軽く耳を描くラッシュ、退屈そうな表情を浮かべていた。
「あー、全然《《痛くねぇ》》。こんなもんは《《痛さにも入らねぇ》》な―――」
そう発した直後、ラッシュは剣を投げ飛ばし、一人のボウガン持つ兵士の頭に突き刺さる。
「ぐぁぁぁぁっ!?」
号令担当の兵士が目線を落とした刹那、目の前にいたラッシュは兵士に突き刺さった剣を引き抜き、次々と倒して行く。
「さぁさぁ、盛大な《《血祭り》》を始めようじゃねぇか―――!!」
動きは素早く、手技も中々の速さで兵士たちを翻弄しながら切り倒していく。
「お、押せ! 押せ―――!!」
「ラッシュを仕留めろ――!!」
兵士達の数が減り始め、動揺しまくる騎士団達の表情、もはや…その動きは人並みをはずれた動き―――。
「ば、バリスタを用意しろ!」
「しかし!」
「常識がないなら対抗する」
「…わかりました!」
鉄砲を乗せた木の人力車を数人押しながら、砲口をラッシュに向けた兵士達、導火線に火を付けて放つ―――。
「おっ―――」
ドンッ!っと重低音が鳴り響く、白煙が舞い上がり、破片がパラパラと落ちる。
硝煙の匂いが限りなく漂う空気中、静まる兵士達は…その白煙を眺めた。
「……」
白煙の煙を切り裂く様に、一本の剣が飛んで、兵士の1人に突き刺さる。
「くそ…生きてたのか…!」
「どうなってんだよ…あいつ…!」
そして、次に放たれたのは黒色の鎖、色んな方向から飛び交い兵士達は驚き見渡す。
「術式・解放…黒鎖の薔薇!」
黒色の鎖は薔薇のように棘を作り、突き刺さった兵士から剣を引き抜くラッシュ。
「さぁ、問いだ。何故先に剣を投げたでしょうか―――?」
兵士達は生唾を飲んで、一人の兵士は答える。
「…殺すため?」
「当たりだが、読みが《《足りないな》》。この剣の柄は、黒色の鎖と繋がっている。 これを何を意味するか…《《なんで薔薇》》って意味はわかるか…?」
「…まさか?」
一人の兵士は察した、逃げ場がないこの鎖、空間と薔薇…そして剣が意味すること。
ラッシュはニヤァッとしてこう発した。
「血の薔薇となる、そのトゲから発生する一撃は小さな無数のビーム線の様に襲いかかる」
「…に、にげ―――」
「逃がさないよ。解け――黒鎖の薔薇」
黒鎖の薔薇から赤いビーム線が放たれ、兵士達に向かって飛び交い、絶命を果たす。
それを国王は、城下町を双眼鏡で覗き込んでいた。
当然なま唾を飲み込むみ、焦りを顕にしていた。
「ば、馬鹿な!? 五万ある兵力を《《たった一人で》》殲滅させようと言うのか!?」
「国王通達です、第一部隊が壊滅しました!」
「なんという…ぐっ。さすが「最弱無双」と呼ばれるだけある…!」
まさに無双と言ったような、凄まじい戦い方に、幻騎士団は徐々に追い詰められる。
悲鳴と絶叫が足跡を辿るように、国王に近づいてくる、幻狼騎士団は十部隊あり、有数の戦力とも言われていた軍隊は、半数以上の死者を出した。
その絶望的な叫びを聞くほど、苦虫を奥歯で噛みちぎる様な苦痛を、国王は滲ませていた。
しかし腑に落ちないのがある、それは「術式解放」であった、そもそも…その技は、神器と呼ばれる自然体で、出来た武器で使われる事が基本的にこの世界では馴染んでいた。
ただ…刃物が殆どだが、鎖は聞いたことがなかった。
疑問を抱きながら国王は決意して、赤子をある男に託す。
「娘を連れて逃げろ」
「し、しかし…」
「お前も《《軍人》》なんだろ? 分かってくれるよな?」
「無論だ、ただ生きろよ。この子が大きくなる頃には俺は孫を見る感じになる」
「笑わせてくれる、さぁ行け!!」
「イエッサー・キング」
軍人は、その赤子を抱いて逃げた。
国王は死を覚悟した眼差しでいた、それに背く事は軍人には出来なく、赤子を抱いて軍人は全員撤退を始めた、その背中を見送ることしか出来ない国王は静かに目をつぶり、1人語り出す。
「最悪な支配人…。我は過ちをおかした、それは貴様のような刃向かう牙を、自ら作りだしてしまった事―――。我はそんな事をして許されるとは思わね、何故なら、貴様の宿る牙は、禍々しいほど鋭く、肉塊すら蝕んで突き刺さるだろう。それを我は受けなければならなぬ。そして―――その眼差しに映るのは光か? 闇か? それとも、復讐の矛か…最弱無双ラッシュよ。貴様はこの問いをどう答える?」
