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38話 確信

 抱いた不安はたちまちに膨れ上がり、俺の足を再び教室の外へと駆り出すのに数分とかからなかった。

 教室を出る直前、エマに声を掛けようか少し迷ったが未だにエマは女子たちから質問攻めにあっていて、早々に連れて行くのを断念した。


 アリアは一度先生たちに囲まれた際に魔法で姿をくらまし、体育倉庫へと移動している。


 俺の記憶が正しければアリアはその場から移動する類の魔法は使えなかったはずだ。

そもそもエマのようにオールマイティに魔法を使える奴がアルガルドでは珍しいのだ。


 これらのことから王国の秘宝である『リオスの鉤爪』を所持しているとみてまず間違いないだろう。そうなるとことは一刻を争う事態だ。


 いくらセインに人一倍敬意を持って接しているアリアといえど、その根源となるものはカルサス王国への忠誠心だ。

『王女』という地位をかなぐり捨ててこの世界へとやってきたセインの思いより、国王の命令を優先するに違いない。


そうなると説得を諦め、力づくでセインを連れて帰ることも選択肢の一つに入っていてもおかしくはない。


 俺は階段を転げ落ちるように降りると靴に履き替えることも惜しんで学校の外へと飛び出した。

 危なげに自転車を漕ぐじいさんや公園で子供と一緒に遊んでいるお母さま方の視線を感じながら、それでも足を止めることなく俺はある場所を目指した。


 この俺が考えなしにとりあえず居ても立っても居られないから学校の外へ出たと思ったか? 甘く見て貰っては困る、これでも一応『元・勇者』だ。


 今や思春期真っ只中のしょうもない変態キャラに甘んじてはいるが、ついこの間まで命を賭して世界を救った英雄だったんだぞ! 

 時には俺の斬新なアイデアが冴えわたり、敵を退けたこともあったりして結構頭のキレるキャラで通っていたもんだぜ、ヘヘへ。


「なあにあの子。平日の昼間っから」

「しかもニタニタして。気持ちの悪い」

「ヤンキーよヤンキー。ああ、私たちの若いころは――」


 交差点を曲がると世間話に大輪の花を咲かせている体型のどっしりとしたおばさんたちとすれ違った。全員が犬種は違えどそれぞれ犬を引き連れている。

 

 まあニヤけていたことでとやかく言われるのは腑に落ちてやるが、平日の昼間っから犬の散歩改め犬に散歩させられているあんたらにそんな冷たい目で見られるのは釈然としねえな。


 皆一様に待ちくたびれた様子で俺に助けを求めるような視線を送る犬たちを見送ると俺はきもち走るスピードを上げた。



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