カナカナが泣いている
心の友へ~
カナカナが鳴いている。
静かな森の朝。
昨夜の夜更かしのせいでもう少し寝ていたい。
夜明けと共に始まるカナカナの合唱が眠りをさえぎる。
ああなんて、この世界は非情なのか。
嗚呼なんで、人々は歩き続ける。
それで何が変わるというのか。
それが何を変えようというのか。
生活?それは生きる術。
社会?情報操作があるだけだろう。
自然現象?対峙する事などできぬまま。
愛?所詮嘯くことばかり。
断絶された想いを胸に、遠ざかるはるかな夢の雫。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の断りを表す・・・唯夢の如し。
ああ、もうコリゴリだ。
嗚呼、言葉では言い切れぬ悲壮感。
ああ、僕をこのまま遠くへ連れて行っておくれ。
嗚呼、明日のことなどもうどうでも良い。
ああ、あの頃に戻りたい。
嗚呼、遠く霞んで消え行く記憶。
いつしか再び眠りについた。
静かに呼吸だけを連ねて行く。
人は何で生きているのか。
人は死ぬまで暇つぶしをするのか。
そうかもね、人生は大きな暇つぶし。
忙しく駆け回っても人生。
それを止めてしまえばいいだけ。
どうせ未来なんて誰にも見越せない。
それでも時は止まらない。
焦っても人生。
暇つぶしも人生。
ならば、君はどれを選ぶ?
であれば、僕は何を望む?
ああなんて、遠い道のり。
嗚呼何て、遠くない未来。
いつまで続くのだろう、この長雨。
何処まで行くのだろう、宛てのない進化。
ああいつまでも眠っていたい。
ああいつまでも空想していたい。
ああいつまでも独りよがりで居たい。
孤独なんて人の決めた言葉遊び。
人生なんてだれもマニュアルを持っていない。
真っ白なキャンバスに描き出す勇気。
そしてそこから未来を描き出して行く。
立ち止まることもあろう。
それでも宇宙は回っている。
さあ、なにから走り出そうか・・・
ああ、カナカナが鳴いている。
いつもどおりに鳴いている。
嗚呼、カナカナが独り泣いている・・・
~fin.~