ラッシュはクソつまらなそうな顔で、階段を登りカイラスの部屋へと辿り着く。
「やっとお前を殺せる、国王カイラス。それだけで何年時が過ぎたかはわからねぇが、1人語りなんて、惨めだなぁ?」
「好きでしたわけじゃない。我は我の定め、それに抗うのが国王ではないか?」
「どうでもいい、お前を殺せば済む話だ」
「そうか、ならば我も全力で…戦わせてもらう」
国王は飾ってある、白銀に光る剣を手に取り
走り出す、が、ラッシュから放たれた鎖は一直線に飛ばされ国王の心部を貫く。
「がはっ…!」
「チェックメイトだ」
意識が飛びけたカイラスは鎖を両手で掴んだ、にたぁっとした笑みを滲ませて、こう言い放つ。
「大海氷河」
黒鎖は氷始める、ラッシュのても氷始めやがて全身凍りつく。
ラッシュの足元は濡れ始めて、穴が開き落ちていく―――、カイラスも引き摺られながらその穴に落ちてしまう。
…海か、浮遊力で浮くはずのこの氷は浮かない。
上からドボンっと落ちてくる国王、ぶくぶくとしながら海の底へと、一等先に落ちる。
手に持つ鎖がグンッと下の方に、引き落ちる感覚を覚える。
なるほど…国王が重りか、ならば―――。
落ちた先は、海の中、ラッシュは自力で氷を砕き、体を拗らせてスクリューを巻き起こす。
国王は洗濯機の中にいるように、ぐるぐると回転する。
鎖を引き裂き、カイラスを四方の彼方へと飛ばし軽くなった身体の勢いで海面から抜け出る。
ザバァッと落ちた穴から上がるラッシュ、どうやら穴は塞がってないようだ。
「…沈むがいい、カイラス―――」
その穴に、剣をゆっくりと刺す、沈まずその空間に亀裂がは入り砕け散る。
王国の術式は、凍らせて海に道ずれにするという技である、穴は別空間で海と繋がっており、自力で抜け出すのは難しいとされていたが、ラッシュからしたらそんなのは、お子様レベルの術式なので容易く抜け出せる。
とはいえまだ伏兵があと一人いると、ラッシュの感覚がそう伝えた。
「出て来いよ、隠れても無駄だぜ」
「……」
か弱そうな少女が柱からラッシュを見ていた、かなり脅えている顔で体をふるわせていた。
白い髪の毛で、緑色の瞳をする少女を見てラッシュは目を大きく開きこう発した。
「る…ルミ…なの…か…?」
「…ち、違うよ…」
「……だよな」
「えっと…ラッシュさん、なんでそんな悲しい顔を…してるの…?」
「…好きな奴とそっくりなんだお前。それに、お前はなんでここにいるんだ…?」
「お礼を言いたくて」
「お礼?」
「私…ずーっといじめられていたの…。でも、君が蹴散らして私を助けたから…ありがとうって言いたくて」
こんな酷くて残酷な事をして、感謝を口にされたラッシュは…酷く動揺した。
何かが焼かれていくような感覚、もがき苦しんむ声を上げる――――。
「…大丈夫ですか?」
「ぐぁっ…! だ、大丈夫だ…。ただ、なんで感謝されただけで…こうなるんだ…?」
少女は小さな声で、ラッシュにこう話す
「…私知ってる、絶望の淵を見たら「影」がそのからだを蝕むって。その目が黒い右目と黒色ぽい肌が特徴なんだ…まさに今の君見たくね」
何となく今の自分がよくわかった、が、どうもこの少女はあのルミ見たく見えてしまうのだ。
この…喋り方と言い…俺が全部知ってるやつじゃ――――。
そう思えた、だが…変だ、《《周りを見渡すと似た子》》が沢山潜んでいた。
「…お兄ちゃん、私達の二千五十二番の検体と結婚したんだよね?」
「…何を言ってるんだ…?」
「私達は禁忌術式の分子体、オリジナルはもう生きてないの」
「検体と言うのは、私達の呼び名。名が無い存在で、コード番で呼び合う」
「そして、国王に囚われて兵器とされていた、もちろん情報は君が身に付けてるネックレス」
「あった出来事が、日々共有されてる。だから、私達は君の愛人とは違いますけど…そこの子は、脈アリです」
「…ははっ、なんなんだよ。お前達はなんなんだよ!!」
ラッシュは激怒した、それは《《造られた存在と結婚》》したと言いう、嘘か誠か分からない話をされたからだ。
「……9999番」
「はい?」
「貴方が受け継いだ二千五十二番《あの人》の意思を伝える為に、彼に付き添いなさい」
「え…? でも、《《私以外》》は?」
