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32話 告白

「あー! やっと見つけたよー。二人ともこんなところでなにしてるの? ってその人さっきの怪しい人じゃん! 」


 倉庫のドアが鈍い音を立て開くとそこにはセインの姿があった。

 セインの声が届くと、今の今までピクリとも動かなかったアリアは勢いよく顔を上げる。


「あれ? もしかしてアリア? 」

「セイン様! やっと……やっと会えました! しばらく見ない間に一段とお綺麗になられて……」

「えへへ、そうかなあ。アリアは相変わらずお世辞がうまいんだから」


 アリアはものすごい速さでセインの元へ飛んでいった。さっきまで倒れていたのが嘘のようだ。


「さあ、セイン様、国王様も心配しておられます。私と共にアルガルドへ帰りましょう」

「え、アルガルドに? ……それはいや、かな……」

「何故ですか? どうせエマに言いくるめられて嫌々こっちに来たのでしょう? 今ならまだ国王様も許してくれるはずです、さあ行きましょう! 」

「違うよアリア。私が言い出したんだよ。私が私の意思でミラクレアに行きたい――タクミに会いたいってエマに言ったの」


 アリアに掴まれた手を払いのけ、セインはそう告げた。

 セインの目はとても酷くまっすぐにアリアを見つめている。


「そ、そんなの嘘です! エマの指示で思ってもいないことを言わされているんですね、セイン様の心の声、私には届いています安心してください。エマ! よくもセイン様を脅迫するような真似を……第一、セイン様がこんな男と会いたいだなんて思う筈がないだろう! 」

「アリア、聞いて。お願い」


 慌てふためくアリアをセインはギュッと抱きしめる。アリアは再び動きを止め声も出せずにいる。


「私、アリアが思ってるみたいにいい子じゃないよ。我がままで自分勝手で後先考えないで周りにたくさん迷惑かけてすぐ泣いてすぐ怒って――ダメだってわかってはいるんだけどね……」

「そ、そんなことないです! セイン様は第一王子が亡くなられた後立派に剣士としてその任を受け継いで魔王討伐を果たしてではありませんか! 後は他国の王子と結婚し幸せになるだけです! 」

「そう、私は兄さんの代わりになる為に剣士の道を選んだ。口調は男らしく態度も冷徹に――女である自分を捨てるために毎日努力したしそれでいいと思ってた。どうせ顔も見たことないどこかの王子と強制的に結婚させられるんだしってね。でもタクミと会ってから段々自分に嘘を付けなくなってきたの。自分を押し殺そうとしたけど無理だった、これが恋なんだって、これが人を好きになることなんだって、やっぱり私女の子なんだって。だから自分の気持ちに嘘を付くのはやめたの。みんなにすっごく迷惑かけることだってわかってたけどやっぱり私、タクミに会いたかった――好き、だから……」


「セイン様……」


 言い終えるとセインは更に強くアリアを抱きしめた。アリアもセインの腰に手を回しそれに応える。

 

「セイン、あの、言いにくいんだけどさ……」


 一連の流れをただ見守っていたエマは申し訳なさそうに口を開いた。


「ん、どうしたのエマ」

「忘れてるだろうけどさ、タクミここにいるんだよね……」

「あっ……」

「…………」


 顔だけをゆっくりと俺の方へ向け、目が合うとセインは一気に茹で上がった。

 薄々はセインの好意に気付いていたとはいえ、面と向かって聞くとものすごく恥ずかしい。そして気まずい……。


「ああ、セイン様! しっかり! 」


 目が合ってから十秒もしないうちにセインはアリアに体を預ける形で気を失った。


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