「…私達は、この世界には数の限りはいます。ここで死んだとしても、託さないと」
「……ぐずっ」
「泣かないの、彼を頼んだよ」
「さぁ、逃げるのよ!」
「うんっ!」
カンストコードは、走ってお城から離れた
一方、王国直属の幻狼騎士団の直属の第七部隊。
表世界を憧れて作った、最新部隊で、逃げる準備を開始していた。
「逃げるぞ、撤収しろ!!」
「王国の国王は滅んだ、我々は第二の基地のネガスタウン拠点へ向かうぞ!!」
「了解!!」
第七部隊は、車に乗り込み次々と、王国から去り始める。
それから、逃亡して間も無く、王国は堕ちた、薄い雲に目掛けて、黒い柱が空に向かって貫く―――。
「おらだつの…王国が…」
「感傷に浸ってる場合か、我々には託されたんだ…この赤子を。我々の希望だ」
「だよな…そうだよな!!」
次第に、光は消えて真っ暗の世界となる。
車のライトを点灯させて、ネガスタウンへの道筋を走った。
王国はターミナルよりも南にある、道筋からして片道一時間程でネガスタウンへ辿り着く。
順調に、一時間を超えターミナルを通り過ぎると…黒い人影が徘徊していた。
襲われたのだろうか? 人々は路頭に倒れていた、それだけじゃない、周りから来る《《殺気》》をバリバリと感じる。
「だ、団長これは…?」
「影人、本来なら影を好む存在。人を襲うのはないのだが…、見てわかるが戦うしかない」
「うぅ…王国がぁ…」
「沈むことないべさ、おらだちがやればなんとかなるっちゃ」
「方言で何言ってるかわかんないけど、なんか響いた!」
車から降り立つ、第七部隊はターミナル周辺を次々に制圧、その周辺を拠点とした。
そして、それからしばし平和が続き―――十五年後。
「そりゃ―!!」
「グギャァァァァ―――」
「今日も掃除終わり!」
「元気だね…あと一年で表世界に行けるけど、何してみたい?」
「おじさんいたんだ、もちろん恋愛」
「い、意外とビッチ…」
「ビッチじゃないもん、ほら、ここおっさんしかいないから、少女漫画みたいな人いないの」
「夢と希望のスパイラルになりそう」
「嫌味かな?」
「いや違うよ…君が幸せならいい」
「ありがとう、さて今日も狩りまくるよ!」
「いや、もう百匹は駆逐してる…」
「まだ足りないもん」
赤毛の少女は、暗く染った裏世界で、現れる影人を倒して、被害を未然に防ぐ仕事をこなしていたのだ。
「最弱無双」は、この十五年間は行動がなく比較的に安定していた。
もちろん、カンストコードは…闇の中をさ迷い続けてラッシュを探す日々に、明け暮れる毎日をしていた。
「私は…彼に謝らなければならない。好きだった人を壊す形に、私はなんで苦しいの? って、あの人が毎日頭を過ります―――」
その一年後、少女は旅立つ時、裏世界は再び闇に染る―――。
少女を送り出した軍人達は、攻めくる闇が来る前に表世界へと通じるゲートを破壊した。
「死守しろ、《《あの子が俺達の希望の光だ》》――――!!」
「「おぉぅ――――!!」」
軍人達は、最後の最後まで抗い…闇に打ち勝つ事が叶わず…死んでいった。
これにより僅かな光が潰えてしまう、黒色の裏世界は、光すらない、その闇の深さは表世界へと干渉をじわじわと、足跡を辿るようにじわじわと…蝕んでいた。
「さぁ、始めようか、俺の絶望を世界に見せてやるよ―――」
約2万文字の短編を書かせていただきました!
読み終わるまで、長かったでしょうか?
今回はたまに描きたくったって感じに書いたら、なんかすごく書き込んでしまいました。
これの制作は8月の中旬頃でしたかね…沢山描きすぎていつ出すか悩んだのです。
まぁこのまま書いちゃえばいいとか思い、ようやくこの日を迎えられました!
今回はダークファンタジー、色々と自分なりに考えてみたらこうゆう系の方がいいのかなって思った次第です。
村人は国王の命令で、その指示を受けて彼をねじ曲げてしまうんですよね、もちろん王国に住んでいた人達が逃げ出して村を作ったけど、国王はそれを許さなかった次第でこのような話になりました。
しっかし、彼女ルミは禁忌術式に触れて分身体が沢山出来上がったその一人ってのも書いていて驚いちゃいました。
でも、やっぱり予想出来ないのが小説的思考力って思いますかね。
読んでいただきありがとうございました!